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「それでは今日のSHRを終えます」
女性の教員が檀上でそう言うと、新渡戸高1年3組の入学式が終わった。
「入学式でも校長先生も言われていた通り、最近新渡戸市は物騒なことが起こっているので、速く家に帰ってくださいね」
健太は教員の話しを聞き、朝、放送していたテレビの事を思い出す。
猟奇殺人事件、謎の事故が相次ぐ新渡戸市。
そのこともあり、登校中何台かのパトカーや警官とすれ違い、新渡戸市も警戒態勢に入っているのがわかった。
そのこともあり、何より周囲には知り合いなどもいない。
足早に家路に帰ろうと身支度を整えていると、後ろから声をかけられた。
「都筑君だっけ?これから一緒に遊びに行かない?」
その方を見ると、男女8人ばかりのグループが出来ていた。
その一番前にいた、前田 慎二が健太に話しかけてきた。
「俺と?」
「そう、せっかく一緒のクラスになったんだしさ。親睦会もかねて遊びに行かない?」
健太はあの事件以降、地元では『儀式』をかけられた少年として有名になり、健太に話しかける友達はいなかった。
昨日から遠方に住んでから、あの事件を知っている人間はいないのだろうなと改めて感じられた。
初めは戸惑いを覚えていたが、健太も元々はあの事件が起こる前は、毎日友達と遊んでいた。
やはり同年代と仲良く遊びたいと常々そう感じていた。
「俺も行ってもいいのか?」
緊張がこもる声が慎二に聞こえると、慎二は笑顔を見せ、「モチロン」と言って返してくれた。
健太は喜びを内に隠し、クラス仲間で遊びに行くことにした。