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EP4 小悪魔 悪役令嬢マーガレットの必殺隊員たらし


______電子小隊の隊員達が、わたくしの周りに集まって来ました。

「本店那覇基地に確認したところ、ニュータイプのハッキングを確認、直ちにサーバーを停止し、情報漏洩阻止に成功、基地指令が感謝していると。それとどうして分かったのかと返答を求めて来ています」


 居合わせた用賀指令が口を開く。

「<シークレット・ウエポン>を探しているのだろう。それは機械ではないのに、新システムだと中国王朝軍は必死になっている訳だ。それにしても、我々はマーガレットに助けられてばかりだな」

 『指令までも、わたくしを呼び捨てですわ』


 こういう気運になるのは、わたくしの意図するところ。最前線宮古島分屯地の重要性をアピールしていくのです。

『隊員達は皆優秀。でも、わたくしがちょっと頑張っただけで、気落ちしないで欲しいものです』

<たわけ、私が頑張っているんだ>

「は、伯爵令嬢に向かって たわけとは!tatuzoは 万死ですの」

<なら、私を殺せるもんならしてみろ。ふふ出来んだろ?>

 むぅ


 ところがです。隊員達がわたくしを悪女ではなく、女神様を見るようなキラキラとした瞳を向けてくるのです。やる気満々なのです。アンパンマンなのです。

「自衛隊は規律の世界。でもこと宮古島分屯地ではわたくしの事を、マーガレット様と......分かるのね。高貴なオーラまでは隠せませんわ。でも鬼島津班長は、相変わらず不満のようですの。なんですの!あの男は」

 <小悪魔め! しかし流石だ島津、お前は漢だ>


 さて、この一件でわたくしが天才プログラマーだとバレました。

<誰がじゃ?>

「わたくしが じゃ」

 ハッキング対象を、正確に逆探知するプログラム<シーカー>は、現王立自衛隊には無いものですから。

 <馬鹿が威張るな>

「もう!」


◇中国王朝軍司令部◇

「陳、これはどうした事だ。最新イージス艦と原潜で気を逸らし、特殊なハッキングを試みたものの、また失敗したのか」

「はっ、何も得るものが......なく」

「探せ!何としても自衛隊の持っている秘密を」



◇本店那覇基地◇

「またマーガレットか、益々有能な事だ」

「中国語に堪能で天才プログラマー、それでいて防大の成績は首席ではなく4位......信じられんな宮本一尉」

「しかも幹部候補生を拒否した美女......もはやミス宮古島と言っていいでしょうか」

「ふ、しかも扇とティアラで、隊員からは女神様とまで言われているそうだ」

「女神と言うより小悪魔ですよ」

 しかし問題があった______


_______その問題とは本店那覇基地どころか、他基地からの転属願いが山のように届いている事だ。

その原因になったのは、広報誌やSNS。

<ポーズを決めて、バカバカ写メ撮られてたしな。しかも令嬢ポーズまで決めて>


「転属狙いはマーガレット。王国自衛隊員が馬鹿げている。そんなものいちいち取り合っていられるか。そう思わんか宮本一尉」

 その......。

その宮本一尉は手に、一枚の紙を持っていて、それを厳かに差し出した。

「宮本! 貴官もか! 馬鹿者、却下する!」

 ガクぅ


______島津と宮本は友人で、二人共今なお独身だ。

「このままでは、マーガレットを島津に捕られてしまう」

だが、その島津の本心は、未だ分からないと言うのに。


◇小悪魔 悪役令嬢の企み◇

 わたくし、電子小隊のアシストも考えていて、隊員達へ愛情が籠った熱いコーヒーを差し上げていますのよ。このわたくしが直々に。これで元気100倍アンパンマンズになるのですから安い物ですわ。

<いつも親指を突っ込んでいるがな>


 ところがです。あの鬼が、朝のコーヒータイムに現れるようになったのです。

「匂いを嗅ぎつけて、まるでポチですわ!」

 <よぉ島津>

「あら? 班長はここに何を?『ポチ』」

『場違いだと申し上げているのですが』

「コ、コーヒーに決まっているだろう」

 <ほぉ?>

 

 取り合えず、わたくしが親指を突っ込んだコーヒーを出して差し上げると、渋い顔をしながら飲み干し、悠然と去っていくのです。高級な豆なのに失礼なポチ。


「どうして班長がここまで?」

「そりゃ、宮古島分屯地の女神様を拝みに来たんでしょうよ」

 むぅ。

「俺達電子小隊は、別名<マーガレット様親衛隊>だと言う事を忘れるな。昨日の友は今日は敵!」

 おおぅ!


「あの~、わたくし隊を乱してます?」

<気づいたか? まんざら、たわけでもなさそうだ>

「tatuzo!」

 えぇ?

「いえ、腹が立つぞ~って意味ですわ」

「班長の事だな。流石、女神マーガレット様は分かっていらっしゃる!」



◇浅倉マーガレット◇

 富豪伯爵家の養女にして22歳。当然独身で彼氏なし。

完璧な中国語に加えて、天才プログラマー。身体能力は何故か男性隊員と同等以上。表向きは、英語と中国語だけにしてますの。

tatuzoのお陰で、空自練習機T-4の操縦ライセンスは所持。

別人格tatuzo は、本来F-15EXのエースパイロットなのだ。


 マーガレットは悪役令嬢の話し方をするが、能力(tatuzoスキル)を秘匿しており、出生に関しては謎が深い。けれど目的は<空飛ぶ悪役令嬢>になって、日本王国を守りながら英雄とはならずに、逆に嫌われまくる事であり、全く行動原理がチャラポンなのだ。


島津国生(しまずくにお)

 宮古島分屯地班長。37歳で独身。

責任感の塊であり、屈強な肉体を持ち部下からの信頼は厚い。

F-15SE戦闘機の操縦ライセンス所持者でもある。

マーガレットのような隊員は初めてで、何故か心が騒めき始めていた。


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