カッコウの滑降格好。
気軽に立ちより目を通せるレベルのもの・・・そんなものを。
そんなものしか書けません。
ぶーーーーーーーん。
バイクの音がする。
カッコウの義治は急いでいた。
カッコウの甘栗も急いでいた。
どーーーーーん。
大きな音がした!!
バイクとバイクが正面衝突?
まさかそんな映画じゃあるまーに。
ここはオートレース場。
突然二匹の前に表れた、
マジシャン格好をした猫はこういった。
「にゃあ」
二匹のカッコウの運命は絶好調だった。
そうして上り詰めたオートレース日本一決定戦。
そんな中で表れた猫。
運命は下降線を辿っていくのか!?
「にゃあにゃあ!」
マジシャン猫の言うことは相変わらず
難しかった。
小動物のカッコウには
なかなか理解に程遠いものがあったのだ!!!
マジシャン猫はもごもご何か言って
自前のステッキでコツンッと
アスファルトの道路を叩いた。
みるみるうちに
散る散るオートレース場に、
観客の顔が期待に満ちる。
喚声がわく。
「カッコウ!カッコウ!」と。
魔法の公園に早変わりしたのだ!!!
二匹のカッコウは焦った。
なぜなら
なぜならそこには
猫がわんさかいたからにゃ!
く、くわれる!!
そう思った二匹のカッコウは、
バイクで走り出した。
躯の横を新緑の臭いが霞む。
まるで龍角散のど飴の袋を落としたような空。
すべてが青春だった。
「おいカッコウ」
カッコウは続けて言う
カッコウいいぜb
(バイクは盗んだものではありません。
あらかじめ。)
しかしそのとき!!
目の前に大海が広がった。
コバルトブルーのその大海原は
なにもかもを飲み込んで
吐き出して
また飲み込みそうな
そんな海だった
広かった
水平線の向こうまで風になりたかったが
ぜっつーではぜってーむりってことで諦めたカッコウ二人組
後ろを見ると
猫はおっかけて来ていなかった。
少し残念に思ったカッコウ。
これからどこにいくのか。
これから何をして生きていくのか。
そんなことをモヤモヤと考えつつ
トボトボと帰路につくのであった。
二匹のそれぞれの道。
道は違えど同じ時間を少しでも生きた二匹。
夕陽がやけに眩しい。
「なあ」 ーん?
「猫ってかわいいよな」 ーそうだな。
「俺、猫飼うわ」 ー俺も。
ネズミが虎を飼うような、そんな話をした。
涙が零れていた。
笑えよ
笑うときはこうだ
一匹のカッコウは急に腹をかかえて地面を転がりはじめた。
するともう一匹も真似をした。
どーもー!
カッコウです。
どーもどーも
カッコウです。
二人合わせて
カッコウカッコウ!
こけこっこー
ぱちぱちぱち
ぱちぱち・・・
・・・
拍手の音は、日の暮れた空へ消えていく。
おしまい。