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吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界探索記録 三冊目
200/374

二百日目 余計に胡散臭いとは失敬な

 二百部目です!


 ということで次回は特別編『イベルの学園祭』を投稿しようと思います。本編全く関係ないです!


 単にイベルが書きたいだけです、すみません。

 首を回すと、コキコキという音がなる。ちょっと凝ってるみたいだな。


 ここ最近、あまりしっかりと休息がとれていない。


 ま、本調子じゃなくてもこれくらいの人達なら、楽勝だ。


「なんだこいつっ⁉」

「どうもお疲れ様」


 普通の人間より固い。衝撃を受けると鉄板みたいに硬度を増す特殊なスーツか。俺の場合、数センチの鉄板くらいなら貫通しちゃうからほぼ無意味だけどね。


 友里さんと広大さんは凄いな。人間そのものを強化するなんて俺なら思い付かない。


 俺の場合は周りが優秀だから強化の必要もないだけなのかもしれないけどね。


「浅間グループ……やっぱりあの二人面白い」


 俺が調べたところによると、あの二人はこのスーツを作る仕事をしている。


 広大さんが主に身体増強のアプローチ、友里さんが人間の限界を越えないようにするストッパーをかけるプログラムなんかを担当しているらしい。


 広大さんやっていることは普通にスーツの作成なんだけど、友里さんのはちょっと特殊だ。


 広大さんのスーツに人が入った時、生命維持のために人が無意識に行っている身体能力のストッパーを越えて稼働しないようにする。という研究。


 俺が普段意図的に行っていることを友里さんはコンピューター制御で行っているんだ。


 俺の場合は急激な魔力総量の変化に体が耐えきれないからわざと周囲に放出し続けている。友里さんの場合は使用者がスーツに殺されないようにする制御装置の開発をしている。


 友里さんが襲われるのは、これが原因だ。


 このスーツは土木工事などに役立てられる為に作られたらしい。だが、どこでも危険なタイミングというのはある。その時が来たら一瞬でも限界突破して動けるようにする機能がついている。


 つまり、意図的に火事場の馬鹿力を引き起こす機能がある。


 これによって落盤事故からなんとか走って逃げ出せただとか、崩れた足場の下にいた子供を助けることが出来たとか、いろいろと聞いた。


 だが、その後スーツの使用者は足の筋繊維を酷使したために一週間絶対安静を命じられるくらいの怪我をしたとか。


 無理に100パーセントを引き出そうとすれば、そりゃ体はボロボロになっていく。


 だが、身体能力の限界を越えられるというのは確かに魅力的だ。


 いざというときに役に立つ。


 そしてどうやらそれに目をつけられたらしい。


 中の人が怪我をするとはいえ、かなりの身体能力を手にいれることができるスーツ。人によっては喉から手が出るほど欲しい代物だろう。


 友里さんは制御装置を外す解除コードを唯一知っている。


 だから何度も襲われる。彼らが欲しがっているのは解除コード、つまり人智を越えた『限界以上の力を引き出す道具』だったんだ。


「確かに、人の力を越えているのは確かだね。解除コードが知られたら困るのもわかる」


 今の状態から更に手強くなるのは確かに厄介だな。ここにいる全員、たとえ解除コード使ってストッパー外してもキリカに負けるくらいだろうけど。


 うちのメイドとそれなりに戦えるくらいにはなると思う。


 俺の家族、あっちの世界でもかなり強いし。


「おっと、危ない危ない」

「化けもの……」


 真後ろから飛んできた小さな針みたいなものを摘まんで止める。


 見た感じ麻酔か何かかな? 調べてみないとなんとも言えないけど。


「今の俺に不意打ちは効かないよ? 警戒してるから君たちの策には多分引っ掛からない」


 今の俺には死角がない。全方位からアニマル達の目がこっちを監視し続けている。


 当然俺の目にも同じ光景が見えているから、今の俺はたとえ真下から来られても後頭部めがけて後ろからまっすぐ来られても、射出速度の遅い針程度、掴んで止められる。


 その分大変なので正直言うとあんまりこの手は使いたくなかった。だって常に大量の情報が流れ込んでくるんだし、知恵熱が引き起こされることもある。


 だけど、これでもうここには人がいないことがわかっている。


「なんなんだよ、お前は」

「さて、何でしょうかね」


 戦意を失ったっぽい最後の一人に催眠の魔法をかけて真上に空けた風穴から外へ飛び出す。


 隠蔽魔法をかけると、前方からなにかが飛んできた。ぼんやりとしていて輪郭のはっきりしない悪魔、銀雪だった。


 後方にはキリカと友里さんもついてきている。


「なにやってんのツキ⁉」

「軽く監禁されかけたから、腹いせにぶっ壊して出てきちゃった」

「やばくないそれ⁉」


 キリカは俺の体をペタペタと触って無事を確かめてくる。


「マスター、お怪我はございませんか」

「ああ。大丈夫。怪我はない。それより聞きたいことがあって」

「何でしょう?」


 友里さんは怪訝そうな顔をしてこっちを見た。


 なにその顔。


「どうした?」

「いや、たとえ捕まったとしてもぶっ壊してでてくるとか……やりすぎなんじゃないの?」


 ……そうかなぁ。


 いかん、メイドたちに染まってきてしまっている。


 自分から粛清に行かないだけでましだとか思ってる俺がバカみたいじゃないか。


 とりあえず銀雪に頼んで隠蔽をかけてから家へと帰ることにした。今度は徒歩で。


「今家に帰って大丈夫なの?」

「なにが?」

「家で待ち伏せされてたとかないよね」

「ああ、そこは安心しろ。一応守りの札を貼っておいた」


 見せると、さらに怪訝そうな顔をされた。


「余計に胡散臭い」


 失敬な。

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