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38話 ワルカリア討伐戦-1-

 軍事作戦開始日、私はかなり早く軍の拠点を訪れていた。

 目的は総大将との面会だった。


「今日はまた早いな」

「早くなければ話す時間もないでしょ」

「道理だな」


 そう、軍事作戦が始まってしまえばゆっくり話してる余裕はなくなる、今しかチャンスは無いのだ。だから私は早くここに来たのだから。


 フリードが人払いの命を下して準備が整ったところで話が始まった。


「例のアレだが、アレを配備するところには精鋭を何人か配備する。奪われることだけは絶対に避けねばならん」

「妥当なラインね。アレがあれば精鋭が何人かいれば規格外の化物が相手でも何とかなる可能性は十分にあるわ」

「その通りだ、それと各地の教会は優先的に解放したい」

「確かに、アレをもしかしたら追加で確保できる可能性もあるわね。そうすれば被害は減らせるかもしれない。まぁ教会から苦情が来るかもしれないけど……」


 まず話題となるのはやはり作戦のことだった。本来、今の私の立場でこの手の情報をやり取りすることは絶対にありえない、しかし私は総大将と知り合いな上に有識者だった。


「そう言えば依頼の詳細では配属先をある程度決めるって話だったけど、トラブルとか無かったかしら?」

「お主の予想通りだ、有力な冒険者の引き入れは激しかったぞ。特に貴族が所属してるところが熱を入れてたな。だが一番注目されたのはやはりお主だったな。ワルカリアの拠点を粉砕したことが既に貴族たちにも知られている。まぁ依頼の放棄をされたら困るという理由で要求は通させなかったがな」


 案の定、私に注目が集まっていたらしい。派手に動き過ぎたかもしれないわね。

 下手すれば余ってる子を婿入りさせることを目的に叙爵させようとする動きが出てもおかしくないわね。仕方ない、予定を少し早めるか……。


「やはり貴族が騒いでいたのね……。しかし私の方からは貴族のいない部隊に配属を条件に受けているし、そしてそれを総大将であるあなたも認めているわ。その状況下で呼び込もうとするなんて頭おかしくないかしら?」

「お主を積極的に欲した連中は栄誉が欲しいだけの無能共だから仕方がないがな」


 そんなのが貴族で良いのかと問い質したいところだけど、潰す理由もないのよね……。

 だから貴族の質が落ちる。


「それよりこの作戦が終わった後はどうするつもりなのだ?」

「少ししたら一度国を出るわ。他国で修行しようと思ってるの」

「やはり実家に連れ戻されるリスクを減らしたいか……。どこに向かうのだ?」

「そうね、イナキ王国やチバンガ教国には一度は行きたいわね」


 イナキ王国、東方の国でトーイス流剣術の発祥の地、一度は本場を訪れてみたいと前世の頃から思っていた。今の私は冒険者としてのランクも抑えてるのでかなり自由がある、なので向こうを訪れるチャンスだった。


 そしてチバンガ教国、世界中にある教会の総本山のある宗教国家であり、国中に数多の温泉地があることで知られている。宗教国家ではあるけど観光業も非常に盛んなのよね。

 残歴転生をして神の加護を受けし身であるので是非とも一度は訪れるべき場所だった。


 フリードもその意図はすぐに察したみたいだった。


「良き選択肢ですな。特にチバンガはお主のような者が訪れるべき国だ」

「えぇ、先に訪れるべきはチバンガですね。適当な護衛依頼でも見つけて近くまで金稼ぎをしつつ向かうつもりよ」

「旅路に護衛依頼を受けようとするとは……何も知らなければ守銭奴と思われるぞ」

「まぁ欲を言えばマジックバッグを追加で購入したいしね」


 意図的に護衛依頼を受けて旅を進めるのは邪道と言われていたりするわね。「金をしっかり稼いで旅をしろ」と言う風潮が冒険者の中では主流だったりする。

 でも禁止行為ではないから何かしらの縁で護衛依頼を受けて旅路を進む例も少なくはないし、非難される謂れはない。

 それにまだ幼いから独り旅はすべきではないと考える大人もいるからね。多少邪道な行為に走っても規則に反して無ければ文句は言われない……とは思うけどね。


「お主の方針は理解した、そろそろ話は終わりにしよう。もう少し話しておきたいところだがあまり長々話してると周りが煩いのでな……」

「そう言えば人払いしてたから余計面倒ね……。ではここまでにさせてもらうわ」


 最後に配属先の部隊を教えてもらって私はその部隊に向かった。


 そしてそこには思いもよらぬ人物が待ち受けていた。


「あれ、ジャンヌちゃん?」


 なんとハルタルの町で出会って魔法の指導をした3人組の1人、バクロンがそこにいた。多分色んなところで依頼出してたんだろうね。


「あら、久しいわね。魔法を身に着けて何か変わった?」

「戦い方の幅が広がって依頼成功率が上がりました。そのおかげでランクもEからDランクに上がって受けれる依頼が増えて生活が良くなりました」

「それは良かったわね。治癒魔法があるとだいぶ変わるでしょ?」

「少しくらいなら無茶をしてもなんとかなるので重宝してます」


 本当に良かった、1日潰して魔法教えた甲斐があったよ。これでほとんど変わらなかったら時間を無駄にしただけだったからね。


「そう言えば他の二人は?」

「リーダーのドンジョは会議に行ってるし、レンナは同じ部隊に配属された先輩冒険者のパーティーに色々と教えてもらってるみたい。確かそのパーティーの名前は『白い徒花』だったと思う。それで僕だけ暇でこの辺を彷徨いてたわけ」

「な、成程……。それにしても『白い徒花』も一緒とわね。知ってる冒険者パーティーだから私も挨拶はしていった方が良さそうね」


 なんか知り合いがいるわね。普通ならありがたいところだけど、彼女たちは私の元の立場を知っている、バラされたら困るから釘を差しておかないとね……。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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