EP22/
緑の髪の女の子になる話。
小2の頃だろうか?学校になじめなくて図書館に入り浸るようになって久しかった。授業は普通に受けていたよ。白昼夢見てぼーっとしていたけど受けていた。
ある日、緑の背表紙の本を見つける。図書館の本棚だったか、家の本棚だったかよく思い出せない。たしか家の本棚だったはず。
中身をぱらぱらとめくっていたら、とある廃施設に住む緑の髪の女の子の話があった。短い8ページほどの話だった。その日から三日間かけて緑の髪の女の子になる夢を見た。ストーリーは似ているけど全く違うし、私はハッピーエンドを望んで繰り返して夢見てエンディングを変えた。1巡目、2巡目、3巡目……と。
1週間後くらいかな。エンディングを変えて緑の髪の女の子になる夢を見なくなった後、本のエンディングはどうだったかなって思って本を探した。緑の背表紙の本なんて数少ない。家には1冊、学校の図書館にそれらしいのは3冊、それら4冊の中に緑の髪の女の子の話なんてなかった。
今の私が推察できるのは、未来の私が記憶を塗りつぶしたってことだ。ピアノちゃんのピアノや、人魚さんのジャズみたいに1曲まるまる塗りつぶすのは聴覚による情報だったけど、これは視覚的な情報を塗りつぶしている。
例えるなら広島ドームの丸い屋根が壊れずに他の階が全て壊れたかのような建物。周りは雑草にだらけの少しの空き地とその向こうは林が続いている。鉄筋とコンクリートで作られた廃研究施設だ。
私はそこで目が覚めた。緑の髪の女の子で研究成功例。研究員たちが自分たちは滅びるから、私だけなんとか未来へ残そうとした結果だった。二酸化炭素問題のためだったように思う。
私は髪で光合成が出来た。だからなのか食べ物もいらなかった。霞食べて生きているようなものだ。実は霞だけ食べて生きていけたらいいというのは今でも憧れの1つである。便利そう。
緑の髪だ。しかも私は1束を蛇のように動かすことが出来た。1巡目は本のストーリーのままだったように思う。日中に髪を動かして遊んでいるのを少年に見られた。普通に化け物だと叫ばれて逃げられてしまった。大人たちが廃施設を取り壊すためにやってきた。ついでに化け物退治だ。髪が蛇みたいに動く少女の存在の有無なんて関係なかった。少年の社会信用はなくても社会不満のはけ口にはちょうど良かった。全てはあの化け物のせいだと指導者も大人たちを焚き付けたのだった。
書いていて疲れてしまったので続きはいつか書こう。
ここで必要なのは、聴覚的記憶の塗りつぶしだけじゃなくて視覚的記憶の塗りつぶしもあったってことの認識だろう。
そして、夢の中で酸素を生み出す緑の髪は誰にもバレてはいけないということだ。




