表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界?探索記録 四冊目
356/374

三百五十六日目 みんなで話を聞きに行こう

 おっさんぽいって……似たようなもんかも知れんけどさ。


「でも、今日学校あるんじゃないの? だから残ってたんだよね?」

「そうなんだが……ちょっと正直講義どころじゃなくてな。まだ単位落とすほど休んでないし、サボるよ」

「管理できてるなら、いいけど」


 出席日数ギリギリになるように調節してわざと休む人もいるし、問題はない。


 一応、それぞれ三分の二は出席しなければならないから講義は最大五日分休める。ただ、公休とか入ると分母が削れるから最大が四日になったりもするんだけど。この講義に関してはまだ一日しか休んでないから大丈夫だろう。


「とりあえず、今日は休みにさせて欲しい。明日は……ごめん、明日になったら連絡するよ」

「そんなに大変な用事なの?」

「大変と言えば大変か……? ああ、一つ聞いてみたいんだけど、学校から謹慎くらって親に話さないってどんな気持ちかわかる?」

「何その質問」


 脈絡なさすぎた。


 しかも質問も意味不明だし。


 だって気になるでしょ。俺みたいに親と会話することすら拒否するような間柄じゃない(と思いたい)のに、わざわざ内容隠して友達の家を頼るってなんか変じゃない?


 いや、イベルが俺のこと嫌いすぎて頼りたくないってんなら、まぁ……悲しいけど、一番納得できるかもな。


「質問の意図が微妙にわかんないけど……親に言えないってのは、なんとなくわかるよ。どんな理由で謹慎なのかわかんないけど、普通に心配かけたくないし」

「心配かけたくない、か……」


 イベルの場合は『迷惑かけたくない』なのかな。


 あいつはあいつなりに、俺たちになるべく頼らないように生活するつもりみたいだし、その通りなのかもしれない。


「もしかして、ブラン謹慎になったの?」

「いや、俺じゃなくて」


 なんもやってないよ俺。多分。こっちでは基本大人しくしてるつもりだよ。


 まぁ、本当のところどうなのかは本人から聞けばいいか……。話してくれるといいけど。








 色々話を聞きたがったミズキさんを一旦帰らせてからソウルに電話で連絡をとる。


 ……うん、電話にでない。そりゃそうだ仕事中だもん。


 でも、これで履歴残ったから仕事終わったら連絡してくるだろう。その前にライトとエルヴィンを呼べばいい。


 という事でエルヴィンに電話する。こっちの世界で魔法はなるべく使わないようにしてるから、通信機器の類はみんなに支給している。エルヴィンとか、ありとあらゆる電子機器を使いこなせてる。


 ちなみに今日、エルヴィンはお休みなので多分俺の家かエルヴィンの部屋に居ると思うけど。


『何か忘れ物か?』


 1コールで出て第一声がそれって、俺はどれだけ忘れ物が多いやつと思われてるんだろうか。間違いではないけど。


「いや、忘れ物ではないよ。ライトは居るか?」

『ライトか? 居るぞ。代わるか?』

「あー……スピーカーにしてくれるか? 二人に関係ある話なんだ」


 多分俺の家に居るな。少ししてライトの声が聞こえてきた。


『どうなさいましたか?』

「なんか、イベルが学校から謹慎処分を受けたらしくて……知ってたか?」

『『………?』』


 電話口の向こうが明らかに困惑した空気感になった。


 俺だって最初はそんな反応だったかもしれん。


『謹慎、だと? しかし、学園長はブランのことを知っているのではないか?』

「それに関しては、学園長本人と連絡を取って直接聞いた。どうやらもっと上が口出ししてきてるみたいだ。最初は退学を要求されたそうだよ」


 エルヴィンとライトが深いため息をつく。


 面倒な輩がちょっかいを出してくると言う状況は、俺たちにも覚えがあるしな。


『退学ですか……。この件でイベル様とはお話されましたか?』

「いや、まだだ。ソウルと連絡を取り次第、あっちへ向かうつもりだ」


 一人で行けばいいじゃんと思われそうだが、こういった会話はソウルの方が圧倒的に上手だ。


 俺は人の悪意を見つけるのは割と得意だけど、それ以外の感情はさっぱりわからない。


 たとえ嘘を吐かれていたとしても、それが善意による嘘とかだと基本わからない。陥れてやろうと画策してくる相手を発見するのは簡単なんだけどね。普通にあまり嬉しくない能力だけど。


 ソウルは相手の細かな仕草から『なんとなく』らしいけど考えていることを読み取ることができる。俺よりも圧倒的な精度で読み取れる。俺は悪意があるか、ざっくり判断することしかできないしね。


『そうですか。それではこちらもイベル様の元へ向かいます。準備が整いましたらお呼びください』

「ああ。店は一旦閉めようかと思うから、そっちにいるメイド達にも伝えておいてくれるか?」

『かしこまりました』


 これであとはソウルの連絡を待つだけだな。


 と思ったら今電話がかかってきた。


『ブランさん、端末の件で何かありましたか?』

「いや、それとは関係ないんだけど」


 電話越しにざっくり現状を伝える。


 ちゃんと説明できたかどうかわからんけど、多分理解してもらえただろう。


『そんなことに……わかりました。これから商談があるんですが、それが終わったら直帰していいとのことだったので、お店で集合しませんか?』

「ああ。じゃあ先にエルヴィン達と待ってるよ」


 後はソウルが帰ってくるのを待てばいい。今回みたいなのはソウルがいないと無理だ。次点でキリカか。ひとまず店に行くためにソウルの家をでた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ