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魔王と結婚も、そんなに悪くない。  作者: じょじょた
一章 出会い
1/14

01 婚活サイトでの出会い

はじめまして。じょじょたです。

ふと恋愛ものを書きたくなったので、書いています。(笑)

頑張れ二人とも!!

そう思える作品にするつもりです。


何かありましたらコメント等で教えてください。

では、

「ーーアンナ、いい男と結婚しなさい……」


 20歳にもなって、鼻水を垂らしながら全力で泣きじゃくる私を抱きしめながら、そう言い残し母は天国へ。

 私は母が大好きだったし、誇りに思っている。

 父のことは顔も知らない。

 私が生まれると直ぐに仕事を優先し、家のことは任せっきり。

 私は幼かったからよく分かってなかったけれど母は一人、苦しい思いをしてきたと思う。

 後に離婚、父は行方知らずに。そして母は今日まで私を女手一つで育てくれた。

 決して裕福とはいかなかったけど、それでも私は母との生活が楽しかった、幸せだった。

 もしかすると母の一生は幸せ……ではなかったかもしれない。

 だから、だからこそ娘にその幸せを託したのかもしれない。

 だったら私は母の分まで幸せにならなければいけない。じゃないと天国で母に合わせる顔がない。

 

 いい男と結婚しなさい。


 私は母の遺言とも言えるこの言葉を心に刻みこんだ。



 ▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️



 母の葬式が終わる。

 一体、母の何処にこんな交友関係があったのか疑問に思うくらい大勢の人が母の葬式に参列してくれた。

 中にはその場に泣き崩れる者もいるくらいに……


(うーん、謎だ)


 そんな事を考えていると、

 一人の、顎に立派な白髭を拵えた老人が近寄ってくる。


「ユウスケとサナの忘れ形見か。お嬢さん私の元で生活をしなさい。そなたに必要なものは揃えてあげるゆえな」

「結構です」


 何を言うか。

 私は右の掌を老人に突き出し断りを申し入れる。

 しかし、老人は狐に化かされたような顔をしていた。


「な、なぜじゃ!!わしは怪しい者なんかじゃないぞ」


 怪しい奴は皆そう言う。

 私はそんな事も見破れない女に見えるかい老人。

 なめられたものだ。

 こういう奴には、一度はっきり言ってやらんと分からないのだ。


「本当に結構です!!私はこれからやることがあるので!!じゃ!!」


 そう言い残しその場から立ち去る。


(ほんとに、平和ボケしたご老人は困るわ)


 後にこの出来事はちょっとした面倒事になってしまうのだが……

 この時の私はそれどころじゃなかったし。



「さて」


 私は家の自室に引き篭もり、目の前にあるパソコンをカタカタと動かしていく。

 賢者とかいう人が発明したらしが、これは本当に便利な道具だ。


(ああ、賢者。すごい……)



 どれくらい経っただろうか。

 最後の一文、これを入れたら完成の所まできていた。


「私を大事にしてくれること、と。よし、完成!!」


 その出来栄えに我ながら満足できるものになった。

 私は直ぐにそれを、婚活サイト「ユートピア」にアップする。


「ふぁあ〜」


 大きなあくびが一つでた。


「そういえば今日全然寝てないや。お母さんの葬式、朝早かったしな……」


 私はそのままパソコンの前で、眠りこけてしまった。



 ――次の日



 目を覚ますと太陽は私の頭の上に位置していた。


「っやば。寝すぎた!!」


 私は急いで起き上がり、朝食を作り出す。

 今日もまた忙しいのだ。

 なにせ働き口を探さなければいけない。

 できれば今日中には面接をして、そして明日から働きたい……今日から私は本当に一人なのだ。


 朝食を済まし、身支度を整える。

 そして求人情報を検索しようとパソコンの前に座る。


 そこでメールが1件、届いているのに気が付く。


(なんだろう……)


 私はそのメールを開く。



 宛先:アンナ 様

 差出人:魔王


 件名:求める男性像を拝見致しました。


 本文:はじめまして。魔王と申します。

 誠に勝手ではあるのですが、アンナ様の求める男性像を拝見させていただきました。

 大変恐縮ではあるのですが、わたくし魔王、応募させていただいてもよろしいでしょうか。

 以下、応募条件に対する私自身の情報になります。




 【わたしが求める男性の必須条件!!!!】


 1:いい男であること

 (顔は分かりませんが、部下には歴代魔王の中ではかなりいい方との言葉を貰っています)


 2:巨万とはいかなくてもそれなりのお金を持っていること

 (こちらに関してはかなり持っている方かと。また一軒家所持してます)


 3:夢はでっかく!!

 (アンナ様がどう思われるかは分かりませんが、わたしの夢は世界征服です)


 4:最後に私を大事にしてくれること

 (約束します)



 以上になります。

 ご検討して頂けると幸いです。  


 

 魔王




 私はそっとメールを閉じる。

 そして思いっきり頬をビンタする。


「いっった!!」


 痛い。てことはつまり……夢ではない。



 どうやら私は婚活サイトで魔王を釣り上げてしまったようだ。

 

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