EP17 戦闘機と魔法スキルの世界に転生した意味
______私は、マーガレットが謹慎している間、いつもより考える時間が増えていた。
それはラノベの<剣と魔法>の世界の話。
その時間私は、独自の仮説を組み立てる事にしたのだが、それは元の世界に帰る糸口を探る為でもあるからだ。
<あれは間違いなく魔法の鏡だ。マーガレットが存在する世界では、剣は使わないが、その変わりとなるのが戦闘機。言うなれば戦闘機と魔法スキルの世界に置き換えられるだろう>
ちょっとぉ~。
「tatuzo 、最近、妙に大人しいわね。もしかして......わたくしをおかずにして、Hな事ばかり考えていたのでしょ。この変態!本当に呆れましたわ」
<あのな、私は馬鹿令嬢に付ける魔法の薬が欲しいんだよ。令嬢のくせによく言えたものだ>
「んまぁ!またわたくしの事を、美人だけど馬鹿だ馬鹿と」
<そこは勝手に捏造するな!>
「でも魔法? それならありますわよ」
<おっと、魔法があるのか?>
「あの時わたくしが、無謀にもガチンコ勝負をしたとでも?」
思い起こせば、マーガレットがガチンコ勝負に自信満々だったのもおかしな話だった。
「わたくしには、固有魔法<防護幕>がありますの。ですから、ガチンコ勝負で激突しそうになっても、空間が歪んで衝突はしませんでしたのよ」
<それ初耳だぞ......しかし>
私は今の言葉で、マーガレットの自信の謎を理解した。
<そうか、それで殲35が腹を見せたのか。あれは回避行動をしたのではなかったと言うんだな?>
「いいえそれは違いますわ。わたくしの<防護壁>に触れる瞬間まで、敵機は回避しなかったのよ。そういう意味では、中国精華王朝軍のパイロットは、敵ながら大した根性でしたわ」
<むぅ、そうだったのか>
私はまだ混乱しながらも、もう少しマーガレットの話を訊くと、これは個人固有の魔法スキルで、誰がどんな魔法を持っているかは、絶対口外しない秘密なのだそうだ。
<つまりだマーガレット。その秘密を知っているのは私だけで......しかし、おまえのその記憶は、私に受け継がれなかったぞ>
「ふうん、でもその理由は、わたくしにも分かりませんの」
<と言う事は、プリンセス・ソレイユも魔法を持っているのか?>
これは表に決して出ない秘密。自分の事は分かっても、他人のスキルまでは分からない。魔法は確かに存在するのに、この世界では秘密にされているのだった。
「tatuzo、それは誰にも分からない事ですのよ。わたくしの推測になりますけれど、恐らく一流の美女パイロットなら、持っていても不思議ではありませんわ」
......<魔法スキルは美女限定だと? どこから来るんだその自信と魔法は>
「そこから」
CMかい。
それを裏付けるように、ユーロファイター・タイフーンを駆るイギリス王国、F-18スーパーホーネットmarkⅡが主流のアメリカ合衆国TOPGUN、MiG-29GTRのウクライナ王国トップパイロットは、皆、揃って美人である。
その3人は、強い負けん気と王国のプライドを背負い、フランス王国と同様、既に各王国空母に運ばれて、宮古島を目指していたのだ。それは王命であった。
無論、世界で評判のマーガレットが駆るF-15EXと勝負するのが目的であって、この事実は、市ヶ谷にも宮古島分屯地にも知らされていないのだ。
日本国国王イシーバは安堵していた。
フランス王国王女が、友好スクランブルから無事、帰還したからである。それとマーガレットにしても、問題だらけの飛行隊員であっても、超が付く優秀な隊員、除隊など出来るものではなかった。
______プリンセス・ソレイユの謹慎中、豪華宿舎、格納庫などが完成し、暇で仕方がないソレイユは、毎朝、わたくしの電子小隊に現れるようになりましたの。それも朝のモーニング・タイムに、宮本一尉まで連れてですのよ。
「ポチだけでも迷惑なのに、とんだフランス王国王女様とオマケまでが。ここは喫茶店ではありませんのよ」
実際、プリンセス・ソレイユには、専属メイドが何人も控えているにも関わらずにである。
「「「そうだ、そうだ」」」
電子小隊の皆も、そこは語気を強める。
「コーヒーくらい、わたくしにだって出来ますわ。フランス王族の華麗な作法、とくとご覧あれ」
あぁん
ガシャァン
マーガレットがドリップした折角のコーヒーを、盛大にぶちまけた音だ。
「王女様!」
後ろに控えていたメイド達が駆け付け、ぶちまけた後始末を始めた。
「ソレイユ王女、悪いが俺達はマーガレットが淹れたコーヒーが飲みたいんだ。宮本一尉、あなたも用が無いのでは? それと島津班長もですよ」
「今のは、こうしてはいけませんと言う見本ですの」
マーガレットがいつもするように、ソレイユは鉄扇を広げて口元を隠してほざいた。
バッ
「あら、これはフランス王国と日本王国の外交ですのよ。そのわたくしがここに来て、何の問題がありまして?」
外交と言われれば、用賀指令も反論が出来ない。
なんだかんだで、結局電子小隊の朝は、<カフェ・ド・電子小隊>に変わってしまったのである。
その後、驚いたのは、マーガレットとプリンセス・ソレイユが揃ってメイドコスを着用した事で、こんな外交ならと指令の目尻も下がったとか。
本人達にしてみれば、どちらが似合っているかを競っていただけなのだ。
______ズザザァ
白く長い航跡を曳きながら、3隻の空母が日本国宮古島分屯地を目指していた。
有名なイギリス王国空母クイーン・エリザベスⅡ
アメリカ合衆国原子力空母ドナルド・ジョン・スランプ
※世界最強最新鋭空母。
ウクライナ王国ウリヤノフスク級原子力空母
※こちらの世界では、完成している最大級の巨艦。
それぞれの空母に乗り込んでいるのは______
イギリス王国空軍 エベリット公爵令嬢 コールサイン=Invincible ※無敵
アメリカ合衆国TOPGUN卒業生 ミス・アメリア コールサイン=Asshole ※負けん気の強さが強く出ている。
ウクライナ王国空軍ネトレスカ コールサイン=Breaker
である。※破壊者
ちなみにマーガレットのコールサインは=ヴィラネス・レディ ※悪役令嬢らしくてよ。
プリンセス・ソレイユは=Skypanda ※だって可愛いんだもの。
この3人、マーガレットの推測通り、隠された魔法スキルの所持者だった。
では、プリンセス・ソレイユはどうか。
毎朝の外交茶会は無駄では無く、王女が自慢気にポロっと口にしてしまったその能力とは。
<ブラック・アウト>______
敵機のパイロットの視界を、15秒間遮断するらしい。
マーガレットのスキル<ディストーション>も反則だが、ソレイユのそれもチート過ぎるのだ。
<勝負は始まる前に終わっている>と言えるだろう。
そして宮古島分屯地を目指している3人。
彼女達の魔法スキルも、相当ヤバイと認識すべきだ。それ故の王国のトップなのだから。
______残念ながら作者の都合で、この物語は一時ここで終わる。
私が魔法の鏡に呼ばれた真の理由。宮古島分屯地に終結する5人の美女パイロット達と、彼女達が持つ魔法スキルの関係______
私はその真実を知らない。
ただいつも頭に浮かぶ歌
ふん
ふん
♪たとえ あらしがふこうともぉ
たとえ 大波あれるともぉ~ ♪
いつものように、呑気に口ずさんでいた。
バチ
バチ
日本に居た頃から、私に纏わりつく静電気は人より強かった。これは私がマーガレットから主導権が移っている時、更によく起きた。
<全く、F-15EXに静電気や電磁波は厳禁だと言うのに>
私は知らなかったが、それは静電気ではなかった。
この世界に渡った私の固有スキルだったのである。
それが意味するもの______それは新たな敵に対抗する為の......。




