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56話 表彰、そして次へ

今回で4章完結となります。

次回更新日は来週月曜日となります。

 迷宮の異変が終息したことでスタンピードは終わりへと向かっていった。


 何十年ぶりとも言える魔族由来のスタンピード、これは世界中に公表されることが決定している。そして各国に衝撃を与えることは想像に難くない。


 スタンピード終息宣言が姫将軍によって行われた後、私たちはイナキ王国の王宮への招待を受けた。


 国からしたら魔族を複数体倒し、スタンピード終息の立役者となった私を無視することはできない。しかし私はパーティーリーダーってことになっており、パーティーを放置することができない。それに全員あの迷宮攻略に参加している為、全員に一定の功有りとされた。だから全員が招待されたのだ。


 そして王宮の外宮での式典に参加することになった。


 この国の王宮は内宮と外宮に分けられる。

 内宮は王族の住む区域であり、王族の許可なく入ることは許されない。ここで働く使用人も王族から認められないといけないそうで、貴族身分だったり推薦とかがあっても王族全員が目を通して確認するらしい。因みに王族からの推薦なら本人直下でのみになるけど全員の認可は要らないらしい。

 そして内宮を囲むように配置されている外宮は政府機関が密集し、国の政治の中枢となっている。また祭事や社交、各種式典の場でもある。


「王宮での式典なんて聞いてないんだけど?」

「魔族を何体も始末した貴女ほど活躍された者はおりませんわよ?陛下がお呼びになられるのも当然ですわ」


 私はこの姫将軍と一緒の馬車に乗せられている。皆は別の馬車だ。私も向こうが良かった……。


「最大の功労者なのですからお諦めくださいまし」


 一々五月蝿い。


 黙って過ごしているうちに馬車は外宮の門を越えて最大の謁見場である大天殿に辿り着いた。本日の式典の会場でもある。


「さ、行きますわよ」

「はいはい」


 軍装姿の彼女の後ろに付いて大天殿に入った。

 彼女はこの国の王女である為、軍装でここに入ることは本来無いらしく、今回は特別とのことだ。王女としての衣装は動き辛い服装だから嫌いだって言ってたっけ?


 大天殿に入るとまず関の間に着く。


 ここで靴を脱ぐことになる。ここから先は土足厳禁なのだ。足が汚れてる場合は濡れ布でしっかり拭き取らなければならない決まりがある。祖国との違いに文化の違いを感じるわねぇ〜。

 靴は担当者が預かることになる。預けた際に札が渡されるので帰りはその札を担当者に渡せば靴が返ってくることになっている。


 靴を脱いで進んだ先が本日の式典会場、大天の間と呼ばれる部屋だ。

 畳という枯草っぽいやつで編まれた物が敷き詰められている空間でもある。そして今はその両側にこの国の貴族が並んで座っている。椅子は無く床に直接座るのか……まぁ良いけど。


 それにしても静かだ。これもお国柄かな?


 その大天の間の中央を進み、最前列付近で止まってそこに腰を降ろした。


 そして間もなく、国王の入場が告げられ一斉に頭を下げる。この辺の作法は一応レインに習っているので知っている。まさか自分でやることになる日が来るとはね。


 国王と思われる存在が入室し、動きを止めたところで声が掛かった。


「面を上げい」


 姿勢を戻すと前の一段高い場に国王が座っているのが見えた。その後ろには数々の品を抱えた付き人たちが控えている。


「これより先日のスタンピードにおいて大いなる功を挙げし者に恩賞を授ける。国司大臣」

「はっ!」


 国司大臣、確か祖国の宰相のような立場の人だったね。


「これより国司大臣が読み上げるものは前に出よ」

「レイカ姫」


 まぁ彼女からと言うのは順当かな。

 彼女は総指揮官として混乱しかけていた部隊を立て直しているし身分もある。

 彼女が前に出ると国司大臣よりその功と褒賞が発表され、この場で渡せるものが渡されていた。


 その次は当初事に当たったツセツ公爵軍の部隊指揮官だった。


 そして私の番は3番目だった。


「大聖女ジャンヌ殿は魔族2体を単独で討伐、さらに荒れる迷宮の攻略において主たる功を挙げた。その功により従五位下の地位、黄金、太刀を授ける」

「ありがたき幸せ」


 余計なことは言わないに限る。

 因みにこの国では従六位下以上の地位は貴族身分と見做される。つまり貴族身分が与えられたことを意味する。この国に残ってほしいのが丸分かりだ。まぁ爵位はないから縛りは無いんだけどね。


 そしてこの場で渡された品は太刀だけだった。こんなところで黄金は渡せないのは分かる。多分延べ棒で渡されるけど扱いに困るからね。


 仲間たちや他の大功挙げた人たちへの表彰が終わったところで国王よりお言葉があった。


「先のスタンピードは建国以来有数の規模であったことは疑いようもない。この国難に立ち向かいし者共に祝福と賛辞を贈る」


 その言葉を最後に国王が退出され、国司大臣以下付き人たちも退出していく。

 最後の付き人が退出し、襖と呼ばれる扉が閉められたところで式典はおしまいだ。


 貴族たちは大天の間では静かだけどその外ではそうでもない。外に出るなり嫁に来いだの士官しないかだの言ってくる。まぁ今日は無視しても問題ないから無視するけど。


 今夜は外宮の客殿で一泊することになった。


 そして夜、一緒に客殿に入ったナミから一つの申し出があった。


「私も一緒に旅したいの」


 あまり受けたくないけど受けざる終えなかった。

 話を聞く限り予想通り社は閉鎖的らしく、部外者の私たちには道術を教えてくれないだろうとのことだった。つまりそれを教えてもらう代わりに修行の旅に同行させてくれって主張だ。


 道術の修行が入ることで予定は大きく変更されることになった。


 使命を果たすためなら多少のことは受け入れ進まなくてはならないのだから。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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