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吟遊詩人だけど情報屋始めました  作者: 龍木 光
異世界探索記録 三冊目
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百二十八日目 俺の扱い酷すぎません?

 髪が黒くなってから何日か経つが、戻りそうにない。どっちでもいいけどさ……。


「いって!」


 ボケッとしてたら手が滑って親指にマイナスドライバーがズブッと入り込んだ。


 引き抜くと中々グロいことになっていたが数秒あればそれくらいの傷勝手に塞がる。


「やっぱ化け物だな……」


 血で汚れたドライバーの尖端を布で拭って綺麗にし、また作業を始める。これは瘴気内でも活動可能に改造したアニマルゴーレム、小鳥ちゃん二号改。


 この前の失敗から学んで作った自信作だ。


 耐性が高かったから髪が黒くなるだけで済んだけど、次またおんなじことがあったらどうなるかわからないからな。


 普通の人みたいに狂っちゃうかもしれないし。


 ……そうなったらこの世界ぶっ壊しちゃうかもしれないな……。


 理性がとんだ場合どうなるか試したことないし。


 町一個は一瞬で吹き飛ぶ気がする……。そんなのは絶対阻止しないと。


 なんて馬鹿なことを考えていたらイベルから連絡があった。


『ブラン? 今暇?』

「なんかその言われ方は俺が仕事してないみたいで癪だが……まぁ、たいした予定はないな」

『じゃあさ、召喚魔法教えて‼』

「え? なんでそんなまた急に」

『得意でしょ?』

「苦手ではないけどよ……」


 レイジュも召喚魔法で呼び出した召喚獣だし、もっと言ってしまえばライトもピネもその分類に入る。


 昔はもっと沢山いたけどな。


『じゃあよろしく! この前の公園でいいから!』


 やるとは言ってないのに即行で通話を切られた。あいつのなかで俺って一体どんなポジションなんだ。


 少なくともメイド達よりランクが低い気がする。


「はぁ……仕方ない、行くか」


 扉を開けると、玄関が開け放たれた音がした。これはレクスだな。多分。


「ブラック! 遊びにきたぞー」

「俺今から出掛けるんだけど」

「なっ」


 なにその反応。俺が引きこもりとでも言いたいのか。間違ってないけどな。


「どこにいくんだ」

「イベルに魔法教えに」

「余も行こう」

「はぁっ⁉」


 なんでそうなるんだよ⁉


 っていうか王子がそんなふらふらしてたら駄目だろ普通‼


「どうせ誰かつれていくつもりなのだろう?」

「……よくわからん規則でな」


 最近、俺の襲われる率がヤバイってんで外出の際には絶対に誰かを連れていけという規則が定められた。


 確かにそうだよ? けどそれ不可抗力だから!


 要するに一人になるなって事らしいから面倒で仕方がない。


 この前こっそり一人で外に出ようとしたらキリカに見つかって連れ戻された。俺に発信器でもついてるんだろうか? それともキリカの索敵能力が俺以上に優れているのか。


「では私も行きましょう」

「げっ」

「げっ、とはなんですか? マスター?」

「い、いやぁ……なんでもないっす……」


 キリカに早速捕まった。頼りにはなるんだけどちょっと小煩いっていうか、面倒くさいっていうか。


 なんか凄い睨まれてる……。心の声が聞こえます、とか言わないよね?


「ブラン……弱いな」

「だまらっしゃい」


 だって色々とやってもらってる身からすれば頭上がんないんだもん。ほぼ家のこと管理してくれてるし……俺は一応家主だけど家のことなんにもしてないし。


「お待たせしました。では参りましょうか」

「うっす……」


 キリカの準備待ちだった。準備してきます、って言ってから一分も経ってないけどな。


 なぜその間に着替えたり化粧したり出来るのだろうか。女って怖い。


【貴方自分が女ってこと忘れてない?】


 覚えてるよ。一応。


 転移を使ってからまた例の公園へ。


「ブランとキリカさん……誰?」

「? あ、直接会うのは初めてか?」


 着いてみたら前回と同じメンバーだった。


 結構話題には上がってたけどレクスとイベルは初対面か。


「こいつはレクス。ほら、ゼインの息子だ」

「あ、おじさんの?」


 そうそう。と頷くと、周りの子達がざわついていた。


「おじさんって誰?」

「ウィルドーズの王様」

「「「えっ?」」」


 まぁ、ゼインって名前は別に珍しくもないしな。


「まぁ、一応王子だが適当に接してくれればいい」

「あ、あの、不敬罪で殺されるとか……」

「ないない。そんなことありそうだったら俺が何とかするから。それ以前に余程のことしなければ大丈夫だよ」


 じゃなきゃ俺もうとっくに首跳ねられてると思う。


「で、なんだっけ。召喚魔法だっけ?」

「あ、ああうん。そうなんだ。実は……」


 イベルから聞いたことを纏めると。


 このチーム、ガッツリ後衛ばかりで前衛が足りず、あまりにもバランスが悪いので召喚術でなんとかしようと思ったらしい。呼び出したやつに戦闘させればいいしな。


 だが残念ながら召喚術っていうのは秘匿されている情報も多く、やり方がわからないので泣く泣く俺に頼ることになったらしい。


「俺どんだけ避けられてんの?」


 泣く泣くて。本人目の前にしていう言葉か、それ?


 ……まぁ、いいや。気にしてたら日が暮れる。


「んじゃ、召喚術の説明をするぞ。召喚術は幾つかの種類に分けられるんだが、この中には直接本人を説得しにいかなければならないものも存在するからよく聞けよ」


 本人、というか魔物だったら人じゃないけどな。


「まず一番有名な従魔召喚だ。俺も二匹契約しているが、これには使用者の魔力に応じた魔物を適当に呼び出して説得する方法と直接本人の所に出向いて説得する方法がある。俺が契約している従魔は両方後者だな」


 どちらにもメリットとデメリットはある。因みに、今の俺の召喚獣はレイジュとリードだ。


「前者だと移動の手間とかがなくて手っ取り早いから急いでるときにお勧めだな。ただ、相手がランダムで選ばれるから相手に気に入ってもらえなければ延々と呼び出して説得してを繰り返さなきゃいけない。運が良ければ一発で従魔ができるが」


 後者は自分で出向く方だ。


「自分で行く方だと、とにかく面倒臭い。時間もかかるし、何日も何日もアタックしても同意してもらえないこともある。ただ、自分の魔力量に見合ってないほどの強さの従魔を手に入れることができるし狙った従魔を味方につけるのが可能になる」


 レイジュは大変だった。とにかく大変だった。


 一ヶ月近く通ってなんとか同意してもらえたからな。


「質問だ」

お前(レクス)も参加するのかよ⁉ ……どーぞ」

「後者の場合、生まれたての赤子でも龍と従魔登録ができるということか?」

「まぁ、そうだ。龍って大抵プライド高いから多分そうそうない事例だろうけど」


 あいつら自分達が最強って思って疑わないからな。


 実際龍に敵うやつなんて滅多にいないけど、妙に癪にさわる言い方してくるんだよ。


「いいか、お前ら。もし龍とあった場合、さっさと会話せずに離れた方がいい」

「危ないんですかぁ?」

「いいや。兎に角発言がイラつくからストレスたまるぞ」

「え、そんなこと?」


 いや、結構大事よ? ストレスためずに生きるのは。


 下等生物がどうたらこうたらって延々言われるの中々煩いし。

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