厚い蛹のうた
みんなと同じものがほしい
みんなにはあって ぼくにはない
同じ時代にうまれたのに どうして、ない
ぼくもほしい
笑いながら走りまわれる からだが
ぼくもほしい
朝日に目を輝かせられる こころが
ぼくもほしい
足りないみたいで いやだから
いつも、無いものを求めている。
いつも、星に手を伸ばしている。
愚かに、愚かに、空っぽに。
貼り付けた、塗りたくった、妄想に、
手を伸ばしている。
もう、直せない。
もう、繕えない。
現実に、現在に、
妄想を貼って、塗って。
そっぽ向いている。
羽がはえる前は、ただ、無くしたものを受け入れないために、厚い厚い繭に閉じこもります。
いつか、羽がはえて、無くしたものを受け入れ、繭を突き破る日のために。