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第六話「質問」

キロランケは俺の手を引いて色々な店を指さす。

「あそこが若い子人気のカフェで、あっちは~」

「なぁ…。」

俺はキロランケの言葉を遮るように話しかける。足を止め、俯いて俺は言葉を零すように言った。

「なんでガビを逃がしたんだ?前は野垂れ死ぬと言っていたが、流石に嘘だろ?」

「……。こんな時に重たい話しかい?」

ため息交じりにキロランケは答えた。やれやれと言わんばかりに。

―なんでなんだよ。

ずっと疑問だった。キロランケは俺の父を殺したからと言ってそこまで俺に尽くす奴ではない。自分でも言っていたのだから。

「そうだね、嘘だよ。君が目的だった―からだ。それ以外は特に興味も敵意もなかった。言ったろう?〝君の可能性〟を見たって。」

「ああ。だが―。」

「私に向かってきたんだ。私を殺そうと。私が何もしなかったら殺されるから、殺す。摂理じゃないかい?世界の。」

「…俺の可能性が目的なのにか?」

「人間と魔族は敵。敵の戦力を削げるのなら合理的だとは思わないかい?」

「……確かに…な。俺の可能性とはなんなんだ?」

「う~ん…君の力…と言えば分かりやすいかな。」

「だが、俺はそこまで強くないぞ。もしお前らの思う強さなら大将になってるだろうが。」

「…まぁ後に分かると思うよ。」

キロランケは上手くはぐらかしてきた。これ以上踏み込むこともできそうにない…。

「少し散歩してから帰る。」

俺はそう言って大事な案内役から離れて違う方向に歩き出す。キロランケは止めずに手を振る。

―行ってこいってことかよ。

大きく立ち並ぶ家々の前に出された屋台。ぽつぽつと点きだす街灯。魔族たちは俺に構わず客を引き入れている。

俺は肉を売っている屋台の前に立ち止まる。

「この串焼き一つ。」

「はいよ。」

そう言うと鉄板に肉を打ち付けるように焼き始める。いい焦げ目で肉汁が少し溢れている様子に俺の涎が口から出ようとしている。

「あんちゃん、人間なのか。久しぶりに見たな。」

「忌避感ないのか?」

「ああ、人間は勘違いしとるんだよ。俺たちはあんちゃんたちをあんまり憎んでも恨んでもない。生まれた時からそういう物として育ったからな。」

「そうなのか…。」

「まぁ魔王様が勇者に倒されたとかもあんまり実感がねぇしな。はい、できたぞ。」

「そうなのか…。ありがとう。」

俺はお金を払って串焼き肉を口に頬張りながら来た道をたどる。少し迷ったが、思ったより迷わなかった。

「フゥ。疲れたな…案外。」

俺は流れるように半分寝ながら寝る支度をして即座にベッドに倒れた。その日俺は悪夢を見た。

―少尉…。なんで置いていったんですか?

ガビの声が脳内で響く。洞窟で叫ぶように響きわたる。思わず目を開け、眠気を払った。今はまだ夜中―。

「大丈夫なのだろうか…。魔王浸食。」

そう言うことしか俺にはできなかった。


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