07 魔王城
(さて、私ことアンナはいまどこにいるでしょうか!!正解は〜どん!!)
「アンナさん、ここが我が魔王城です」
「ほへぇ…」
私は朝早く訪ねて来た魔王に連れられ、魔王の自宅兼魔王城にお邪魔していた。
といっても、転移門とやらで10日はかかる距離を一瞬で行き来できるようになっていた。
え、どうして家と魔王城が行き来できるかって??
繋げた、いや繋げられたのだ。
昨日、初めて魔王が家に来た時、ちゃっかりうちの前に転移門作って帰りやがった。
(いや全然いいんだよ!!いいんだけど……)
「一言欲しかったな……」
「ん、今なにか言いましたかアンナさん」
「あ、いや、なんでもないです」
「「「魔王様お帰りなさいませ」」」
魔王城の門前に来ると大勢の魔物?がずらりと並んで頭を下げる。
こうやって見ると将軍はかなり人間っぽい容姿をしていた。
というより魔物と言われなきゃ、ぶっちゃけ分からないと思う。
「お疲れ様でした。魔王様」
列の先頭にいた、魔物がこちらに近寄って来た。
一人は、あの将軍だ。
(うわぁ…。めっちゃ睨んでるよ)
もう一人は……これまた人間っぽいことで。
その男は私を見ると、含みのある笑いをみせた。
「うむ。出迎えご苦労。さて紹介しよう、隣にいるのが……」
魔王が恒例のごとく顔を真っ赤に染める。
「わ、わ、我が妻。ア、アア、アンナさんだ/////」
(やめてくれぇぇえ。いろいろ恥ずかしいじゃないか!!)
魔物達に動揺が走る。
そして一斉に私を見る。
(ひぃぃぃい)
私は今にも逃げ出したい気持ちを全力で抑え、引きつった笑顔でそれに応える。
「お前達、やめないか。アンナさんが怖がっているだろう。魔王様この度はご結婚、誠におめでとうございます。そして、アンナさん初めまして。私は魔王軍の参謀です。魔王様のことをよろしくお願いしたい」
「こ、こちらこそ」
参謀はまたニコリと笑うと魔王に向き直る。
「魔王様、さっそくではありますが仕事です。勇者一向がこちらに向かっているとの情報があります」
「うむ、すぐに向かおう。アンナさん少し待ってもらっても大丈夫ですか?すぐに終わらせてきますので」
「参謀、アンナさんを頼んだぞ。くれぐれも丁重にな」
「仰せのままに」
そういうと魔王と将軍は、魔王城に入っていた。
残されたのは、私と魔物達、それとこの参謀だ。
「さて、アンナさん。お部屋に案内しますのでこちらに」
私は参謀に連れられ、魔王城に向け足を進めた。
「でっかっ」
魔王城は外からもそうだったが、中もやはり超絶デカかった。
「アンナさんのご自宅はそうではないんですか??」
「う、うん。私の家は貧乏だったし」
参謀は少し驚いた顔をしたが、すぐに何かを理解したかのような顔つきに変わる。
「なるほど。ではまずは覚えることからですね」
「覚える??なにを??」
「もちろん魔王城です」
「なんで??」
「それはもちろん、魔王城にお住みになるんですから」
「え」
(ここに住む??)
私は天を見上げる。
どこまでいっても見えることがない天井。
そして私は再び声を発する。
「え」
ほへぇ…。