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吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界?探索記録 四冊目
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三百七十四日目 説明してなかったっけ

 それから数時間お客さんの来ない店頭でシェロさんとぼーっと店番していたところ、ブランが帰ってきた。


 なんか疲れた顔してる、気がする。


「マスター、おかえりなさいませ」

「ああ……ただいま。お客さん来た?」

「いえ……」

「まぁ雨だしな。ミズキさんもお疲れ様。ここからはエルヴィンも空くから二人とも帰っていいよ」


 即座にシェロさんがスッとお辞儀をして店を出ていった。シェロさんはここ以外でも何か仕事? をしているらしいから、そっちに行ったんだと思う。


 着替えを終えてからブランに、ピネさんに言われたことを話してみた。


「今日、ピネさんって人……人? ……に会ったんだけど」

「ピネ? ミズキさんってそんなにハッキリ見える人だったっけ?」

「最近特にしっかり見えてる。っていうかその話じゃなくて、ピネさんにブランのこと聞いたら『ブランのことは直接聞いて』って言われたんだけど、私に何か隠してない?」


 すごいざっくりした聞き方になっちゃった。


 ブランも若干ポカンとした表情をして、目をそらす。


「いや……まぁそりゃ隠してることはあるけども。話せることと、話したら危険なことと、話せないことがあるからな……」


 ……危険なことって何。


「特に俺の種族に関してはミズキさんの安全が脅かされる可能性があるから言えない。何かそれ以外で聞きたいことある?」


 種族って、どう言うこと……? 人じゃないの? って思ったけどそう言えば妖怪とかと取引してるんだから人間じゃない可能性全然あるわ……


「ええっと、じゃあ今日とかもどこに行ってたのか知りたいんだけど」

「うーん……異世界的な感じ……?」

「何その曖昧な返事」




ーーーーー《ブランサイド》




 イベルの件で一旦情報収集が行き詰まって、帰って来て早々。


 なんかピネが色々とミズキさんと話をしたらしくミズキさんから質問を受けた。


 種族の件については、俺の弱点探ってる奴らからすれば垂涎ものの情報だから、知ってたら襲われる危険があるから絶対言えないけど。あっち(イベルの方)に関してはどこまで言うべきか、正直悩む。


 別に話してもいいかとは思うんだけど……別の世界があって行き来してます、って話はあまり外には漏らしたくないんだよね。メイドやエルヴィン達の戸籍捏造してるのバレるから。


「これ、俺たち以外の人には言わないで欲しいんだけど……メイド達含めこの店に関わる殆どの人は日本人じゃなくて、異世界の住民なんだ」

「……とりあえず、一旦納得しておくけど。じゃあなんで日本で雑貨屋さんやってるの」

「いやそれは……何でだろうな?」


 そういえば別にわざわざこっちで働く必要あるか?


 一応メイド達もこっちで働きたいって言うから店作ったけど。


「なんでブランが疑問系なの」

「いや、そう言えば別に日本でも店やる必要ってあんまないな、と今更……まぁ今更だな。強いて言うなら成り行きだ」


 ひとまず状況わかるまでソウルとこっちで暮らすって言ったらみんな着いてきたんだよ。で、資金繰りに困ったから店作ったら案外儲かっちゃって、やめるにやめられなくなったんだよ。


 最初は俺とソウルの貯金とか切り崩してたんだけどね。


「ブランって結構適当だよね……ってことはその異世界? の行き来って簡単にできるんだ」

「簡単にできる、ようにした。維持大変だけど」


 俺の魔力、定期的にかなりの量使ってるからコスパはかなり悪い。


 個人的にもあっちの様子は気になるからこれが最善なんだけどね。


「じゃあなんで日本に来たの?」

「それは……まぁ、一応故郷だし。付け加えるとこっちでやり残したことがあったのと、ソウルがいたからだな。俺一人だったら多分帰ってこようとは思わなかっただろうな」


 ソウルは俺とは違って、しっかり自分の居場所を作っていた。


 家族を遠ざけてゲームに逃げてた俺には、居たい場所なんてなかったんだ。だからソウルの居場所を潰したくなかった。……居場所って簡単に作れるものじゃないから。


「人間じゃないのに日本人なんだ……?」

「俺は元々普通の……ってこれ以上は良くないな。種族に関してはノータッチで頼む。生まれは日本だよ」


 会話の流れでさらっと吸血鬼って言っちゃいそうで怖い。


 もはやミズキさんって半分身内だから、あんまり隠そうって気分にならないんだよな。


「隠したいのか話したいのかどっちなの」

「話せるなら話したいよ、こっちだって。ただ色々面倒なんだよ」


 誰がどう動くかわからない以上、可能な限り安全策を取らないと安心できない。





 いくらか質問して全て納得したわけじゃなさそうだが、結構時間が過ぎたのでミズキさんは先に家に帰ることになった。疑問に関しては、俺が答えられないものもあるから消化不良って感じだけど。


「送ろうか? 結構暗いし」

「大丈夫これくらい。それじゃあまたバイトあったら呼んで」

「わかった。気をつけて」


 ミズキさんを見送って数秒後、通信機で連絡が入った。


「ああ……今からそっちに行く。俺が行くまで殺すなよ」


 イベルが何者かの襲撃に遭い、襲撃者をメイド達が捕まえたとのことだった。多分相当酷い目にあってるとは思う。


 ……とりあえず死んでなきゃ、手足くらいは無くなってても別に怒らないかな。

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