EP14 中国精華王朝空軍 第五世代戦闘機 殲35(J-35)
______09:30
わたくしは、得意の中国語でこの情報を解読、すぐ指令に本店那覇基地に通達を進言しましたの。
すると指令は意外な事を口にしたのだ。
「本店には連絡するが、マーガレット空嬢、いっそプリンセス・ソレイユと組んで、スクランブルしてみたいと思わんか? いつもの示威行動だろう。ここで実戦を経験しておくのも、貴官には必要だ。島津をナビに付ける。心配はないだろうが時間は無いぞ、中国機はそろそろ離陸している頃だ」
本店那覇基地から、許可が出る筈はない。僚機にプリンセス・ソレイユなど、知れたらフランス王国と日本王国の大問題に発展してしまうのだ。
わたくしは今訊いた指令の話を、電子小隊に話ましたの。
島津班長もそこに来ていたが、これでガチンコ勝負を回避できるのではと、内心肯定していた。
ところがである。プリンセス・ソレイユが大変関心を持って食いついたのだ。
「日本王国に来て良かったわ。ガチンコ勝負の前の肩慣らしが出来るなんて素敵じゃない?」
周りの護衛兵士は顔面蒼白である。
「しかしプリンセス、相手は中国王朝空軍、もしもの時は我々が責任を取ることになるのです」
「あら、日本王国には<ハラキリ>って言う責任の取り方があるそうよ。わたくしに見せるチャンスですわ」
くっ
口に出したら最後、ソレイユが引っ込める事は難しい。
そこに用賀指令から連絡が入った。
「09:45時、直ちにスクランブルされたし。僚機はマーガレット三等空嬢 F-15 送れ」
げぇ~
「ラジャーよ、ラジャー、すぐ返信するのよ」
はぁ~
「Yougaはわたくしの事、よく分かっていらっしゃる。あなた達とは大違い。すぐラファールの発進準備をしなさい!」
ひぃ~
______「想定外の展開になった。マーガレット、操縦桿は指令の言う通り、お前が握れ」
「了解よポチ」
なっ!
むぐぅ
『なんで俺は言い返せないんだ! くそぉマーガレットぉぉ!』
<上官をポチとは、悪役令嬢そのものだ。よく言えたものだな>
ところが指令の命令は、プリンセス・ソレイユの僚機で! という命令だったのだ。
むかぁ
「何が僚機ですの! わたくしはその命令には従いませんことよ。用賀指令、ボケましたわね」
「また始まった。マーガレットの負けず嫌いが。本当に困った女だ」
「ポチ、とにかくF-15EXスクランブル、ぶっ飛びますわよ」
うへぇ
「はい、そこはラジャー!」
ズォォォ
______なんだかんだ、ギクシャクしながらF-15EXは飛び立った。
ほんの60秒前には、プリンセス・ソレイユの複座型ラファールが、空母から飛び立っている。ナビは宮本一尉だ。
交信ON
ザ
「あらら、わたくしの僚機が遅れて登場ですか。余裕ですこと。日本王国の質は、たいした事ないですわね」
むかぁ~
ザ
「わたくし、あなたの僚機ではありませんの。そこは御間違いなく」
ザ
「いい度胸ね、このフランス王国王女プリンセス・ソレイユに向かって。いいわ、どちらが中国王朝空軍機を追い払うか、ガチンコ勝負の前の前哨戦って事で、いざ勝負ですわ」
ザ
「ふふ、売られた喧嘩は買う主義ですの。きっと後悔しますわよプリンセス・ソレイユ」
「これで決まりです。サムライ・ソルジャー、中国王朝空軍はどこ?」
<やっちまったなマーガレット。敵機は私が追い払う。お前は黙って座ってろ、いいな。一応、島津には従っておくんだ>
Boo~
ボギー!
「プリンセス・ソレイユ、来ました、10時方向、形状から中国王朝空軍殲35らしき戦闘機2機、目視で確認」
「噂の新型ステルス......相手にとって不足なし」
ザ
「マーガレット、レーダーに映らないステルス機、恐らく新型の殲35だ。取り合えず警告しろ。お前、中国語が得意だろ」
「噂の新型ステルス......相手にとって不足なしだわ」
プリンセス・ソレイユとマーガレットは似た物同志。分かり合えば、いいライバル関係を築ける事だろう。
しかし今は、プライドをかけたガチンコ勝負の前の前哨戦。意地と意地の張り合いが始まったのである。
「<一番槍>ヴィラネス・レディ行きますわよ!ポチ」
「ヴィラネス・レディ? 何だそれは! それに誰がポチだ!」
「わたくしのコール・サイン、あなたはポチ」
ええい糞!
______一方ソレイユは。
「サムライ・ソルジャー、わたくしに恥をかかせないの!」
ウイ ウイ プリンセス
『糞、とんだじゃじゃ馬だ。俺はな......』
宮本一尉は、それ以上想うのを止めた。
ザ
「F-15<一番槍>ヴィラネス・レディから宮古島管制、これより接触、警告する」
「ポチ、よく言えました」
ザ
<島津、レーダーに機影がない。注意しろ。それとお嬢とフランス産じゃじゃ馬を守るんだ......ポチ>
「ぷっ、では参りますわよ、ポチ!」
「うるせぇ~」




