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31話 冒険者

今週もよろしくお願いします

 会合から10日経った。

 5日前、王都周辺の状況とその対応について告知された。不安は広がれど上から下まで大混乱に陥ることは何とか防げた。早急な情報開示の確約と防衛強化の指針が一定の評価をされたようだった。

 その一方で戦える者は鍛えて事に備えようとする動きも出ていた。私もこと動きに便乗してお父様に先日の約束を守らせた。一定の情報は確保し公表できたと判断しても問題なかったし、世の流れを王族が引っ張ることができるのも利点としてお父様には認めてもらえた。


 そうして今日、ドリビア子爵によるグレンの特訓に付いていくことになった。

 待ちに待ったと言って良い、本気で実戦に挑める機会はあまりない、王宮にいたらありえないと言っても良いのだから。それに将来的に出奔して冒険者になるつもりなので感覚を取り戻しておきたいしね。


 前世の記憶を元に装備を整えて、自室にてフリードとグレン待った。マジックバッグに食料や水、予備の剣に非常用煙幕、使い捨てのマジックハウス(いざという時に休息を取れるように防壁と魔物除けの効果がある結界を張る魔道具)まで用意していた。

 そして王宮に着くなり彼らを招き入れ挨拶をした。


「ドリビア子爵、ごきげんよう」

「おはようございます。アリシア殿下に於かれましてはここ最近の激務、お疲れ様です。この老爺を頼ってくれることを心より感謝します」

「そんな堅苦しく言わなくても良いのですよ」

「そうはいきませぬな。爵位の低い私には私の立場というものがございますので」


 フリードのヤツ、貴族の仮面被ってやがる…。もっとラフで良いのにね…。後でしっかり仮面を外させてやる!


 フリードの引率の元、王宮を発ち王都の外ではなくギルドに向かった。


「殿下、ここで戦闘魔法を教えれる者とその者が属するパーティーと待ち合わせてしております。パーティーごと雇ったのは殿下の護衛も兼ねています」

「あぁ、それでここに寄ったのね」

「ギルドは喧しい場所であり、不敬な輩が現るやもしれませぬが、少しこらえていただきたく…」

「それは問題ないわ」

「左様にございますか、では参りましょう」


 こうして久しぶりにギルドに入った。

 あぁ懐かしい、この喧しさ、この熱気、この人混み、本当に懐かしい。


「ふむ、あの子達はどこに行ったか…」


「キャハハハ!」

「あー、面白い!」

「でしょー?とんでもないよねー!」

「楽しくなってきたし酒でも飲んじゃうか!」

「「「私達これから仕事でしょ!」」」


「おぉ!おったか!ようやく見つけたぞ!」

「「「「キャ~♡」」」」


 どうやらあの黄色い歓声をあげてる4人組が護衛らしい、フリードのヤツ、人気だね…。

 なんかグレンが鼻の下伸ばしてるわね。顔が赤くなってて可愛い。


「ほれ、騒ぐより挨拶せい、あの子が護衛対象だぞ」

「はい!私はBランクパーティー『白い徒花』のリーダー、マリンです。剣士をしています。宜しくお願いします」

「リーネなの。戦闘魔道士なの。宜しくなの」

「リンネと言います。弓士です。お姉さんに惚れても良いんだぞ☆」

「双剣のツバキと言います。脚の速さなら負けません!」


 なかなか濃いキャラしてる子ばかりだった。


「アリシアです。剣と魔法を中心に複数の戦技に対応する多特技戦士を目指してます!」


 取り敢えず無難に挨拶しておいた。


「剣と魔法?普通は片方だよね…?」

「確かにね、と言うか腰に下げてる剣、あまり見ない形状だよね。誰か知ってる?」

「弓は使ってみないの?」

「魔法?もしかして使えるの?使えるなら一緒に来るのです!楽しいですよ!」


 なんというか自由な女の子たちだった。これは苦労しそうね…。

 なんて考えてたらこちらに向かう者の気配を感じた。


「よう!嬢ちゃん達!俺達と一緒に遊ばない?チビとジジイなんて放っておいてさ!」


 チャラそうな青年冒険者が3人そこにはいた。マリンたちも嫌そうな目線を向けていた。

 なんというか…変わらないなぁ…。それにしても今の私にナンパか…命知らずにも程があるわね。しかもよりにもよってフリードを舐めてる。彼らには悪いけど、もはや自殺志願者にしか見えないんだけどね。

 さぁどう調理するか考えていたらフリードが口を出した。


「小僧ども、死にたいか?そこのお方が誰と心得る?」

「あん?何だジジイ?テメーはお呼びじゃねぇんだよ、死んどけコラァ!」


 あ、手を出しちゃった。流石フリード、余裕で受け止めてるわね。手を出してくれたおかげで対処は楽ちんね。こっちにはどう足掻いても誰も逆らえない大義名分があるのだから。

 当然私も参戦する。暴れ足りないからね。


ボコッ!


「グハッ!」

「こんのアマがッ!やりやがったなぁ!」

「如何にも弱そうね…」

「で、殿下!」


 フリードは私の参戦には驚いていたけど、まぁいいや!取り敢えずこいつ等を取り押さえないことには何もできないからね。

 身体強化を使ってるから体格の差、体力の差は補えている。これなら十分戦える。


「ぐっ…」

「お…おのれェ…」


 チャラ男3人はあっという間に撃破できた。しかしギルド内は大騒ぎになった。まぁこんなところで喧嘩すれば問題しかないし、冒険者ライセンス取消も十分考えうるからね。

 だから宣告するべきことは宣告しなければならない。


「私の名はアリシア・フォン・グレイシア、第二王女だ!私にナンパした挙げ句、ドリビア子爵のことを『ジジイ』と呼んだな?クソ野郎ども、王侯貴族のことを舐めてるのか?お前らには不敬罪を宣告する」


 ギルド中が喧嘩のときとは別の意味で大騒ぎになった。


 この場に王族がいること

 王侯貴族に対する無礼

 その場での容赦ない宣告


 もはや一般的な民衆からしたら勘弁願いたい状況だった。騒ごうともここにいる者全員が恐れ慄いてるのがよく分かる。


 宣告されたチャラ男たちは青褪めている。法律的にも救いようがなく、実力でも勝てない。完全に詰んでいるわね。だけど知ったこっちゃない、一応今の私の身分は王女だ、王族だ、それに相当しい姿を見せねばならない。彼らは拘束され牢屋へとぶち込まれることになった。

 ギルドの職員によってチャラ男たちは引き摺られて退場となった。


「お、王女様だったんですか!?」


 ツバキから驚きが口から飛び出した。

 気にはしてはいけない。


「本当は伏せておくつもりだったんだけどね。あのクズ野郎どもを潰すには簡単なやり方だったから正体を晒したの。効率重視よ、冒険者だってそうでしょ?効率よく魔物を屠り、効率よく稼ぐ、それが冒険者というものじゃない?」

「それはそうなの、私も効率よく魔力を使わないと魔力切れ起こしちゃうの、だから嫌と言う程そのことは身にしみてるの」

「流石戦闘魔道士ですね、話が理解できて助かります。あ、それと実戦的な魔法の使い方とか教えてください!」

「本当に、前衛の剣士じゃなくて魔道士の道に来てくれるの?」

「両方よ、両方できたほうがカッコいいでしょ?」

「くぅ~、あれだけ近接戦闘能力があって魔法を学びたいって…おかしいでしょ!魔法はやめて剣士として鍛えましょ?」

「マリンは脳筋」

「うるさい!」


 なかなか面白い会話ができた。

 それにしてもリーネちゃん可愛い。

 こうして私達は王都を出てブルダブル洞窟へと向かった。

この前活動報告で数話でと言っていましたが、書きたいことが多く、第1章の話数が予定より増える予想です。

これからも理を越える剣姫を宜しくお願いします。

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