EP12 奇妙な三角、四角関係?
「拙いぞマーガレット、ここに長居は無用だ。さっさと隠れるぞ」
島津は宮本の機転に気づいて、マーガレットを宿舎に連れ戻したのだった。
<ふう、一時はどうなるかと思ったぞ>
「最初にガツンと一発、ナシを付けたかったですわ」
「マーガレット、お前の負けず嫌いは相当なものだ。しかし相手はフランス王国なのだ。失礼があってはならん。ここは自重するんだ」
ふん!
「わたくし、早く模擬戦で白黒決着をつけたいですわ」
それはF-15EXとラファールの模擬空中戦。搭乗するのはマーガレットとプリンセス・ソレイユである。
「ラファールは準備が整うまで、まだ14日は必要だろう。お前はそれまでにF-15EXの訓練に励め。負けたら承知せんぞ」
「万が一にも負けませんの。班長、わたくしを甘く見ないで欲しいものですわ」
マーガレットには勝つ自信があるのだ。
『F-15EXが離陸したら、後はtatuzoに任せるだけ。仮にもエースパイロット、ラファールの我儘令嬢なんかに負ける筈がありませんわ。ねぇtatuzo』
......。
<いや、ラファール2024は強敵だ。油断は出来ん。それにソレイユの技量が分かっていないのだよ>
「あら、弱気な事」
模擬戦のルールは、各機単座で行う事になる。
機関砲のみで、ロック・オンされたらエンドと言うシンプルなものだ。
F-15EX、ラファールの機体性能を全て熟知し、限界を知っていなければ負ける。万が一に備えて、機体パラシュートが装備されているが、それに甘えていては負けるだろう。
◇無謀なハンデ◇
相手を事前に怒らせておくのも、作戦上有効ではある。
「わたくしのF-15EXの機体パラシュートを撤去、燃料は50%に、戦闘中は無線をオフ、それをミレイユへのハンデといたしましょう」
<馬鹿が。脳みそをどこで落とした?>
なに!
これにはtatuzoも島津も驚いた。
「馬鹿野郎、死ぬ気か」
<何がハンデだ。操縦するのは私だ。見栄を張りやがって! この馬鹿令嬢>
______フランス原子力空母<ローズ・アンドゥトワ>は、暫く宮古島分屯地に停泊する事になっていた。
これが話題となって、連日見物客で大賑わいとなっているのである。
「ふふ、日本王国の民も、超エレガントなわたくしを見たくて、毎日来てくれる......益々やる気が出て来ましたわ」
これに気を良くしたプリンセス・ソレイユは絶好調、空母から発進、数々のマニューバーをこなして、着艦する訓練飛行を披露したのである。
「マーガレット、よく見ておけ。ラファールの癖とプリンセス・ソレイユの腕前を」
「F-15EXと互角なのは、間違いありませんわね」
______プリンセス・ソレイユのテクニックを見れたのは僥倖、しかしマーガレット(tatuzo)の手の内を知られたくはない。
「俺達は少し離れた空域で特訓だ」
「よろしくてよ班長」
「全く、どうにかならんのか、その言葉使いは」
島津はもう怒るのを諦めた。マーガレットの能力を100%引き出すには、自由にさせておいた方がいいからだ。
「もうお前にとやかくは言わん、その代わり必ず勝て!」
<ほう、小悪魔悪役令嬢が島津に公認されたか>
「わたくし、負けず嫌いですの。班長はとっくに御存知でしたわね」
ふ
珍しく島津がマーガレットの前で笑った。
______それからマーガレットと島津の厳しくも激しい訓練が始まった。
残された時間があと何日あるのか、その日時は気分屋のソレイユにかかっている。
訓練は宮古島の北の空域で開始した。
<こっちの世界では、戦闘機がVTOL化してるんだな。F-15がVTOLだったのには私も驚いた>
「あら、戦闘機の半数はまだ滑走路が必要なのよ。空母はまだまだ現役ですわ」
「うむ、マーガレット、VTOL同志の戦闘になる。作戦を組み立てておかんとな。しかしお前の言ったハンデだが、燃料を大幅にカットするのは有効だ。但し、機体パラの撤去だけは却下する。無線を使用しないのは、お前の作戦なんだろう。理由は訊かんが」
<私としても、機体よりマーガレットが大事だ。お前が死んだら私も死ぬんだろうからな>
「へぇ~、わたくしを心配してますの?」
「あ、当たり前だろうが! この馬鹿令嬢もどき!」
<おっと、島津が代弁してくれたが、何とも私は腹が立ってきたぞ>
奇妙な三角関係? 果たしてマーガレットは、プリンセス・ソレイユに勝利出来るのだろうか。
ところが、宮本一尉もそのトライアングルに加わる可能性が大なのである。




