~再会~
20年ぶりの同窓会。
どんなドラマが待っているのでしょう。
「ねぇ、はがき届いた?どうする?」
「もちろんいくよ」
20年ぶりの同窓会を知らせるハガキが届いた。
なに着てく?
バックはどうしよう?
靴は?
体ちょっとしぼったほうがいい?
あっ美容院予約しなきゃ。
(あーちょっとめんどくさい!)
こうして親友との20年ぶりの再会にむけてカウントダウンが始まった。
若作りしようってわけじゃないけれど…
20年ぶりに会うのだ。たとえ少しでもきれいでいたい。
この気持ちわかるかなぁ…あいつ
メールならあんなにバンバン物事言えるのに、
きっと会ったらなにも言えないな…あたし
そう、15の恋はいまだ現在進行形…。
(よし!いこうっ!)
4月の土曜日大安吉日、案の定ホテルのロビーは人があふれていた。
ウェルカムボードで、もう一度会場を確認。
(おちつけ!あたし)
受付でまっさきに親友の名前をさがす。
(もうきてる!!)
なつかしい顔がずらりずらり…いや、あきらかに別人へと変化した子もいる。
縮小版かっ!とつっこみたくなるような幼子をつれてたり、へ~とたまげるくらい更生してたり。
肝っ玉母さん風の子もいれば、玉の輿にのったんだろうな風の子もいる。
貫禄なのか、幸せなのか立派に育ってる子、逆にやさぐれてしまった子もいた。
このご時世、多かれ少なかれみんな大変なことを抱えている年代だ。
でもこうして元気でいられることは幸せなことなんだと思う。
先生はというと、
「立派になったねぇ~元気だった~?今どうしてるの~?」を人数分繰り返している。先生も20コ年をとった。お疲れだろうに、人数分×20年話をニコニコしながら聞いている。
(いない…)
会場くまなく見渡せど、親友を見つけることができない。
(どこ?)
そろそろお開きかと、そんな時だった。
「はるちゃん?」
(ん?)
おそるおそるふりかえる。
「やっぱ、はるちゃんだ。おじさんわかる?」
「あっ…はい…ごぶさたしてます。えいた君の…」
「驚かせちゃったね。ごめん。ごめん。」
(なんでおじちゃん?)
「はるちゃん、今日このあとなんか予定ある?」
(お宅の息子さんと会えるから、ちょっと期待して予定あけておきました…なんて言えない(笑))
「いぇ、特に予定はないです。」
「実は、今日ははるちゃんにお願いがあってきたんだ。カフェラウンジで待ってる。同窓会終わったら来てくれる?」
「あっはい…わかりました。」
「いや~でも、はるちゃんかわらないねぇ。すぐわかったよ。で、いくつになったの?」
「そんなぁ…えいた君と一緒です」
「あっそっか(笑)」
(こういうとこ親子でそっくり!)
「じゃあ後ほど。」
「うん。さきにいって待ってるよ。久しぶりに会う友だちもいるんじゃない?ゆっくり話してくればいい。こっちはそのあとでいいから。」
おじちゃんはそういって軽く手をあげ、背中をむけた。
(親子だなぁ…えいたのやさしいとこ、おじちゃんゆずりか。)
今日はえいたに会うためにきた。
そのえいたがいないんじゃつまらないな。わたしは記念撮影もそこそこに、カフェラウンジにむかった。
「お待たせしてすみませんでした。あの~ところで今日えいた君どうかしたんですか?」
おじちゃんは一瞬目をふせて、そして静かに話しはじめた。
「実はえいたね、1年前に職場で倒れて、入院中なんだ。
1年間ずっと眠ったままなんだよ。」
「えっ?だってゆうべもメールで話したし、いつもメール…@¢£%#&*@§☆∞」
そのまま、わたしは倒れてしまったらしい。目が覚めると、救急病院の処置室で点滴につながれていた。
「すみません…ここ…」
「大丈夫?医者が脱水と栄養失調だって。
「今時、栄養失調って…(笑)」
「無理なダイエットのせいだな(笑)」
「えっおじちゃんなんで知ってるの?」
「いったろ?えいたは一年眠り続けてる。はるちゃんがえいたに送ったメールは全部おれが返信してたんだ。20年ぶりの同窓会って、はるちゃん気合いはいってた。」
「全部って全部ですか?」
「そうだよ。だから、はるちゃんのこの一年を一番知ってるのはおじさんかもよ(笑)」
わたしは頭の中がまだ整理できないでいた。
この一年、わたしにはいろいろなことがありすぎた。
身内の不幸にはじまり、相続争いにまきこまれ、体をこわした。会社はリストラ。家庭も崩壊した。
それ全部知って、その都度その都度、的確にアドバイスしてくれてたのは、えいたじゃなくて、えいた父ってこと?
「いろいろ大変な一年だったね。ご苦労様。」
涙があふれた。
わたしのおかれている境遇をおもい、えいたの状況を伝えられなかったのだという。
「ここの5階にいるんだ。えいた…
会ってもらえるかな?」「もちろんです」
20年ぶりの再会は病室でした。