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プロローグ:私の信念
この物語はフィクションです。実際の事件等には一切関係ありませんので、「事実と違う」や「こんなのあるわけない」などの指摘はご遠慮ください。
私は弁護士、前田俊介という。
私には周りの弁護士仲間から、「敗戦処理者」と呼ばれている。
なぜなら、私は「加害者」側の、特に糾弾される加害者の側の弁護に立つことが多いからだ。
私には1つの信念がある。
「犯罪には原因があり、その全てが加害者に帰着されるわけではない。」
だから、私はほかの弁護士が嫌がるようなクライアントの依頼も断らずに受けた。
たとえ、裁判で勝てなくとも、話を聞いてやることで、加害者の更正にもきっとつながるはずだと考えるからだ。
これは、加害者救済にあたる弁護士と、そのクライアントの戦いの物語である。




