02 メールのやりとり(ほぼ魔王)
私は閉じたパソコンの電源を一度落とし再起動させる。
再起動したパソコンをつけてメールの受信ボックスを開く。
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:求める男性像を――
「なんでえええええ」
思わず心の声が叫び声となって口から出てしまった。
(いやいや、なんで魔王!?確かに会員登録数最多の婚活サイトではあるけど、流石に魔王って。なに新手のイタズラ?そう言われてみれば……なーんだイタズラか!!よかっ――」
――ピコン
メールの受信音がなる。
私はそのメールを開く。
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:一応、本物です。
本文:おはようございます。複数回に渡るメールお許しください。
アンナさんがもしかしたら、イタズラ……なんて勘違いされるのでは、とうちの参謀が言ってきましたので、一応、魔王城の写真を送付しておきます。
私は、そんなマヌケな人ではないと言ったのですが……
魔王
そこには、でかでかと魔王城が写っていた。
(え、なにこれデカ。しかもなんか魔のオーラみたいのが写真から伝わって来るんですけど……それに魔王さん、どうやら私はマヌケな人みたいです。てか、本物……なの??)
背中を冷たい汗がつたっていくのが分かった。
合成かと思い、いろいろ調べてはみたがそれらしき写真は見当たらなかった。
(よし!!)
私はとりあえず、見なかったことにした。
――その日の夜
――ピコン
――ピコン
――ピコン
――ピコン
……大量のメールが届いていた。
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:返信待っています
本文:こんにちわ。
初めてメールを送ってから半日ほど経ったかと思います。
メール、届いていますか??
もし届いていたら、ご容赦ください。
お時間ある時で構いませんので、ご返信いただける幸いです。
魔王
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:そんなことないですよね
本文:こんばんは。
うちの参謀が無視している。だなんて言ってきました。
本当ふざけた野郎です。アンナさんがそんなことする訳ないじゃないですよね。
わたしは夜はかなり起きています。いや今日は寝ません。
ですので、お時間の方はお気になさらないでください。
返信待っています。
魔王
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:今日の晩御飯
本文:お疲れ様です。
今日の晩御飯は、うちの自慢の部下が、腕を奮ってくれました。
そう!!竜の丸ごとソテーです。
もし、アンナさんも食べたくなったら教えてください。
素材から調理方法までお送りしますので、
あっ!写真送付しておきます。
魔王
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:部下との心の距離がいい感じです
本文:うちの参謀はやはりふざけています。
ついには人間界に攻め込もうなんて、言い出しました。
一発ぶん殴って、黙らせましたが、こんな冗談も言ってくるなんて。と、部下との心の距離が縮まってきてるのを実感します。
今日はゆっくりと休んでください。
おやすみなさい。
魔王
(なんか危うく戦争になりかけてるし……絶対、参謀さん、本気で言ってるよ絶対!!それにこのソテー地味に美味しそうじゃないか!!!こんなメールを送ってきてくれるなんて、本気なんだ……)
――ピコン
再び、メールを受信した。
宛先:アンナ 様
差出人:魔王
件名:無理でもなんでも大丈夫ですので……
本文:夜分遅くにごめんなさい。
お忙しいというのは重々承知なのですが、やはりご返答が頂きたくて……
「無理」の一言でも構いません。
そうしたら、諦めもつくってものです。
図々しいお願いとは存じておりますが、何卒……
魔王
私は一体何をしているのだろうか。
ふと私のしていることを振り返ってみた。
こうして好意を抱いてメールをしてくれている人に対して私は、見なかったことにして無視をするなんて。
(最低だ)
自分のこういう所が嫌いだ。
母にも「他人の気持ちを考えられる人になりなさい」って言われてたのに。
私は、返信ボタンを押しの内容打ち出した。
(ちゃんと、謝ってきちんと断らなきゃ)
宛先:魔王 様
差出人:アンナ
件名:ごめんなさい、メール気がついていました
本文:こんばんは。そして初めまして、アンナです。
まずは返事の前に、謝罪をさせてください。
私は魔王さんからのメールに気づいていたのにも関わらず、ずっと無視をしてしまっていました。
本当にごめんなさい。
それと、お返事の方なのですが、まずは一度どこかでお会いしませんか??
アンナ
「送信!っと」
私は、魔王さんに会ってみることにした。
なんでそう思ったのかは分からないけど、なんか会ってみたくなった。ただそれだけ……のはず。




