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第1話 プロローグ

眩い光が差し込む王城の朝。

ここは、私たち王太子夫妻の寝室。


鏡の前ですっと紅を引き、そっと微笑む。


「……いってらっしゃい、殿下」


侍女たちが微笑んで見守る中、

彼は私の手を取り、優雅にキスを落とした。


「愛してるよ、アリステリア」


――絵に描いたような、理想の夫婦の朝。


(……まったく、よくやるわね)


唇には笑みを湛えたまま。

けれど、心の奥底では――もう、何も感じない。



――あれは、運命の日。


私が王太子妃となり、

この国の“未来”を背負うことになった、はじまりの日だった。


ついに、彼と――夫となる人との人生が始まる。


深呼吸して、そっと胸元に手を当てる。


今夜からは、ずっと彼と――

そう思うだけで、体の奥が、わずかに熱を帯びた。


ほんの少しだけ、扉の向こうに立つ彼の姿を想像してみる。


きっと笑ってくれる。

手を取ってくれる。

そして、名前を呼んでくれる――


希望に胸を膨らませ、少しの緊張を抱いて――

私は、ファンファーレが鳴り響く中、その扉の前に立った。


……ねえ、あのときの私は、幸せになれると信じてたのよ。


あれは、ちょうど一年前――

新婚初夜、私は人生で最も残酷な裏切りを知った。


あの日、あの時から、もう私は“妃”ではなくなったのだから。


……それでも彼は、今朝も忘れず、キスをしたわ。


手の甲ですけどね。

プロローグ、最後までお読みいただきありがとうございます。

本作は【全18話・約30,000字】の連載型短編です。

空いた時間にさくっとどうぞ(=^・^=)

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