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10話 拠点粉砕

 ひとまずギルド近くの商店街で依頼に向けた買い物をサクッと終わらせて昼食を取るとワルカリアをしばき回す為に動き始めた。


 そこらを彷徨いてるメンバーの首を刎ねつつ街を歩いてると無駄に広い敷地を見つけた。

 周囲を調べてみるとワルカリアのメンバーが沢山出入りしている。間違いない奴等のアジトである。


 こう言うのを一掃するには派手さが重要だ。


 まずは大規模な攻撃魔法で敷地中を爆撃する。次に攻撃を受けて混乱した部隊を片っ端から潰していく、こうすれば余程特殊な相手ではない限り組織的抵抗は行えなくなる。ここまでこれば消化試合、後は片っ端から斬り伏せてやればおしまいだ。


 問題は2つある。

 1つ目は敷地全体を万遍無く破壊するには魔力量がやはり必要である。神の加護を受けた私は魔力量が多いけど万が一があり得る。

 2つ目は人質がいたら巻き添えを食らうことだ。先に救出しておくべきである。


 2つ目の問題を解決するために私は魔法で姿を消し侵入し探知魔法を使用した。人のいる区画を片っ端から確認して行く必要がある。どこに牢獄があるのかは分からない。と思ったら運の良いことに敵の幹部が会議している近くに忍び込むことができた。


「おい、市内で爆発音を聞いたという報告が上がっている。状況はどうだ?何があった?」

「襲撃です。迷宮の拠所を襲撃する予定だった部隊が丸ごと消滅しております。敵に高位の魔道士がいたと想定しなければなりません」

「痛い報告だな。連絡のつかない者も増えてきている。何者かの攻撃を受けていると考えるべきだろう。まったく、昨日の冒険者ギルドでの諍い以降我々の面目は潰されっ放しだ。すぐにでも敵を特定して報復する必要がある」


 敵は直ぐ側まで来ているんだけどね。


「このままでは住民への抑えも効かなくなる恐れもある。現に王国は我々を叛逆者絶滅法の指定団体にしやがった。いつ大々的に住民たちが襲ってきてもおかしくはない」

「そう言えば迷宮の拠所を襲撃する予定だった部隊が爆破された後、住民たちによるリンチが行われていたと言う噂がありましたな」

「何!?もう始まっているのか!?」

「これは不味いな…本部に連絡をするか?」

「考えなくてはなりませんね…。流石にここまで連続して襲われるのは異常です」

「致し方あるまい、後で連絡員を選定する。今日の会議はここまでだ。このままでは街への影響力を失う、体制変更は必須だ。明日までに案を考えよ。そして最終的な結論を出す」

「「「「我らが神、ブーアクルバ様の御加護と栄光あれ」」」」


 何だこれ?ワルカリアって宗教団体だったのか?と言うかブーアクルバだっけ?大厄災関係の何処かで聞いた覚えが…

 ま、いいや、後で考えよ。奴等が会議を終え部屋を出た後、部屋に忍び込むと良いものを見つけた。

 アジトの敷地全体の地図が部屋にはあった。牢獄の位置も当然のように記されていた。これでかなり動きやすくなった。調べる場所が減ったのだ。私は会議室を出ると牢獄の方面に向かった。そこには2人の女性が裸で繋がれていた。

 裸にされてる目的は…うん…間違いないわね…。


「今解放してあげるわ」


 2人は小さく頷いた。


 周囲の状況を確認しつつ女性たちを牢から解放すると魔法で姿を隠させ牢獄を脱出、私が身体強化を使い2人を担いで浮遊魔法を使い敷地の外へ出して近くの古着商の商店で保護してもらった。勿論2人の保護に関して、私が依頼料を支払っている。


 これで最大の障害は排除された。お構いなしに攻撃できるようになった。望んだ状況を作り出すことが出来た。後はそれを最大限活かすのみ。


 ここで魔力の残量を確認した。確かに減ってはいるけど魔力は足りている。

 でも予想外のことがあれば危うい、念の為マジックポーションを飲んでおく。これでマジックポーションに含まれる魔力を吸収できる他、回復速度が少し早くなる。


 マジックポーションの効き目を感じたところで術式を組み始めた。


 組んだのは多角的に広範囲に派手に攻撃する大魔法の術式、複数の魔法を統合した超大規模魔法である。私が私の魔力量で放てる究極の魔法として開発した術式だ。無論理論上でしか完成してないので実際に使うのは初めてだった。


「厄災の豪雨…」


 特大術式故に詠唱が必要だった。詠唱と同時に組み上がった術式からは魔法の雨が降り注いだ。

 建屋は破壊され、庭は氷結し、落雷は外に出ていた人を焼き焦がし、燃え盛る炎が天高く上がった。そこにあったのは破壊と破滅の嵐であり、この世の地獄とも言うべき惨状だった。


 あちらこちらから悲鳴が上がる。生き残りはいないわけではない。数少ない生き残りはあまりの被害に絶句し、絶望という名の檻の中に閉じ込められていた。


「さぁ生き残りを刈り取る時間ね」


「うわー!助けてくれー!」

「し、死にたくないぃぃぃ」


 私が突撃すると蜘蛛の子を散らしたようにワルカリアのメンバーたちは逃げ回った。

 立ち向かえばまだ倒せる可能性はあった。でも彼等は完全に心が折れていた。もはや抵抗する気力は皆無、逃げ出せばまだ良い方で中には地べたに蹲る者も大勢いた。

 仮に私のいない方へ逃げ出しても助かるとは限らない、一部の住民や冒険者たちが立ち上がりワルカリアへの抵抗運動へと発展していた。彼らに出会ってしまえば例外なくリンチされミンチに変えられる。


「ワルカリアは街から出てけー!」

「家族の恨みだー!」

「今日の今日こそ追い出すぞー!」

「ぶっ殺せー!」

「血祭りに上げてやれー!」

「遠慮は要らんぞぉ!潰せぇー!」

「街を取り返すぞー!」


 どうやらここもお祭り騒ぎに発展していた。見ていて面白い。この状況ならあっという間にワルカリアはこの街から駆逐されるだろうね。


 だけどここでそのシナリオを拒む者がいた。


「小娘が…やってくれたな…」


 背後から声をかけられた。かなりお怒りの様ね…その低い声には強い怒気が感じられる。


 振り向いてみれば先程の会議で一番偉そうにしていた男がそこには居た。顔は怒りで歪み、魔力が震えてるのが分かる。どうやら精神状態は安定していないらしい。

 これが怒りに支配された存在だと思うとゾッとする。


「貴様にはここで贄になってもらう。ブーアクルバ様のな」


 どうやら私をここで殺したいらしい。


「我が名はフディーサラン、ブーアクルバ様の御加護を受けワルカリアの頭長の一角を占める者である!我らが主、ブーアクルバ様よ!御照覧あれ!」

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