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最後の戦い


 太古の禁呪によって、牛のハナ子と国王は融合され巨大な魔神となって生まれ変わった。


 そして今、巨大で邪悪な魔神は覚醒し、生まれ持った破壊的衝動を爆発させて自分を囲っている王宮の塔の壁をたった一撃で全壊させてしまったのだった。


「カーティスめ!あれほど巨大で邪悪な魔神を生み出してしまうとは!!」


 剣士ネルソンは塔が全壊する直前に、何とか安全な場所に移り難を逃れていた。


「破壊だ!破壊だ!破壊だあああああーっ!!魔神、いや破壊神よ、王宮や王都も全て破壊するのだ!!そして近隣諸国、いや全ての国々に宣戦布告をしようではないか!フハハハハハハーっ!!」


 浮遊魔法で破壊神のそばを飛んでいる魔術師カーティスの命令に従い、破壊神は王宮の至る所を蹴散らしていく。


 しかし、破壊行動を続ける破壊神が突然動きを止め、前方を睨んでいる。


「どうした破壊神よ!?」

「グガアアアアアアアーっ」


 破壊神の前方には、ほぼ同じ全長の魔神が腕組みをして仁王立ちしていたのだった。


「ヨシダ・キャサリン参上!オマエラ、ユルサナイ!」


 魔神ヨシダ・キャサリンは、破壊神に向かって走り出すと、強烈な両足飛蹴ドロップキックりを破壊神にお見舞いする。


「グギャアアアアアアアアアアーっ!!」


 破壊神はたまらず絶叫して、後方に大きく吹っ飛ばされた。


「おいヨシダっ!その破壊神は牛のハナ子と国王が融合した姿だぞ!こいつを殺せばそいつらも死ぬという事だ!それでいいのかっ!!どうなんだっ!?」


 カーティスは魔神ヨシダ・キャサリンに大声で訴えた。


「ハ、ハナコ!? オウサマ!?」


「フハハハハーっ!そうだ、その通りだ!そいつはハナ子と王様だ。殺す訳にはいかんだろうが!?」


 カーティスの言葉に反応した魔神ヨシダ・キャサリンは、急速に戦意を奪われ、呆然とその場に立ち尽くしてしまった。


「よし、破壊神よ!この魔神ヨシダ・キャサリンを殺すのだ!!殺れええええーっ!!」


「グガアアアアアアアーっ」


 立ち上がった破壊神は、魔神ヨシダ・キャサリンに襲い掛かり、その繰り返される攻撃によってついに魔神ヨシダ・キャサリンは地面に倒れてしまい、人間の姿のヨシダとブタの姿のキャサリンに戻ってしまったのであった。


「くっそ~、相手がハナ子と王様じゃ、攻撃出来ねえだっ!!キャサリン、おめえだけでも逃げるだ!」


 ヨシダはキャサリンを逃がそうとするが、キャサリンは魔獣キングオークになって、ヨシダを守ろうと前に出て身体を張った。


「キャサリン、おめえっ!!」


「フハハハハーっ!いいぞ破壊神よ!さあヨシダにとどめを刺すのだああああーっ!!」


 カーティスの命令で破壊神が、ヨシダ達を巨大な足で踏みつけようとする。



――――するとその時だった。


 突然2つの影がヨシダ達を守るように、破壊神の足を受け止めたのだ。


「お、おめえ達は!!」


 ヨシダとキャサリンを守ったのは、魔獣キングコボルトとなったヨシダの愛犬コマリと、伝説の剣士ネルソンであった。


「今こそ、ヨシダ殿に恩を返す時だ!今助けるぞおおおっ!!」


「ネ、ネルソンさん!コマリ~!」


 そこにキングオークの姿になっているキャサリンも加わり、3人の力で破壊神の巨大な足を押し返そうとする。


「ククククっ!バカめ!たった3人で何が出来るというのだ!」


「3人だけじゃないよ!!」


 カーティスの言葉を遮るようにどこからか声が聞こえ、破壊神の身体に無数の矢が打ち込まれる。


 破壊神とカーティスが辺りを見渡すと、盗賊団が至るところから弓矢を構えながら、ギルド長のリンダやトムの指示を待っている。


「2人とも無事だったのか!良かっただっ!」


「おう、おっさんも無事で何よりだぜ!」


「おじさん、クーデターに参加した騎士団は壊滅させたわよ!あとはこいつらだけ!」


「そうか!さすがトムさんとリンダさんだべっ!」


 盗賊団による弓矢の攻撃で破壊神の注意を引き付けられた為、ヨシダ達は魔神の巨大な足から逃れる事が出来たのだった。


「クククク、フハハハハハハーっ! 愚か者どもがっ! 人間が何人集まろうと、この破壊神の前ではまったく意味がないであろうがっ!さあ、お遊びは終わりだ!破壊神よ全ての人間を殲滅せんめつせよ!!」


「グガアアアアアアアァァァァァアアアーっ!!」


 破壊神は辺り一面地響きするくらいの凄まじい雄叫びを上げ、人間を殲滅すべく攻撃を開始するのであった。



あと2~3話でこの作品も終わる予定です。

ここまでずっと読んで頂いているあなた!本当にありがとうございます!


次回作も4話ほど書いていて、やはり動物系の冒険物ですが、けっこうテンプレを取り入れてますので好みは分かれるかもしれません。


でも自分ではいい物に仕上がっていると思いますので、ぜひそちらも読んで頂けると嬉しいです。


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