第2話 私の幼馴染はすごく人気者。なんで私の幼馴染してくれてるんだろ。
私、綾瀬ゆきには、人気者の幼馴染、白石ひなたがいる。
ひなたの周りには、いつも人が集まってる。笑い声の真ん中には、必ずひなたがいる。ひなたを中心にクラス、学校が回ってるって感じですごいな〜って思っていつも眺めてる。
私は、クラスの隅っこで仲のいいミサトちゃんと話している。私とひなたは、正反対。もし幼馴染じゃなかったら、きっと一生話すこともなかったと思う。
でも――幼稚園の頃から、ずっと一緒だ。だから、ひなたのことはなんでも知ってる。……ひなたも、私のことなら、なんでも知ってる。
♢♢♢
「おっはよ〜!」
「おはよ、ひなた!」
「おは!」
教室のドアが開いた瞬間、空気が変わる。みんながひなたの方を向いて、声をかける。ひなたが笑えば、教室全体が明るくなる。
「ねえ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た〜! あのシーンやばくなかった!?」
「わかる〜! ひなたも泣いたよ!」
……ひなたは、ほんと、どこにいても中心。
私はミサトちゃんとノートを見比べながら、いつもの会話をしていた。
「ゆきちゃん、数学の小テスト、どう?」
「ちょっとしか勉強してないよ〜。捨てるかも」
「私も〜でも、がんばろう」
「うん……そうだね」
そう言って笑うけど、心の奥が少しくすぐったい。
ふと、視線を感じて顔を上げると――ひなたと目が合った。
……まただ。さっきから何回か見られてる気がしてた。
ひなたは、誰かの話を聞きながら、こちらを見て、ほんの一瞬、唇の端を上げた。笑ってるけど――なんか、冷たい気がする。
でも次の瞬間、いつもの優しい笑顔になって手を振ってきた。
私は慌てて、小さく振り返す。それでおしまい。ひなたはまた友達と笑い合ってる。
……なんだったんだろう。
ま、いいか。あとで話そう。
クラスのみんなは私とひなたが幼馴染だって言うことは、知らないんだ。だって言うと色々面倒なことになる気がするんだもん。人気者のひなたのことだもん。みんな聞きたがるにきまってる。
「ひなたと幼馴染なの?」とか、「ひなたって小さいころどんな子だったの?」とか、きっと聞かれると思うし。ひなたも、嫌だと思う。だから、言わないでおいてるんだよね。
ひなた、この学校の中では有名人だから。まだ高校1年生なのに生徒会に入ったり、勉強が学年1位だったり。そんなひなたの幼馴染がこんな地味な私だったら、なんかダメだと思うの。
でも、家が近いからいつも一緒に帰ってるし、薄々みんなも気がついてるのかもしれないよね。
一緒に帰るっていっても2人でじゃないよ? ひなたの友達2人と、私の友達のミサトちゃんとの計5人で帰ってるんだよね。それに、3人、2人で分かれて話してるから、実質一緒に帰ってないようなもののように見えるんだけど、一応、一緒に帰ってるよ。




