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EP7_

自分用に残しとく。


小学生5~6年生くらいだったか、「ほたるちゃん」にそろそろお別れだねって切り出された。たぶん夢の中で女の子でいるのがギリギリラインだったのではないかと思う。「ほたるちゃん」は私がほたるちゃんのこと男の子って知っているのを忘れているようだったから意地悪なこと言ってしまった。そんな会話をした夜のバス停にはルンバがいて私とほたるちゃんとの夢で初めての第三者だった。こちらに興味もなく真面目に掃除をこなしている。そんなルンバだから。そんなルンバであれば変わらずに覚えておいてくれるだろうと、私はルンバに願った。私は忘れてしまうからどうか君が覚えていて、君はそのまま彼のそばにいて、と。


お別れの前に二人で世界の秘密を見に行こうと、夜中に二人とルンバで出かけた。

祈りを乗せたクジラが夜空を横切って行った。

ほたるちゃんはあれに乗れば約束が叶うってはしゃいでいたけど、私はあのクジラは私自身だって確信してしまっていた。約束を叶えるにはクジラになりなさい。そしてクジラになれるというメッセージだった。「ほたるちゃん」との別れだ。

本当に不思議なことに私の夢にはちょくちょく未来の私が映り込んでは「約束」や「願い」を叶えたい気持ちを刺激した。それが夢見を止められなかった一番の原因かもしれない。


彼は私の好きな死人の子守唄を知っていたので、私に合わせてくれていた。

得意とするのはテンポの良い甘め上品なギター&SEも入るジャズなので、夢の中で眠りながら心音を7/8拍で刻んでいるようなものだ。本当にどうやって.……?

ちなみに夢の中の名前は現実と違います。



死人だと思って話しかけたら生きてる人だった「死にぞこないさん」の話。

最初にあった時、本当にかすかすの意思しかなくて死人だと思った。大事にしている記憶を呼び起こせば死人は満足して去るから、一緒に商店街を歩いて小さなお店のシャッターを開けてあげた。

そこで満足する死人もいるのに「死にぞこないさん」はぼんやり立っているだけだった。

だから私が漁って電飾を見つけてあげた。「死にぞこないさん」の大事な記憶。.……何が起こるんだろうって期待された目をされた。死人なら満足するんだよ.……。

しょうがないから出血大サービス!と思って電飾に私の力を注いだ。死人のものなら光らせるのにとんでもないくらい苦労するのにアッサリと点いてしまった。.……生きているからね。

ここで生者だって気づけばよかった。「死にぞこないさん」が何が起こるのかと期待に満ちた眼差しで見てきて私はちょっとパニックになった。え?まだ?まだ満足しないのこの死人?って。でも期待に弱い私なので電飾を巻き付けてついでにお店の光物もチカチカさせてダンスした。.……クラシックバレエを齧っていたからそっち方面なんだけど、人様に見せられるものではないです。

そんなことしたもんだから、「死にぞこないさん」が生きている人だと分かってからはとても目を合わせられなかった。見られてしまった自分の言動が恥ずかしくて。


「死にぞこないさん」が死人じゃないと分かってからはお友達になれるかな~とか気楽に考えていた。

ふとビルに窓に事故で電飾に引っ掛かって助かった「死にぞこないさん」の姿が映った。へー。でも電飾は光ったし目覚めるのも時間の問題でしょ。体が治ったら目が覚める。

なのに「死にぞこないさん」は二週間経っても街にいた。この街は「死にぞこないさん」の心理風景みたいなものだけど、日を跨ぐごとに明かりが一つ一つ消えていくのが分かった。明かりがすべて消えたら死んでしまう。なのに「死にぞこないさん」は目覚めない。

後で分かったことだけど、どうやら私と心中したかったらしい。私が話しかけたから「死にぞこないさん」は死を望んでしまったのだと思った。当時、「燃えないゴミの日さん」に手を焼いたこともあって、姿を現していけないのかもしれないと悩んでいた。でも友達が欲しかったから姿を現していた。

私の友達欲しさで、私のせいで死を望ませてしまったと。自分への怒りで「死にぞこないさん」を思いっきり殴った。どうだ私はおっかないだろう。嫌いになるでしょう。だからこのまま目覚めて全て忘れなよ。

後日、薄い光の玉になって夜のビルが並ぶ街を定期的に見回った。3カ月後、半年後、2年後。

夕焼けは見れずに常に夜だったけど、ビルの中でしっかり働いている「死にぞこないさん」を見たからそこで見回りはやめた。

「燃えないゴミの日さん」は話が長くなるのでいったん割愛。



少年の狩猟本能にビビった話。「収集癖の少年」の話。

「死にぞこないさん」を皮切りに、人前に人の姿で出ることはやめた。やめてたんだけど。とある子守唄を歌っていたさきの少年とさよならする日に、あんまりにも綺麗な夜景で誰も見ていないからちょっと遊びたくなってしまった。姿を現してザッっと服を翻して祝福をまいた。ちりぢりに蝶になって紙吹雪になって去った。どうやら見ていたようで。

蝶になった私の目を捕まえに来た。夢の中で他の人に子守唄を歌っていたら普通に乗り込んできた。姿を隠していても狩猟本能だけで追いかけてきた。見えてないのに.……とんでもないことです。

子守唄を歌い終わってさよならした子どものその後は定期的に蝶の姿の目をやって様子をみているんだけどある日、特に反応が見えなくなってしまった先があった。目が返ってこないのだ。まぁ「収集癖の少年」だったんだけどね。

私の意識をのせて蝶になって少年の心理状態をチェックすると何も問題がない。じゃあ何が問題なのかってうろうろしていたら、夢主な少年に真後ろから首に直径5cmのピンを刺されて壁に固定された。痛みはないけど衝撃はあった。とっさに首からピンを抜こうと手をやったら、胸に骨盤にピンを刺されて固定された。衝撃的すぎる.……。

首のピンを抜こうと藻掻いている手を抑えられ、そっと指を一本一本確認された時はこんどは爪一本一本にピンを刺されるのかと思った。怖いよ。

背後から「あれ?なんかおかしいぞ。人の指.……?」みたいな思念が流れてきたあとに慌てるような思念と共に解放された。アリガトウ。壁を見やれば標本のように飾られた私の蝶がたくさん。ぞっとした私に気づいたように違うよって胡麻化されたけど、私はしっかり見たぞ。

どうやらもてなそうとしてくれたみたいで、食べ物出してくれたんだけど添加物だらけで私には毒虫にしか見えなかった。添加物ばっかり食べてないでちゃんとした物食べてください。本当に。


追記、月になって移動し始めた私を捕まえられなくて「収集癖の少年」はグレた。見事にグレた。そんな彼をみかねてお月さんが動いた。

その夜は月が2つあった。お月さんと私だ。うつらうつらしている私の首根っこ捕まえてトンボの連結飛行のごとく引っ提げて空を飛んでいた。ふと目を開けて私が気がついたのを感じてお月さんはちょっと焦ったようだった。「まかせて寝ておけ」みたいなことを言われてぼんやり眼下の街を眺めて目を閉じた。

耳からお月さんが私の声を使って何か話しているのを聞いた。

「仲直りしよう。ね、君も力が強いようだから私を手伝って。ここだけの秘密を教えてあげる。」

その後は寝たので覚えていない。


おばあちゃんに頼まれた「鉄壁の言論武装くん」の話。

小学生の頃だったかと思う。おばあちゃんのお願いで、心の自虐と自傷を繰り返す少年に子守唄を歌った。そのまま行けば何もかもなくしてしまいそうで正論も言い訳も無意味だから私が自虐と自傷された心を担って歌った。

鉄壁の言論武装vs君の本心。鉄壁の言論武装くんって呼んでおこう。そんな夢だった。たぶん。

鉄壁の言論武装くんの子守唄は、本心と言論武装が違ったって良い。本心を隠し持ってたって良いんだ。誰にも自分にも否定できないそんな本心をってことで結論付いてさよならした。問答くんには「彼ついてくるよ」といわれてしまった。

記憶に間違いがなければ死人に頼まれた子守唄第一号者。5~6歳の頃だ。今のところ思い出した記憶ではそう。「約束」から死人に子守唄を歌いだすようになって割とすぐの頃だ。

両親と離れて暮らしていておばあちゃん子だった。おばあちゃんを苦労させているって両親を嫌っていた。おばあちゃんが亡くなって両親と暮らし始めておもったのは生きるために両親を好きにならなきゃいけないということだった。実際悪い人たちじゃないから好きになり始めた。そしたら、おばあちゃんを嫌いにならなきゃいけないという強迫観念で苦しんだ。分かったよ。両親を好きになっていい。君もおばあちゃんを嫌いになっていい。でも誰にも消せない本心としておばあちゃんが好きでいいと思うんだ。




子守唄がいらなかった「落ち着いている人さん」の話。

この人は複数の死人に頼まれた。多分中学生くらいの時。中学生にもなると男嫌いが進化して私は年上の男性とか怖くてしょうがなかった。でも死人な女の人に「そんなことないよ」って言われて。ざっと男の人の心象風景を眺めみると何も問題なかった。私必要なくない?

そう問えば泣き出してしまった。女の人は心配で心配でたまらないみたいだ。

しょうがないから心象風景にスッと人型でお邪魔する。すれ違いに歩いてみて「なんだこいつ」って感じだった。やっぱ無理だよ!

無理無理と地団駄踏む私に「そんなことないよ」「いつも通りにやってみて」と死人たちに肩を押されてしまった。

でも問答とか怖くて無理だから。あいさつ代わりに心象風景に対する感想を子守唄として歌った。

はじめまして。「落ち着いている人さん」



失敗した世界の私「バベルちゃん」と「バベルちゃんのお友達の親類さん」

未来から渡された記憶。塗りつぶされた記憶。すぐ思い出すのはバベルちゃんだ。16歳の夏前の期末試験期間に大量に白昼夢を見せられてイラッとした覚えがある。その失敗した未来の私はピアノを続けていて自分のために力を使った。

自分のために禁忌を犯したという罪悪感から付け込まれて狂っていった。そんなバベルちゃんはとある女性に出会いその生き方に惚れ込んだ。目が覚めるようだった。女性ながら家族のために男性のように働いて化粧っけもなかった。

体調が悪くなってきていて死が近づいているのを分かっている女性。それを上京している子どもか親類に隠していた。せめて何か願いを叶えさせてと言ったらその子が心配なんだって。じゃあその子のために何したらいい?と問うと何もしなくていいという。じゃあせめて悪夢を見たら側にいるよ。

そんなことしながらバベルちゃんは彼女から離れられなかった。32歳の夏に亡くなる彼女の死を否定したくて16歳まで時を使い果たしてまで過去の自分の記憶を塗りつぶして続けた。

両手ですくえる程度の記憶。バベルちゃんが私に見せた夢は、私のフィルターを通して渡されることになった。あとは狂ってしまったバベルちゃんをなんとか助けたくて私も努力した。それを「バベルちゃんのお友達の親類さん」が見ていたようだ。


私はピアノをやめた。というか中学に上がる前にやめてたんだけど未練があった。日々眠くて何かするとかなかった。

中学から高校と、悪夢と子守唄を縫うように夢の中でひたすら友人家族から1人逸れて迷子になる夢を見た。夢の中で進路希望どうしようかと友達と話していると気がついたら1人で道をさまよい歩いている。



鉄壁の言論武装くん。

彼のことで思いだしたことがある。

両親が好きでいい。おばあちゃんが嫌いでもいい。でも、おばあちゃんのこと本心では好きでも良いと思うんだ。そんなこんなで始まった彼との子守唄だったけど数年たった時、私の姿を真似した悪意が彼にとりついた。低級の癖にさんざん悪夢を見せて苦しめていた。私に攻撃性はなくて祓うことも出来なかった。

だから彼に祓わせることにした。悪意が彼にとりつくたびに彼が私ごと祓えばいいのだ。

首を絞めさせて私は亡霊だと宣った。私を撃てと嘯いた。




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