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魔王と結婚も、そんなに悪くない。  作者: じょじょた
一章 出会い
11/14

11 結婚式1

 

「わぁ、すっごくお似合いです」


 背後で着付けを手伝ってくれた侍女が褒め言葉を口にしてくれた。

 おいおい、なにを着てるかなんて野暮なことを聞くんじゃないよ。

 決まってるじゃないか、乙女の憧れ、ウェディングドレスだよ!!!


 私はお礼を言うと、一つ大きなあくびをする。

 こんな所を見られたら、母に淑女の風上にもおけないって怒られそうだけど許してほしい。


「昨晩はお休みになられなかったのですか??」

「うん、友達と盛り上がっちゃってね」

「ふふふ、とっても素敵ですね」


 彼女はララ。

 私付きの侍女らしい。

 将軍も参謀も魔物っぽくなかったけど、彼女は一段と人間の容姿はもちろん、仕草、雰囲気までもが、どことなく人間っぽい。


「ララさんって、人間じゃないの??」

「ええ、正確には…ですけど」

「どういうこと??」

「父は人間でしたが、母は魔族でした」

「ほへぇ、ハーフなんだ」

「……驚かれないんですね」

「ん、なにが??」

「私が魔の血を引いていることにです」


 この世界には稀にそういうことがある。

 事実、人間界ではそういった子供は、差別され蔑まれることが少なからずあるのだ。


「思わないよ。だって私、魔王と結婚するような人だよ?思うわけないじゃん」

「……ありがとうございます」


 彼女もまた何処かでなにかしらの差別を受けたのかもしれない。

 私には、それを聞けるほどの覚悟はなかった。


「でも、魔王様は本当にアンナ様のことを好いていらっしゃるのですね」

「うーん、そう思うよねぇ」

「ええ、そうでないと、私のような者がこの魔王城に立ち入ることなんてできませんもの」

「へぇ、そういうものなんだ」

「はい。ましてやアンナ様の侍女を仰せつかるなんて……」

「ほぉ、なんでなんだろね。いやべつにララさんが嫌だからとかじゃないよ!!」

「ふふふ。分かっております。アンナ様はそういった方ではないと」


 髪を結い終わったララは次にお化粧に入る。

 大鏡に映ったララは、どこか嬉しそうだった。


「おそらくは、アンナ様を不安にさせたくなかったのだと思います」

「不安??」

「もう見られたかもしれませんが、魔界に住まう者の多くは人間とはかけ離れた容姿をしています。おそらくはそれを避けるために、私に侍女の(めい)を与えたのかと」

「なるほどねぇ」

「愛されていますね」

「な!!!」


 鏡ごしにララが微笑んだ。

 気がつくと私は耳まで真っ赤になっていた。


「完成でございます」


「わぁ……綺麗……」


 そこには、別人が立っていた。

 純白のドレスに身を纏い、隣に立つ侍女がかすんで見えてしまうほどの。


(いやいや、自分で言うのもあれだけど、私可愛くね!?いやマジで)


 私は振り向き、ララに切なる願いを伝える。


「ねぇ!!今度、化粧の仕方教えて!!ほんとお願い!!」


 私は化粧をしたことがないわけではない。

 というより、ちゃんと毎日それなりにしている。

 それでも、自分に似合う化粧なんてものは分からないし、一生分からないものだと思っていた。

 けれど、鏡に映る私のそれは間違いなく、似合っていた。

 これを見て知って、私の乙女心は黙っているわけがない。


 ララは、一瞬驚いていたが、すぐに快く了承してくれた。



 ――コンコン


「アンナさん、そろそろお時間です」


 扉の向こうから、参謀の声がした。

 それと同時にララが頭を下げる。


「アンナ様、この度は魔王様とのご結婚、心よりお喜び申し上げます」

「ララ、ありがとう。それと私はアンナ、ただのアンナよ。そこに様なんて必要ないわ」



 ララは顔を上げると、驚きに満ちた顔をした。

 それは参謀に言った時と同じ顔だった。

 ララは再び頭を下げる。


「かしこまりました」

「うん、じゃあ行ってくるね、ララ!!」

「行ってらっしゃいませ、ア、アンナ!!」


 魔界での友達、第一号の誕生の瞬間である。

 私は扉に向かって、歩き出す。



(さぁ、いざ行かん。結婚式へ!!)

結婚式が終わったタイミングで第一章完結とさせてください。

その先はどうしようか微妙に迷っている状況ですが、多分書きます。


ちゃっかりタイトルも変えました……

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