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反撃の狼煙


 王国、西の城門は守りの層が一番薄く、戦闘経験豊富な冒険者チームによって早くも突破されそうな勢いだった。



「みんな、供に戦ってくれて本当に感謝の言葉もない!この恩は忘れはせんぞっ!」


 バスタードソードを振り回しながら剣士ネルソンは仲間達に声をかけた。その間にも王国兵が次々と倒れていく。


「何言っているんですかネルソンさん!みんなあなたに憧れて冒険者になったし、あなたには随分と助けられて来たんだ。我々こそ恩を返す時ですよ!」


「そうですとも!それに王国、いや人間界の危機ですからね、何としてもシュナイゼルを止めなければ!」



 冒険者ギルドの仲間達も、それぞれが得意の武器や魔法で王国兵を圧倒していく。そして遂には西の城門を突破し、剣士ネルソンを先頭に王宮内へと突入していったのだった。




◇◆◆◇



――――王宮内、王謁見の間。



「シュ、シュナイゼル様!西の城門が冒険者共に突破されましたっ!」



 王国兵士の報告を聞くシュナイゼルの顔には怒りが満ち、再び騎士団長のバートンに怒鳴りつける。


「なぜ奴らは、魔獣軍団が手薄なこの時期に攻め込んで来たのだ!さらには一番守りの薄い西の城門に!ああ~!?お前らの中に裏切り者がいるのであろうがああああーっ!!」


 シュナイゼルの声に反応するように、後ろに控えていたキングミノタウロスの持つ戦闘斧バトルアクスがバートンの側頭部に突き付けられた。



「ひ、ひいいいいいいーっ!!わ、わ、分かりませぬ!誰が内通しているのかは、け、検討も付きませんっ!!」

 

 魔術師の杖を振りかざしていたカーティスが、ゆっくりと口を開く。


「……ふむ、バートン殿は嘘を付いていないようです。騎士団の中には内通者はいないのかもしれませんね。」


「魔法か。便利な物だなカーティス。」


「はい、シュナイゼル様。まあしかし、西の城門が突破される速さからして内通者がいるのは間違いありません。私がすぐに見付けて参ります。」


 カーティスはそう言い残すと、移動扉マジックゲートの呪文を唱えその姿を消したのだった。




◇◆◆◇



――――王宮、南の正門内の大広場。



「何だと!?西の城門がネルソン共に突破されただとっ!?」


「へいっ!何やら内通者もいるとの事です!ゲルグ様どうされますか!?魔獣軍団を西に向かわせますか!?」


「ふん!それこそ奴等の思うツボだ。おそらく西の侵入者どもはおとりだ。敵の主力は2千人以上いるとされる盗賊団だからな!それと最も警戒すべきは犬とブタの魔獣3匹だ。」


「では、俺達と魔獣軍団はこのまま正門待機という事でいいんですかい!?」


「当然だ!しかしその内通者とやらは徹底的に探し出せ!見付かり次第私の前に連れてくるのだ!」


「へいっ!了解しやした!」



 ゲルグとその手下100人、さらにキングミノタウロスとキングオークの魔獣軍団、総勢500頭は王宮の正門で鉄壁の守りを固めていた。



 すると正門の見張り台の手下から報告が入る。


「ゲルグ様ああーっ!!正門前方にヨシダらしき人間が1匹の犬を連れて、こっちにやって来ますぜえ!!あ!それとジジイとブタ2匹も一緒です!!」


「なに~!やはり来たか!主力を正門に残して正解だったようだな。……ククク、流石に500匹の魔獣相手ではあ奴らでもどうにも出来まいっ!!とその前にこの強固な城門はどうあがいても突破出来ぬがな!!フハハハハハハーっ!!」



 するとゲルグの言葉を欺くように、突然、王宮の正門が大きな音を立てて開かれてしまったのだった。


「ど、ど、どうなっておるのだあああああーっ!?なぜ正門を開ける!?誰が開けやがったんだああああーっ!?」


 怒りと焦りに震えるゲルグが血相を変えて正門近くに向かうと、何とゲルグの手下数人が正門を勝手に開けていたのだった。


「き、き、キサマらああああーっ!!いったいどういうつもりだあああああーっ!!血迷ったのかああああーっ!!」



「ゲルグ、もうあんたには付いていけねえんだよっ!俺達はな、あんたの奴隷じゃねーんだ!」


「そうだそうだ!俺達はな、ヨシダの旦那に付いていくんだ!命を奪おうとしたにも関わらず、大怪我した俺達の看病を3日3晩してくれた恩は忘れねえ!!」



「な、な、何だとおおおお~っ!!貴様ら、今まで面倒見てきてやった恩を忘れたのかあああああーっ!!こ、このクソどもがああああーっ!さては貴様らが内通者だなあああーっ!?」


「そうさ!今頃東の城門も残りの仲間が開けている頃だぜ!もうあんたらはオシマイだよ!!」


「こ、このゴミ虫どもがああああーっ!!魔獣共よ!こいつらをぶち殺せええええーっ!!」



 ゲルグの命令に反応した魔獣キングミノタウロスが、裏切ったゲルグの手下達を殺そうとすぐさま戦闘斧を振り上げる。


 ガチーンと金属音が激しくぶつかり合う音が辺りに響き渡ったが、そこにはゲルグの手下達を守るように大剣を構えた犬の魔獣、キングコボルトが立っていたのであった。


「グギャワオオォォォオオオーンっ!!」


3つの頭部から魔犬の凄まじい唸り声が発せられると、キングミノタウロスの群れは恐れをなして後ずさりする。


「よし、コマリ、良くそいつらを守ってくれたな!良くやったぞ!あとで褒美にワンワンビスケットやるからな!」


「グギャワオオォォォオオオーンっ!!」


魔獣キングコボルトは嬉しそうに尻尾を左右に振ると、爆風でゲルグ達は吹き飛ばされてしまったのであった。




うちの愛犬もワンワンビスケットが大好きですw

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