05 私と魔王
「ま、魔王様!!お考え直しを!!」
将軍が声を荒げる。が、魔王は私から目を離さない。
というか見過ぎだよこの人。
(ちょ、恥ずかしい)
「ダメ?でしょうか……」
魔王が今にも泣きそうな顔でこちらを見てくる。
隣では将軍の焦りが見てとれた。
「ダメ、というか急すぎませんか。私、魔王さんのこと全然知らないし」
「これから知っていけます」
「いやいや、結婚ってそんなに簡単なものじゃないですよ。それになんで私なんでしょうか、魔王さんなら他にもたくさん……」
自分で言って悲しくなってしまった。
正直言って、私はモテない。その証拠に今までこのかたお付き合いはおろか、異性と手すら握ったことがない。
母はかなり美人だったと思う。実際に離婚してから様々な人に求婚されていた。まあ、全部断ってたけど……。
どうやら母の美は私には引き継がれなかったようだ。残念だがしょうがない、コレが現実である。
それに引き換え、この魔王。
そこそこ格好いいではないか。歳は……まぁ私より歳上なのは間違いないが、それが渋さを際立たせている。
それにその渋さをもっていながら、捨て猫のようなこの目。魔王は私には高値すぎる。
「私じゃ、魔王さんとは釣り合わないですよ」
「わたしは、アンナさんがいいんです」
――なぜかこの時、母との会話を思い出した。
「お母さんはなんでお父さんと結婚したの??」
「ふふふ。急にどうしたの」
「だって、お母さんだったら引く手数多だったでしょ。なんでよりによってお父さんだったのかなって」
「アンナ。結婚相手ってね、理屈じゃないのよ、こうビビってくるものなの。いくら格好良くても、お金を持っていてもね。あぁこの人とならやっていける気がする、そう思う人なの。お母さんには、それがお父さんだったから結婚したのよ」
「よく分かんないよ」
「いつか、分かる日が来るわよ。アンナにもね」
「そうかなぁ」
「ふふふ」
その時の母は、優しく幸せそうな顔をしていた。
私にはまだ母が言っていたことは分からない。
果たして私は、目の前で求婚しているこの男のことをどう思っているのだろうか。
(大事にしてくれるかな……)
!!!!!????
いま私はなにを……
相手は魔王だ、残虐で非道の魔界の王。
そんな男が優しいわけ――
4:最後に私を大事にしてくれること
(約束します)
私は、「ユートピア」に掲載した求める男性像を思い出す。
――ドキッ
胸が跳ね上がったの聞こえた。
「ま、魔王さんは、私を大事にしてくれますか……??」
「約束します」
「ーーアンナ、いい男と結婚しなさい……」
お母さん、私……
「アンナさん、目から涙が。お、おい将軍!!ハンカチをだせ!!」
「そ、そんな女々しいもの。私が持ってるわけないじゃないですか!!!」
「ばかやろう!!幾らかかっても構わん。今すぐ買ってこい!!」
「ま、魔王様、正気ですか!?」
私は涙を拭い、魔王を見る。
「魔王さん!!」
「は、はい」
「不束者ですが、よろしくお願いします」
こうして私たちはめでたく結婚することとなった。
改めまして、じょじょたです。
ちゃんと恋愛ものになってるかな?なんて不安になりながら書いています(苦笑)
なっていますかね??不安です。(汗)
これからもどうか温かい目で二人を見てやってください。
ということで、まだまだ続きます!!