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EP5 マーガレットが奪われる!


______「我々海自も、あの<シークレット・ウエポン>の情報には感謝している。それでその<シークレット・ウエポン>とは何者なのだ?」

「それが小官にもよく分からんのですが、大変な美人ですよ。広報の表紙を見て驚きました。艦内でもマーガレットの話で盛り上がっておりますので、艦長も一度ご覧になられては?」


 ふん

「士気を乱す汚染女など」

 イージス艦<香嵐(こうらん)>の艦長、相模は日本王国防衛に美人かどうかなど関係が無いと言い切る。

しかし宮古島分屯地では、マーガレットの存在が大きく士気を上げているのも事実だ。一人の堅物男を除いてではあるが。


______クシュン

「お? マーガレットお嬢、風邪か? それはいかんな。すぐ俺の葛根湯(かっこんとう)を飲め。これは初期症状によく効くんだ」

 はぁ、ありがとう御座います山中三陸さん。

「山中ぁ、抜け駆けはいかんぞ。風邪にはハブ酒に決まっておろうが」

 げっ、ヘビぃ

「勤務中にアルコールは駄目だ!」

 ほっ、ですわね、柳田三陸さん。

※三陸とはマーガレットの造語で、三等陸曹を意味する。勿論、マーガレットだからこそ許される言い方。


 ギイィィ

 そこにいつの間にか、あの鬼が現れた。

<最近、よく来るな島津>

「これは班長、またマーガレットお嬢が淹れたコーヒーを飲みに、まさか任務放棄ですか? 班長として、それでいいんですかねぇ~」

 うっ

「馬鹿な事を言うな。俺は班長としてだな、風邪に効く薬を持って来ただけだ」

 えぇ~?

「それは、ちゃんと医務室からのでしょうね?」

 うっ


 マーガレットがくしゃみをしたのは、たった今なのだ。

「ま、見たところ元気そうだ。もう薬は要らんな」

と捨て台詞を残すと、班長が残念そうに踵を返して去っていった。

「あら、班長は何をしに来たのかしら?」

<おい島津、お前まで狂ったのか?>


 あぁぁ~

「マーガレットお嬢って鈍感なんだ。マーガレットが淹れた親指突っ込みコーヒーを飲みたいのと、女神様の顔が見たかったからですよ!」

 へ?

 <やはりか!>


『ど~もいけませんわ。悪女として裏から君臨する筈が、宮古島分屯地の女神だなんて言われ出して。わたくしの能力が地味に役に立っているのは計画どおりなのですが』

 地味どころかtatuzoのお陰で、脅威のお手柄を連発している事に全く気づいていない悪役令嬢である。


 ガァン

 その時、大きな音を立てて、鉄製のドアが開いた。


「おいマーガレット三等空嬢、指令がお呼びだ。すぐ行け」

 了解しましたわ。

どうしてわたくしが呼ばれたのかは、薄々理解している。

「恐らくハッキング・プログラム<シーカー>の件ですわ」

<だろうな>


 コン

  コン

「浅倉マーガレット三等空嬢参りました」

 よし、入れ。

 指令は大きく息を吸い込んで吐いた。



「では単刀直入に言う。市ヶ谷に行ってくれ」

 ほ?

 わたくし驚いた時は、は ひ ふ へ ほ としか言えませんの。

「それはどういった理由でありましょうか?」

 指令に重い空気と暫しの沈黙があった。

『これは? まさかの左遷転属?』


 わたくし、どうも逆ハッキング・プログラム<シーカー>の件だけではない雰囲気を感じましたの。

「マーガレット三等空嬢、貴官は何か隠してはいないか?」

 ドキ


『わたくしが悪役令嬢だと、いつバレたのでしょうか......やりにくくなりましたわ』


指令はそれ以上何も言わず、ただ市ヶ谷行きの日程を記した指令書を渡した。「出立は明後日、09-00。CH-47チヌークで本店那覇基地へ、那覇からはF-15で直行する。以上だ」


 電子小隊に戻ったわたくしは、浮かぬ顔をしていたのか、隊員達が心配して声を掛けてくれました。

「わたくし、明後日の09-00。チヌークで本店那覇基地に飛び、そこからはF-15で市ヶ谷に行く事になりましたの」


「畜生やられた! マーガレットを奪うつもりだ」

「しかし、どこへ?」


「恐らく、防衛研究所だろう」

 げ、島津班長!

「考えてもみろ、中国語に精通して暗号を解読、ハッキングを手玉にとる女だ。市ヶ谷が日本王国防衛対策を、マーガレットに考えさせる腹だ」

 <島津がマーガレットを、女として意識してるのか?>


「そ、そんなぁ~。じゃ、マーガレットは、もう帰って来れないんじゃ!」

「当然、そうなる」

 ほ?

 そうなの?(本人はキョトン)

<しっかりしろ!マーガレットぉ!>

「ひぃ、なんでtatuzoが怒るのよ!」



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