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威厳の持ち方

ほんと遅くてすいません

 "翠の首都苑陽"


 朕は長淵明≪ちょうえんめい≫。一応翠の皇帝である。朕は…なんかこの喋り方めんどくさいから、もう普通に話す。

 俺はまぁ諸国から醒帝とかって呼ばれてるが、これ、贈り名なんだよな…死後に付けられるもんなのだよなあ…あっれー?俺いつ死んだよ?

 まぁいい。今は目の前の属国≪ゆうこうこく≫からの使者をもてなさねば。


「よく来た屠比の使者よ。貴様らの主人は息災か?」


 俺が問うと屠比の使者は淡々と答える。

 …全く…どいつもこいつも下にみやがって…


「そうか、それは何よりだ。ところで貴様らの周辺も変わりないか?」


 俺はとりあえず宗主として事務的な質問をもう一個飛ばす。


 まさか二つも来るとは思っつなかったんだろうな、意外と驚いてやがる。


 そしたら俺が今度は表紙抜かれた。


「そ、それが…最近南にある日ノ本という国が一気に勢力を伸ばし…大変失礼ながら、翠の技術に勝るとも劣らないかと…また、神が統治するとも謳っておりまして」


 流石に意外と同時にムカついた。


「んだとごらぁぁぁ!この翠に勝るだと?神?この翠の皇帝たる朕以上の存在などおるか!無礼にも程がある!やれ!」


 俺は周りの武官に命じ屠比の使者を殺した。

 そして俺は屠比の使者を惨殺したことをこの後後悔するなどついぞ思わなかった…


 ってこれフラグじゃねーか!


 まぁともかく、なんだその日ノ本とかいう国に少し興味は湧いた。

 向こうから来たら適当にもてなすか。え?屠比?んなもん知るか。


「次の者、前へ」


 側近の声で我に返り、また肩の凝りそうな上辺だけの威厳を振りまく作業を俺はこの日、半日続けた。

 朝貢国が多いのも考えものだな。



 "日ノ本高降宮"


 一年って早いなぁ…え?時間飛びすぎって?仕方ないよ。あれから肥料と紙、それから火薬作りという地味な絵面だったんだから。

 まぁそんなことは置いといて、僕は今、というか今更あることに気づく。


「あれ?神様視点(勝手に命名)が広くなった?」


 神になった頃から使えるようになった、自分の影響下にある地域及びその周囲を見る能力が上がっていたのだ。

 単純に考えるなら、自分の名が周囲に伝わり、信仰力を集めている。と考えるべきなのだろう。そして、それが今役立ち中なのだ。

 言ってなかったが、ここは「戦場」。正確には敵の政治中枢だ。


 火薬ってすげー


 今日日この日以上に火薬のすごさを思ったのは過去人間だった頃には無かったものだった。

 ただの黒色火薬。下手に火を近づければ簡単に引火、爆発を起こす火薬も、その存在が未だ不明瞭なこの時代ならば大きな武器となりうることを再確認した。

 そしてもう一つ、これとあとは鬼道、もっと言えば魔石の使い方でとんでもない兵器を作れることに僕は今気づいてしまった。


 まぁそんなことより現状説明だね。

 今日ノ本は南部にある冊眞国に絶賛侵攻中。火薬の入った木筒に導火線をつけ、それを火をつけた状態で弓で敵に打つ。

 作業だ。今は銃を作る間のつなぎとして弩≪クロスボウ≫を作成中だ。出来れば連弩も欲しいが銃が出来れば無用となる為作るつもりはない。


「聖上、敵は退いてゆきます。追撃なさいますか?」


「ん?ああ、敵の大将首は?」


 僕は知らせに来た兵士に問うた。

 すると、兵士は苦々しく、申し訳ない表情で


「申し訳ありません…あと一歩まで追い詰めたのですが…」


 逃げられた…か…仕方ない。


「敵の残存と逃げた大将を追ってください。ただし少数の兵でです。追撃には…比呂那≪ひろな≫を責任者とします。何としてもとり逃さず、捕縛し首を僕の前まで持ってきなさい」


「はっ!」


 威勢のいい返事を兵士はすると比呂那にこの件を伝えるべく比呂那の指揮する部隊へ駆けて行った。


「んだよ、威厳ねぇな」


 ⁈


「驚くなって、俺っちはどこからともなく現れるんだぞ?というか少数の兵で追うのか…方角は?」


 金山彦か…脅かさないで欲しい…


「ええ、私の能力で逃げた方向、位置は把握してます。ここから東に約2キロも行ってないところに小さな洞穴が。そこにいますね」


 ほう、と金山彦は感心の目を僕に向ける。

 からかわないでもらいたいなあ…


「ともかく、言葉遣いに威厳がねぇ。テメェは一応神だ。神なら神らしく唯我独尊って感じで振る舞え」


 ぐ…仕方ないだろ、癖なんだから…


 ちなみに言葉遣いの件は伊津根にも言われた。もうちょっとしっかりなさいませ。と。

 ま、少し考えた方がいいかもね…

 さて、まずは冊眞国の首都的位置付けのこの土地を整備して、僕の影響力を高めないと…


 こうして、冊眞国の王はさっくり捕まりその場で首を切り落とされた。

 とはいえ、未だ国家統一には程遠いことは認識している。しかし僕は、この世界をまだ甘くみていることをこのあと思い知る。

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