『この町で一番高い場所』
「あははは! きっもちーなぁ」
「ちょっと、兄貴待ってよ」
「シロくんおそいよー」
「矛炒ちゃん。僕のことを『シロ』って呼ぶなって言ってるだろ」
「なんで? シロくんはシロくんでしょ」
「シロって犬の名前みたいでやなんだよ!」
「きゃっ、すごい風」
「聞けって!」
「矛炒、風に飛ばされて落っこちんなよ。ここ柵ないんだから。落ちたら死ぬかんなー」
「うん! クロ兄、ここすごいね。何でも見えるよー!」
「だろ? ほら、あれがお前らの行ってる小学校。で、あっちが、こないだまでオレの行ってた高校」
「え! クロ兄の学校! どれどれ! そんな遠くまで見えちゃうの!?」
「ああ、歩いていったらすごい時間がかかるけどな、この特別な場所なら一発で見られるぜ!」
「すごーい!」
「ちょっと。兄貴~、矛炒ちゃん~」
「何だよ、早く上って来いよ。あとちょっとだぜ」
「ほら、シロくん、手ぇ仮して」
「シロってよぉぶぅなぁぁ」
「うんしょ……ほら」
「お、やっと来たか」
「いやっ、また風……」
「う、うわぁぁぁああ」
「っと、ぶねぇ。だから気をつけろって言ってんじゃん」
「あぁにぃぎぃぃ」
「ほれ、めそめそすんなや。見てみ」
「わぁ――」
「ね! すごいよね、シロくん!」
「うん。何でも見えるや」
「誰かに教えんなよ。ここのこと」
「うん! クロ兄! 三人の秘密ね」
「兄貴。ここは、この町で一番高いの?」
「そうだよきっと。だって、こんなになんだって見えるんだもん! ね、クロ兄」
「そうだな。じゃあ、この場所は、今日から『この町で一番高い場所』だ!」
「わー!」
「いちばーん!」
「こんどここで、おまえらの好きなでっかいケーキでも食おうぜ。また喧嘩しないように、たくさん買ってよ」
「「やったー!」」




