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吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界?探索記録 四冊目
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三百七十三日目 和解……?

遅すぎました本当にすみません……


ちょっと色々あって全く書けない時期が続いたんですが、これからは改善……していければ良いなぁと思います。

 ピネと名乗った妖精……じゃなくて精霊? さんが気遣ってくれているのを感じる。


 初対面の相手が気を遣うくらいには明らかに浮いてるよね、私。


『ブランがまた適当なこと言って困らせてないかしら。こっち……日本で見える人を探すのって難しいから』

「あの、前から気になってたんですけど……今回もそうですけど、ブランとか皆さんってたまに何処かへ行きますよね? なんか私が行けない場所っぽいのはわかるんですが、そこでは見える人って多いんですか?」


 ピネさんがポカンとした表情をしてから、大きくため息をついた。


 なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃった!?


『あ、これはブランに対してのため息だから、気にしないでね。あいつ、そんなことも説明してないの……いや、わざとなのかしら。ごめんなさいね、ブランに直接聞いてもらえるかしら』

「わ、わかりました」


 ピネさんが肩をすくめながら謝ってきた。動作がいちいち可愛い。


『あんまり言わないかもしれないけど、あいつなりに感謝してるはずよ。シェロの態度を見てわかるように、私たちはこっちの常識には疎いから。接客業だし問題が起こってからじゃ遅いしね』

「私も問題起こさない保証はないですけど……」

『あなたが対応して問題が起こるのなら、それは誰が接客しても同じよ。気負わず、普通で大丈夫』


 ここ最近、非常識なことばかりで、ちょっと疲れてたけど。


 ピネさんが一番の常識人だってわかって、なんかほっとしてる。


 背格好は一番常識から外れてるけど。そもそも人間じゃないけど。


『ブランの事情は私が話しても良いんだけど、下手に色々教えるとこの国の法律的に面倒なことになるかもしれないから……ごめんなさいね』


 法律が絡んでくるの……? こんな非常識な世界観で?


「い、いえ。ありがとうございます」


 こんな丁寧な対応、久々な感じがしてなんとなくお礼を言ってしまった。


『それじゃあ私は薬の仕分けしてるから、何かあったら呼んで。シェロ、ミズキさんと仲良くね』

「はい、かしこまりました」


 ブランに返事する時みたいな反応速度でシェロさんが頭を下げた。本当、どんな立場なのか気になる……。


 ピネさんが従業員用の扉にあった小窓を開けて奥に入って行った。


 ……あの小窓、移動用だったの!? 確かになんで覗き用の窓に取手ついてるのか、若干疑問ではあったけど。


「ミズキ様。数々のご無礼をいたしました。申し訳ございません」


 突然、シェロさんが頭を下げてきた。ピネさんに言われたからか行動が早い。


「えっ? あ、いや……お気になさらず。私も色々とやらかしてる可能性、全然あるので」


 急に謝られると、なんか調子が狂っちゃう。無視されるよりずっと良いけどね。


「それで、あの……怒らないので教えて欲しいんですが、私なんかやっちゃってるから嫌われてるんですか? 教えて欲しいんです、ここの人達、明らかに私を避けてる人が数人いて……」

「……正直に申し上げますが、我々はミズキ様に良い感情を持っているとは言えません」


 ……わかってたけど、そう面と向かって言われるとちょっと傷つく。


「マスターのご学友の方だとは、わかっております。常識に疎い我々のために、フォローに回ってくださっていることも。ミズキ様のご厚意で、働いてくださっていることも。わかっているつもり、なのです。我々は感謝するべきなのも、理解しているのです」


 なんか、めっちゃ頑張って自分を納得させようとしてない?


「ですが、理解すればするほど、自覚するのです。我々だけでは、マスターの期待する成果には届かない。ミズキ様の助力なくしては、この店は回らないのだと、マスターは判断された。我々では、力不足だと……判断なされたのでしょう」


 あー……そういうこと。


 ここの人たちが私に対して全体的に冷たい理由は、見捨てられた感じがしたからなんだね。


 外からやってきた余所者が、急に自分たちよりも優遇されて向かい入れられて。


 これまでやってきた自分たちが蔑ろにされてるって思ったんじゃないかな。


 これは、ちょっとブランが悪いかも。


「違いますよ。私がここに来たのは、ブランに頼み込まれて……って感じでもなくて。確かに誘ってきたのはブランからですけど、ここで働くことに決めたのは、単純に提示されたバイト代が良かったからです。それに、多分見えれば(・・・・)誰でも良かったと思いますよ」

「そう、かもしれませんが……」


 シェロさんの表情は暗い。直接ブランから聞かないとダメだと思うけど、私からも一応言っておかないと。


「いつもブランは『皆がなんとかしてくれるから大丈夫』って適当言ってるんで、私なんかよりずっと皆さんの方が信頼されてますよ。自信もってください」


 丸投げしてるだけとも言うけど、ブランなりに周りに任せているってことだとは思う。


 ブラン、私にはあんまり単純作業以外の仕事振らないから。


 危険な物だったり、よくわからない物の取り扱いが多いからってだけなのかもしれないけど、シェロさん含め周りの人達には明らかに雑な指示で色々やってもらおうとしてるのをよく見る。


 「この薬、良い感じに分けて使えるようにしといて」とか。良い感じって何っていつも思うけど。


 私の場合「レジ見といて」とか「これ向こうの棚に置いといて」とか、それくらいのレベルの仕事しかないから、結構顕著に仕事内容が違う。ほとんど予約注文のお客さんの商品受け渡ししかしてないし。あと軽い掃除とか。


「ブランの指示、聞いてればわかりますよ。今度私に出してる指示とシェロさんが受ける指示、聴き比べてみてください。わかりやすく単純作業以外の仕事、私には振らないので」

「……わかりました。ご助言、痛み入ります」


 これは和解までかかりそうかな……。


 ブランにも言っとかないと。私なんかに嫉妬しちゃってギスギスしかけてるよって。

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