03 魔王が家にやってきた
それからは物凄い早いペースで話が決まっていった。
ある理由のおかげで。
宛先:魔王 様
差出人:アンナ
件名:Re;ほんとですか!!!?
本文:では魔王さん、下記の住所にお時間がる時いらしてもらえますか。
住所ーアミリア王国西部グラシア村8ー11です。
魔王さんも、お忙しい身だとは思いますのでお急ぎにならなくて大丈夫ですよ。
迷った時はまた連絡ください。お待ちしてますね。
アンナ
(送信っと)
――カチッ
――ピコン
「いや、はやすぎんか、魔王さん」
そうそれは、魔王の圧倒的なまでの返信の速さゆえに。
その間、僅か2秒。刹那とはまさにこのことだ。
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:Re;了解です!!
本文:了解しました。
当日、私と分からないといけませんので、私の特徴をお伝えしておきます。
まず第一の特徴としましては、頭に双角が生えております。
次に、お恥ずかしいことなのですが先代勇者との闘いの末に負った傷が一つ顔にございます。
では、お会いできるのを心から楽しみにしております。
魔王
(魔王さんどんな人なんだろう。ちょっとワクワクするかも……それに勇者との闘いって、やっぱり本当の魔王なんだ)
私は一つ大きな伸びをする。
(魔界からここまでだと……最低でも10日はかかるよね)
私はその間に、美容院とネイルに行く日の予定を立てる。
予約次第だけど、なんとかなりそうなのでそっと心を撫で下ろす。
別に魔王さんに会うからって訳じゃないけど、私も一応女だ。それなりに気はつかいたい。
私は洗濯物を取りこむ為に、自室を出る。
――ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る。
(あれ……今日、誰か来る予定あったけ??)
「はーい」
扉を開けると、黒色の黒服に身を纏った男が二人立って居た。
(え、なに、借金の取り立て??借金とかうちしてないと思うけど……)
「何か御用でshっっっっっっっ」
――バタン!!
勢いよく扉を閉める。私は男達の顔を見た瞬間に全てを察してしまった。
あれは……魔王だ。
なぜかって??そりゃあ、頭に立派なツノを生やしてましたもん♪
(待て待て!!はやいよねさすがに!!まだメール来て5分も経ってないよ!!)
「アンナさん、はじめまして魔王です。遅くなってしまって申し訳ありません」
「う、うん。ちょっと待ってくださいね」
(いや、はええよ!!はやすぎるわ!!)
「一応、ネットで人間界ではご挨拶に伺う際には、黒服というもの身を包むと書いてありました故……どこか失礼でもありましたか……??」
扉の先から悲しそうな声が聞こえた。
(そうだアンナ。お前はまず、魔王さんに謝ることがあるだろう。それなのに家の前で待たせるだなんて言語道断!!)
私は意を決し、扉を開く。
「魔王さん、はじめまして」