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そして伝説へ


 ヨシダと破壊神が消え去り、戦場となった王宮では戦士達がついにカーティスを追い詰めていた。


「カーティス!この戦い、私達の勝ちだ!大人しく投降したらどうだっ!」


 剣士ネルソンは魔術師カーティスに歩み寄って投降を促がした。


「クククク。お前達の勝ち?バカを言うな、もうヨシダは死んだのだっ! そして私にはまだ1万匹を超える魔獣軍団がいるのだぞっ!近くに潜ませている大群が今にも押し寄せるはずだ!」


「なんだとっ!?」


「まずいぞネルソン!地響きが聞こえる!かなりの大群が近くまで来ている!一旦逃げるしかない!」


 トムの言葉に葛藤するネルソンだったが、最後には長剣を引き抜き覚悟を決めたのだった。


「ヨシダ殿の死は無駄にはしないっ!!私は最後まで戦うぞっ!!」


「……ったく、聞き分けの無い英雄だな。仕方ねえ俺も付き合うぜ。」


「ふふ、そうね、この命はおじさんに貰ったものだしね。私も戦うわ。」


 盗賊ギルド長の言葉を聞いた部下達も全員その場に残り、魔獣の突進に備え弓矢を構えた。


 やがて、魔獣達が進行する地響きがどんどん強くなり、ついに魔獣の大群が戦士達の前に姿を現したのだった。


 魔獣達の大群を見て戦士達の間に一気に緊張が走るが、ネルソンが異変に気が付く。


「······あ、あれは!? ご、ご老人!?」


 何と驚いた事に魔獣の大群の中央には、1匹の魔獣の肩に乗ったヨシダールの姿があったのだ。


そしてヨシダールは手に持った杖を掲げ、その口を開いた。


「愚かな魔術師よ!この勝負ヨシダくんの勝ちじゃっ!!魔獣達はもうお前の言う事は聞かぬぞっ!」


「······な、何だとっ!? バカな事を言うジジイだっ! さあ魔獣どもよ、早くこいつらを殲滅するのだっ!」


 カーティスは魔獣達に命令するが、魔獣達はまったくそれに反応しない。


「こ、これは一体どういう事だっ!?どうなっている!?」


 やがて魔獣達は、その目を青く光らせて1匹1匹が何か言葉をつぶやき出した。


「ヨシダ······」

「イジメル······」

「ユルサナイ······!」


「ヨシダ、イジメル、ユルサナイ!」

「ヨシダ、イジメル、ユルサナイ!」


「ヨシダ・オンジン、マモル!!」

「ヨシダ・オンジン、マモル!!」


 最後は魔獣1万匹の大合唱となり、やがて魔獣達が元の牛の姿に戻ったかと思うと、カーティス目掛けて毛突進して行く。


「や、や、やめろーっ!俺は地上の王となる男だぞおおおおーっ!!」


 逃げ惑うカーティスを1万匹の牛が次々と跳ね飛ばし、踏みつけ、やがて彼は死に絶えたのだった。


「この戦い、絆の勝利じゃ。本物の絆は誰にも壊せぬのじゃよ !」


「うおおおおおおおーっ!ヨシダ殿と動物達の絆の勝利だあああーっ!!」


 剣士ネルソンは長剣を高々と掲げ、勝利を宣言する。


 周りの戦士達も声を張り上げ、喜びを分かち合った。


「カーティスを止められて良かったけど、でもおじさんが・・・・・・!」


 泣き崩れそうになるリンダをトムが優しく抱きしめる。


 そんなトムやネルソン、ヨシダールの目にも涙が溢れている。


 その場にいた全員が悲しみに包まれていると、やがて遠くから人の声らしき物が聞こえてきた。


「おーい!」


 リンダが声のする方に目を向け、耳を傾ける。


「おーい!みんな無事かー!?」


 何やら聞きなれた声の主だ。


「ウソでしょ!?あの声は······!!」


 全員が声がする方へ走って行ってみると、何と牛のハナ子を連れたヨシダの姿があったのだった。


牛のハナコの背には国王が乗っている。そしてその後には犬のコマリとブタのキャサリンの姿もあった。


「ヨ、ヨシダ殿おおおおおおおーっ!!」

「おっさん!生きてたのかよおおおっ!!」


 リンダは凄い勢いで駆け寄り、ヨシダに抱きついた。


「あれ、リンダさん、オラは妻子持ちだぞ。嫁さんに怒られるべっ!」


「もうバカっ!何言ってるのよ!絶対死んだと思ったじゃないっ!!」


「いや~、オラも死ぬのを覚悟したんだけど、破壊神の中からハナ子が突然出て来て、爆発からオラ達を守ってくれただよ!」


 牛のハナ子は嬉しそうにヨシダを見つめている。


「ヨシダ殿、カーティスは死んだ。魔獣もすべて元の牛の姿に戻ったぞ!」


「そうか、良かっただ~!何とか世界は救われたんだなっ!」


「そういう事だな!······さて、じゃあ新たな英雄を胴上げといこうじゃないか!なあ、みんな!?」


 トムの言葉に一同はヨシダの元に駆け寄り、盛大な胴上げが始まる。


 そして胴上げと供に戦士達は、英雄ヨシダの名前を連呼するのであった。


「ヨーシーダっ!!ヨーシーダっ!!ヨーシーダっ!!」


新たな英雄を称える声は、いつまでも、いつまでも鳴り響いていたのだった。


 そして彼らの長い戦いは幕を閉じた。





長くなったので、次回最終回です。

次回作も近々アップ予定ですので、どうぞよろしくお願いします(^0^)/

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