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DEAR FRIEND ~再会~  作者: ハッピークローバー
1/1

~再会~

20年ぶりの同窓会。

どんなドラマが待っているのでしょう。

「ねぇ、はがき届いた?どうする?」

「もちろんいくよ」


20年ぶりの同窓会を知らせるハガキが届いた。



なに着てく?

バックはどうしよう?

靴は?

体ちょっとしぼったほうがいい?

あっ美容院予約しなきゃ。


(あーちょっとめんどくさい!)


こうして親友との20年ぶりの再会にむけてカウントダウンが始まった。


若作りしようってわけじゃないけれど…

20年ぶりに会うのだ。たとえ少しでもきれいでいたい。

この気持ちわかるかなぁ…あいつ

メールならあんなにバンバン物事言えるのに、

きっと会ったらなにも言えないな…あたし


そう、15の恋はいまだ現在進行形…。




(よし!いこうっ!)


4月の土曜日大安吉日、案の定ホテルのロビーは人があふれていた。

ウェルカムボードで、もう一度会場を確認。


(おちつけ!あたし)


受付でまっさきに親友の名前をさがす。


(もうきてる!!)



なつかしい顔がずらりずらり…いや、あきらかに別人へと変化した子もいる。

縮小版かっ!とつっこみたくなるような幼子をつれてたり、へ~とたまげるくらい更生してたり。

肝っ玉母さん風の子もいれば、玉の輿にのったんだろうな風の子もいる。

貫禄なのか、幸せなのか立派に育ってる子、逆にやさぐれてしまった子もいた。

このご時世、多かれ少なかれみんな大変なことを抱えている年代だ。



でもこうして元気でいられることは幸せなことなんだと思う。


先生はというと、

「立派になったねぇ~元気だった~?今どうしてるの~?」を人数分繰り返している。先生も20コ年をとった。お疲れだろうに、人数分×20年話をニコニコしながら聞いている。



(いない…)



会場くまなく見渡せど、親友を見つけることができない。



(どこ?)



そろそろお開きかと、そんな時だった。


「はるちゃん?」


(ん?)

おそるおそるふりかえる。


「やっぱ、はるちゃんだ。おじさんわかる?」


「あっ…はい…ごぶさたしてます。えいた君の…」

「驚かせちゃったね。ごめん。ごめん。」



(なんでおじちゃん?)


「はるちゃん、今日このあとなんか予定ある?」


(お宅の息子さんと会えるから、ちょっと期待して予定あけておきました…なんて言えない(笑))


「いぇ、特に予定はないです。」


「実は、今日ははるちゃんにお願いがあってきたんだ。カフェラウンジで待ってる。同窓会終わったら来てくれる?」


「あっはい…わかりました。」


「いや~でも、はるちゃんかわらないねぇ。すぐわかったよ。で、いくつになったの?」


「そんなぁ…えいた君と一緒です」


「あっそっか(笑)」



(こういうとこ親子でそっくり!)



「じゃあ後ほど。」


「うん。さきにいって待ってるよ。久しぶりに会う友だちもいるんじゃない?ゆっくり話してくればいい。こっちはそのあとでいいから。」


おじちゃんはそういって軽く手をあげ、背中をむけた。



(親子だなぁ…えいたのやさしいとこ、おじちゃんゆずりか。)




今日はえいたに会うためにきた。

そのえいたがいないんじゃつまらないな。わたしは記念撮影もそこそこに、カフェラウンジにむかった。





「お待たせしてすみませんでした。あの~ところで今日えいた君どうかしたんですか?」


おじちゃんは一瞬目をふせて、そして静かに話しはじめた。


「実はえいたね、1年前に職場で倒れて、入院中なんだ。







1年間ずっと眠ったままなんだよ。」




「えっ?だってゆうべもメールで話したし、いつもメール…@¢£%#&*@§☆∞」


そのまま、わたしは倒れてしまったらしい。目が覚めると、救急病院の処置室で点滴につながれていた。



「すみません…ここ…」


「大丈夫?医者が脱水と栄養失調だって。


「今時、栄養失調って…(笑)」


「無理なダイエットのせいだな(笑)」


「えっおじちゃんなんで知ってるの?」


「いったろ?えいたは一年眠り続けてる。はるちゃんがえいたに送ったメールは全部おれが返信してたんだ。20年ぶりの同窓会って、はるちゃん気合いはいってた。」


「全部って全部ですか?」

「そうだよ。だから、はるちゃんのこの一年を一番知ってるのはおじさんかもよ(笑)」


わたしは頭の中がまだ整理できないでいた。

この一年、わたしにはいろいろなことがありすぎた。

身内の不幸にはじまり、相続争いにまきこまれ、体をこわした。会社はリストラ。家庭も崩壊した。

それ全部知って、その都度その都度、的確にアドバイスしてくれてたのは、えいたじゃなくて、えいた父ってこと?



「いろいろ大変な一年だったね。ご苦労様。」


涙があふれた。




わたしのおかれている境遇をおもい、えいたの状況を伝えられなかったのだという。



「ここの5階にいるんだ。えいた…

会ってもらえるかな?」「もちろんです」






20年ぶりの再会は病室でした。


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