EP16 集う猛女達
______この後、王女であろうと危険行為をした二人は、共にこってりお小言を頂戴したのであった。
「Dismiss(ディスミス以上だ)」
クロヴィス艦長は、やれやれといった顔をしながら、咥えた葉巻から紫煙を吐き出す。
「マーガレット、あれはやり過ぎだぞ。へたをしたら懲罰除隊、逮捕も有り得る」
「こんな事で逮捕なら、日本王国の防衛は出来ませんことよ!」
「「こんな事だと!!」」
今回ばかりは、クロヴィス艦長と用賀指令も語気を強めた。ソレイユに何かあれば、艦長と指令の首二つだけでは済まなかったのだ。
原子力空母ローズ・アンドゥトワの艦長室から退出すると、反省したようには決して見えないが、少し項垂れた首を持ち上げながら、また喧嘩の続きが始まった。
「マーガレット、あなたのせいで小姑みたいなお小言を。お父様にもわたくし、言われたことがありませんでしたのに! プン」
「ソレイユ様、まだあなたとの勝負はついていませんわよ。次は泣かせて差し上げますわ」
「あら? やれるのかしら? わたくし、今日は実力なんて全然出してませんのよ。泣くのは、あ・な・た。よぉ~く覚えておきなさい。あ、その下品な顔では、無理そうですわね」
おほほほ
おほほほほ
ピク
ピク
「「ガルルル」」
負けず嫌いの二人では、どこまで行っても平行線である。
それを見ていた<私>と島津、宮本は同じ溜息をつくのだった。
「島津、俺も酒を浴びるほど飲んでみたい」
「あら、サムライ・ソルジャー、わたくしはお酒も強くてよ。いつでもお相手しますわ」
「奇遇ですわね、わたくしマーガレットもですのよ」
はぁ
「俺は辞退する。お前の顔を見ながらなんてな、想像するだけでもゾッとする」
「ふ~ん、幻の泡盛VSOPですわよ、それでも?」
「それは限定生産50本で非売品の!」
「おいおい島津、相場では100万以上するぞ」
ゴクリ
ゴクリ
「ふん、フランスのコニャック スペリオル・ナポレオンに勝るお酒などありませんわ。これだから庶民は」
「「それなら勝負ですわ!!」」
「「駄目だ、馬鹿メロウ!!」」
島津と宮本がはもった。<私>も同意だ。
空から地上で酒の飲み比べに発展しそうな勢いだったが、当然として許されるわワケがない。
大目玉を食らったマーガレットとプリンセス・ソレイユは、二人仲良く謹慎処分を受けたのである。
______しかし
世界にこの事件が知れ渡るや、日本王国とフランス王国の話題は、勇猛果敢なパイロットとして評価された。しかも二人は女性なのだ。
イギリス王国。
この世界では、クイーン・エリザベスは生きている。
「フランス王国のあの王女が! 我が王国に猛女はいないのかしら?」
イギリス王国空軍の主力戦闘機=ユーロファイター・タイフーン
アメリカ合衆国。
ドナルド・スランプ大統領。
「アメリカ合衆国は、全てにおいてナンバーワンでなくてはならない。TOP GUNのエリートを選抜するのだ。COURCE 女性でだ」
アメリカ空軍の主力戦闘機=F-18スーパーホーネットmarkⅡ
ウクライナ王国
ロシア帝国とはまだ戦闘が始まっていない。しかしキナ臭い動きがあると、情報部は分析していた。
デレンスキー国王。
「我が王国にも腕の立つパイロットが居る事を証明してやれば、ロシア帝国は、迂闊に手を出せなくなるだろう。なにより世界ナンバーワンを証明する好機、あの者を呼べ」
ウクライナ王国空軍の主力戦闘機=MiG-29GTR
それぞれの王国の威信をかけた猛女パイロット達が、我が日本王国宮古島に集結しようとしていた。
中国精華王朝空軍
-あの女パイロット-
-あぁ火の玉女-
-西側の言い方だと<ファイアー・ボール>とか-
-気になる-
「我が精華王朝空軍に、猛女はおらんのか? 陳」
「王よ、蘭蘭と言うエースがいるとは訊いております」
ほう、いるのか......。
「だが、我が最新殲35の秘密が漏れるのは拙い。非常に屈辱ではあるが、ここは見ているしかなかろうて」
......御意。




