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吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界探索記録 一冊目
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七日目 オフ会

「大丈夫かな……」


 不安を覚えつつもコートを羽織る。チラチラと雪が目の前を通りすぎるようになった。


 結局服は全部友人に頼んだ。全身コーディネートしているときの顔が忘れられないほどに楽しげだったのを思い出した。


 俺もゲームじゃなくああいう趣味だったら友達増えてたのかな、なんて。ゲームっていう趣味のお陰で稼げてるんだけどね。


「どれに乗ればええんやろか………」


 つい方言が出てしまう程には複雑なんだけど。なにこの電車の時刻表。なんで同じ電車なのに普通とか特急とか急行とかあんの。


 何が違うかわからんのだけど。


 あ、俺には文明の利器がついてるんだった! 携帯の電源をつけてインターネットで調べた。


「………意味わからん」


 結局時刻表と書いてあることと何ら変わりなんだけど。何故にこんなにもややこしいんだろう。


 もう最終手段をとるのは嫌だけど駅員さんに話しかけた。


「あの、ここまでってどういけばいいんですか?」

「ああ、それはここの線の特急に乗って最後まで行ってから地下鉄に乗り換えて………」


 なに言ってるか全然わからん。どうしよう。


「携帯、貸してくれる?」

「あ、はい………」

「アンドロイドならGo○gleで………ほら出た」

「おお、凄い………」


 携帯なんて普段使わなかったからこんな機能あるなんて知らなかった。今時の科学スゲェ。


 駅員さんにお礼を言ってから携帯を見つつどこに乗り換えるとか確認しながら進む。いやー、これ便利だ。後何分で電車が出るとか教えてくれるのはめっちゃ助かる。


 いや、俺が方向音痴な訳じゃないけどな。


 駅から降りて、歩く。


 歩く。


 歩く…………


「迷ってない…………よな?」


 土地勘ないから迷ってるのかちゃんと進めているのかさえわからないんだけど。


 でも手元の携帯はまだ進めって言ってる。もう俺にはわからん。頼みました、Go○gle先生。


「着いた…………」


 何故かめっちゃ遠回りの道進んでたんだけどなんで? この携帯がポンコツなのか?


 駅から歩いて4分って聞いてたのに30分かかったんだけど。


 まぁ、迷うことも考えて一時間余計に時間とってあったからよかったけど。電車の方でも色々あったせいで結構ギリギリだ。


 確か、ここの四階………って誰が借りたんだろう、このビル。凄いお洒落なんだけど。俺なんかは二度と入ることはないだろうって思ってたほどの。


 親父の会社は除く。あそこは別の意味で入りたくない。


 エレベーターがなんか混んでたので階段で行く。いや、だってコミュ障の俺には駅員さんに話しかけるだけで死にかけてたもん。


 あんな狭い空間で知らん人に押し潰されるとかどう考えてもごめん被りたい。


 階段のところからそっと入り口の方を見てみると、うちのギルドの名前がかかれた看板が置かれていた。よし。間違ってないな‼


 ギリギリまで心配だったんだ。


 さてどうする。さっさと入れって? 俺がさらっと入っていけるタイプだと思うなよ! なんかこう……キャピキャピしてて入りづらい。


 女だろとかその辺は今はノータッチでおなしゃす。


「あの、どうし―――」

「ぴゃああああ⁉」


 後ろから話し掛けられてガチでビビった。っていうかなんだ今の悲鳴‼


 自分でもキモいって思ったわ!


「あ、え、ごめんなさい………」


 とりあえず謝ろう。叫んだ俺が悪いよな、今のは。だって今の俺どっからどう見ても怪しい。とてつもなく怪しい。


 女子高生ってことで見逃してもらえないだろうか。


「いえ、こちらも突然声をかけてしまって………もしかしてそこに?」

「は、はい………」

「本当ですか! じゃあ一緒に中に入りましょう!」

「ふぇ⁉」


 ぐいっと引っ張られる。こ、心の準備ができてない! あ、入っちゃった。


 周りを見渡していると人、人、人。俺のギルドってこんなに人いたっけ⁉ いや、いたな。っていうかよく集まるな皆。近くにいた人に聞いてみた。


「こんなに人がいるんですか………」

「今日は顔出ししていなかった二人が来るってんでみんな来ちまったんだよ」

「ギルマスとヒメノか………」


 俺らのせいだった。なんか俺がセドリックだぜ! とか凄い言いにくいんだけど。


「それよりあんた誰? 俺パーティ1のダイテーク」


 早速キター! っていうかこいつダイテークだった! 思ってた以上に若くてビックリだよ!


 だってダイテークって髭ぼうぼうのおっさんキャラだし。二十代前半くらいか?


「思ったより若いんですね……」

「まぁな。今24だよ」


 若い! いや、俺の方が大分下だけど。


「お嬢ちゃんは?」

「今高2です」

「高校2年か! いいなぁ、わかいなぁ!」


 いや、あんたも大概だよ。


 っていうか思ってた以上にうちのギルドって凄かったみたい。このオフ会、お金は運営が出してくれるんだって。全部ダイテークから聞いた。


 立食パーティでみんな好きなように歩いて話すんだそうだ。まぁ、聞いてみるとほぼ100%ゲームの話だけど。これ普段のゲーム内の酒場と変わんないな。


 どうしよう………とりあえず食べるか。腹へった。


 適当に食べ物をとっていると前にいた人とぶつかった。


「ご、ごめんなさい」

「あ、さっきの」

「あ、さっきの……」


 さっき俺をここまで引っ張ってきたくせにいつのまにかどっかに消えた人だ。


「丁度よかった。お話ししませんか?」

「え、あ、はい……」


 断れねぇ感じだ。っていうか俺顔一切見てなかったけどすんごいイケメンだこの人。


 俺の姉よりテレビ向きの顔してるわ。


「僕、ここ来るのはじめてで」

「自分もです………」


 初めてで俺をぐいぐい引っ張ってきたんかい。そうでもしないと入らなかった気がするけどな。


「その、間違ってたらごめんなさい、なんですけど」

「はい?」

「ギルマス、ですよね」

「っ⁉」


 マジかよ⁉ どんな目してんのこの人⁉ っていうかそれ以前に俺女だけどその辺りも⁉


「その反応、そうですよね?」

「は、ははは………」


 なんて返したら良いのかわからなくて笑うしかない。しかも今の言葉で人が集まり始めていた。


「僕、その、引かないでいただけると嬉しいんですけど」

「?」

「ヒメノです」

「「「「……………ええええええええええ⁉」」」」


 横で聞耳立ててやがったぞこいつら‼ 結局うちのギルドメンバーだなここにいるやつ。


「やっぱりギルマスって女性だと思ってたんです」

「そんなに隠せてなかったかなぁ……」

「いや、僕がそう言うの気づける人なので」

「おおぅ………」


 ヒメノは男で俺は女。……………じゃあ結局告白成立しちまうじゃねぇーか⁉


 俺がいけないのか⁉ この前フラグ立てたのか俺は⁉ ヒメノがネカマだったら……とか思ったのがアウトだったのか⁉


「ギルマスだって」

「え、あんな小さい子が?」

「マジかよ」


 小さい子って俺もう16なんだけど………あ、そろそろ17か。


「そのとなりにいるのがヒメノさんなんだって」

「うっそ、ネカマだったの⁉ いや、ギルマスもネナベだったけど」

「結構お似合いなんじゃ………」


 いや無いから⁉ お似合いとか止めて⁉ 恥ずか死ぬ‼


「ギルマス!」

「は、はい⁉」

「付き合ってください!」

「今あったばっかりなのに⁉」


 一気に悲鳴のような歓声があがる。なんなんだよ今日は…………。

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