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決戦


――――魔獣の大軍団による他国侵略。



 そのおぞましい噂は王国内外に広まり、多くの人々を恐怖で震え上がらせた。


 人々が魔獣の軍団の行進を王都で見かけるのはもはや日常茶飯事になり、戦闘訓練や戦闘実験などが繰り返し行われているという話は誰もが知るところだった。


 魔獣の大軍団を人間がこのままずっとコントロール出来るのか、魔獣達が暴走して人間世界を滅ぼさないか、人々はそういった事を毎日のように怯えながら話し込むようになり、中には辺境の村まで逃げ出す貴族達も現れたのだった。



 ◇◆◆◇



 王宮、王謁見の大広間。


 玉座に本来座るべき主の姿は当然そこにはなく、代わりに王国の宰相シュナイゼルが座っている。そしてその両脇には魔獣キングミノタウロス2匹が彼を守るように立っていた。


 さらに玉座の段下には10名の貴族や騎士などが姿を連ねてひざまづいているが、彼らは王国クーデターに賛同して王族を裏切った者達である。その中には魔術師カーティスとゲルグの姿もあった。


 そして、大広間の静寂を打ち破るように、肩肘を付いた宰相シュナイゼルは再び口を開いた。



「それで?未だにヨシダやその仲間達を発見出来ないという、同じ報告を今日もするわけかな?」


「……も、申し訳ありませんっシュナイゼル様っ!!街中をくまなく探しているのですが……!!」



 騎士団長バートンの声は震え、シュナイゼルの顔色を伺うその顔は青ざめている。


 するとシュナイゼルがゆっくりと玉座から立ち上がり、微笑を浮かべながらバートンの方に歩み寄って行った。そして玉座の両脇にいたミノタウロス2匹も、シュナイゼルの後を追うように歩き出し彼の背後で身構えているのだった。



「騎士団長ともあろうものが、些細な仕事も全う出来んとはなぁ~。私は非常に気が短いという事を貴公も知っておるだろうが?……んん?どうなんじゃ?」


「も、申し訳ござ……」


 床に頭が付きそうなくらい頭を下げて話す騎士団長バートンであったが、彼の話の途中でシュナイゼルが彼の後頭部を勢い良く踏みつけてしまった。


「だ、か、ら、……謝ってばかりでは何の解決にもならんだろうがあああああーっ!!このクソ役立たずがあああーっ!!」


「シュナイゼル様、どうぞ落ち着いて下さい。もうすでに魔神の完全化の呪術も完成しておりますので、もはやヨシダ達は私達の驚異にはならないでしょう。」


「……確かにな。だが万が一という事も考えねばならぬのだ。この大陸全てを支配するという事はそういう事なのだよカーティス。」


「は!おっしゃる通りです。ヨシダ達は必ずこの近くに潜伏しているはずですから、拘束も時間の問題かと思います。もうしばらくの辛抱です。シュナイゼル様。」


「……そうだな。もう少し、もう少しで我が野望も実を結ぶ。」



 カーティスの言葉で冷静さを取り戻したシュナイゼルであったが、大広間に血相を変えて報告にやって来た兵士の言葉に、その表情は再び怒りに満ちるのだった。



「ほ、報告します!王城、西の城門から100名を超える侵入者が攻め込んで来ました!伝説の剣士ネルソン・オリバー率いる冒険者ギルドの者達です!!」



 

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