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55話 厄災の終わり(下)

すみません。

年末リアルで色々とありましてこちらを完全に忘れていました。

本日から再開します。

 敵となる魔族はどうやら魔物での圧殺を諦めたらしい。だったらこっちから各個撃破して手足となる魔物を削ってやれば良い。魔族と激突する時に魔物は邪魔になる。少しでも減らしておくのが吉だ。


 しかしここに来て魔物の動きが妙に鈍くなってきた。

 これはどういうことだろう?


 そもそも種族混在で集団化した魔物がバラバラで精細に欠いた攻撃を仕掛けてくること自体が意味不明なんだよね……。あの手の集団は統率している個体がしっかり手綱を握ってるから手強いはずなんだけど……。


 ただ、今のこちらには好都合だ。


「よし、このまま押し潰してくよ!」


 今のところはこちらの上振れ、でも何かある前提で動かないといけない。


 魔族の気配を避けつつさらに5つの部隊を叩き潰した。

 なのに魔族は全く動かない。本当にどういうことなのだろう?


 その疑問は魔族と遭遇したことで解決した。


ーーーーーーーーーー


 色々な疑問を抱えつつ、魔族の周りを潰すように魔物を撃破し続けた。周りを潰したのはやはり挟撃対策だ。


 そして満を持して魔族の気配のする地点へと向かった。今ならほとんど邪魔は入らないと考えられるからね。


 そこにいたのは完全に邪気も魔力も制御された存在ただ一体の魔族だった。


「遅かったではないか」


 直行してくると予想してたみたいね。

 でも残念、他の手足となる魔物は潰させてもらったわ。


「おい、一体だけか?どうなってる?」

「近くにいるかもしれない!気をつけろ!」


 周囲も魔法で魔物がいないか探ったけど居なかった。つまりコイツとだけ戦うことを考えれば良い。気味は悪いけど裏がないのは大きい。

 確かに魔族が単独で控えてるのは確かに予想外だったけど魔族本体は確実に規格外だ。なので魔物がいないことは誤差と見るべきかな。


「一応周囲に魔物は居ないわ。魔法で確認したからね。でも注意して!コイツ、只者じゃない」

「ほう、お前は気づいているな」


 今ので私に目を向けられた。さて、今のは吉と出るか凶と出るか、どちらかねぇ?


「言っておくが俺にとって魔物は邪魔でしかないのでな。お前たちが幾ら蹴散らしていようと変わりはない。味方が邪魔な位置にいられても困る、故に単騎の方が楽だ」

「へぇ……」


 うん、魔族らしい傲慢さだ。基本的に連中は協調性がないからね。

 とは言え、魔族本人が近くに魔物がいないことを認めた。これは素直に驚いた。


 今敵同士で話しているのは機を窺ってる側面が強い。そう、どちらもだ。


 話しつつも陣形を整えていく。


「やはりお前が先頭か」


 もう答えてやる必要はない。確かに私が前に出てるけどね。


 陣形が整ったところでレインが集団強化魔法を発動し、全体の底上げをした。

 無論魔族もそれに気が付き、雷魔法の『スナイプボルト』でレインを狙撃してきた。非常に迎撃しにくい一手で潰しに来た。私も反応が遅れて、すり抜けられたところ、左隣の仲間によって弾かれてたことで事なきを得た。


 しかし迎撃動作が隙になってしまい、魔族がそこを突いて接近戦を仕掛けてきた。


 流石にそのままでは受け止めきれないので結界で時間を稼ぎつつ、剣を構えて接近戦に備えた。


 腕の数はそのまま手数に繋がる、構えるのと同じくらいで結界が破られた。腕力による攻撃に加え、魔法なんかも折り交えての攻撃だったので抜かれるのは想定の範囲だ。


「危ねえ!」


 私の近くに控えていた冒険者が間に入り、邪気を纏う魔族の下右腕に斬りつけた。それに集団強化魔法に混ぜ込まれた聖気によって邪気の一部が祓われ、魔族の腕を傷つけるに至っていた。でも彼の得物の刀の刃が欠けていた。


「小癪な……」


 魔族もまさか邪気を祓われるとは思ってなかったみたいで驚きに満ちた表情をしていた。そして放置することなくそのまま殴り飛ばしていた。

 それに対して彼は巧く吹き飛ばされ受け身を取ることで事なきを得ていた。


 だけどこの攻防は隙だ。


 逆に私から仕掛け、上左腕に刃を振り下ろした。そのまま下左腕をも斬り落とす軌道だ。


「ぬっ……!」


 スパッ


 振り抜かれたカンナ鋼製の太刀は綺麗に上左腕を斬り落としていた。しかし下腕までは斬り捨てられなかった。躱されたのだ。


 だけどこれで終わらせてはいけない。聖気を放出することで追撃し魔族の顔を焼いた。

 これも躱され、顔の左半分を焼くに留まってしまった。


「はぁっ!」

「くっ……やらせん!」


 さらなる追撃として振り下ろされた太刀を下だから振り上げる形で斬撃を放ったけど魔族が張った結界に防がれてしまった。その上、邪気を成形実体化させて剣を作るなりこちらに斬りつけてくる。


 すぐさま飛び退きつつ魔法で反撃する。牽制にしかならないけど避けにくい『氷散弾』を選択しているので動きを鈍らせることには成功していた。


 牽制をやめて次の攻防に備えたところでアステリアの姿が見えた。


 本来なら彼女は魔族と直接戦闘する予定は無かった。無かったんだけど彼女は魔族に向かっていた。魔物が来ないのなら集中攻撃すると言う選択は正しい、流石元々冒険者だっただけあってその辺の行動は染み付いてるようだった。


 彼女の手には教国から支給された剣は魔族に対して強い性能を発揮する。そこに強化魔法を使い聖気を使うことで最大限強化された上段からの斬撃、しかも完全に不意打ちになった。

 さすがのあの魔族を以てしても防ぎきれず上右腕を半分切られている。


 私も飛び込んで追撃を放とうとしたけれど風魔法で遮られた。その隙にレインへの攻撃を防いだ彼も魔族に寄っていった。


 だけどそれを許すほど魔族も甘くない。


 自爆前提の魔法で2人を吹き飛ばしていた。


 だけど自爆のおかげで視界は晴れない。

 好機!


「もらったぁ!」


 私は土煙のお蔭で気付かれることなく急接近することに成功し、魔族の首を落とすことに成功した。


 風で土煙を払い、状況を確認した。


 魔族は確実に死んでいる。

 私についたAランク冒険者とアステリアは魔族の攻撃を受けており重症だった。


「う、動けねぇ……」


 最初に殴り飛ばされた彼は立てなくなっている。

 爆発でやられたアステリアたちも火傷を負い、打撲傷を負っている。防御系の魔法を使っていた為か欠損はないのが幸いね……。


「今すぐ手当するわ」


 残ったメンバーで3人の応急救護を行う。


 応急救護は時間との戦い、故に早急に行われた。


「これで終わりじゃないわ、動けるかしら?」

「俺はマトモに動けん。なんとか杖があれば歩けるが戦闘はもう無理だ」


 最も重い負傷をした彼はもう無理だろう。


「何とか動けます」


 アステリアたちは動けるようだ。


 これなら魔族が仕掛けたスタンピードの原因を潰すことも可能だね。

 恐らく近くに何かあるはず、探さないとね。



 そしてそれはすぐに見つかった。


 黒い宝玉、それも忌々しい邪気を放つそれは祭壇と思われるナニカに鎮座していた。

 これがスタンピードの原因となった核だと見て良いわね。


「これは?」

「これは暗黒核よ、碌な代物じゃないわ。迷宮なんて場所に設置すればスタンピードにもなりうるよ」

「暗黒核で間違いないな」


 これを破壊すれば今湧いてしまっている魔物はどうにもならない。だけど湧いてくる魔物の数は大幅に減るし、強力な魔物が出にくくなるし、習性も元のものに戻る。


 つまりスタンピードが終わるということだ。


 ただ、コイツは硬いのよね。簡単に壊せない。体力を消耗し、これから戻らないといけない状態でこれを潰すのはちょっとキツイ。


「そんな代物だったのね。私がやるわ。魔族との直接戦闘はしていないから体力も残ってるの」

「ラーシア、やれる?」

「やってみるわ」


 彼女の申し出はありがたいのでこちらは任せることにした。私が頷くのを見て彼女が大輪花を全力で振り下ろした。


 叩き壊す、そんな感じの一撃だった。

 パリンと言う音とともに暗黒核は破壊されこの場の邪気が急速になくなった。


「終わったわね。さぁ戻るよ」


 負傷者は出たものの、迷宮の入口まで何とか退却することに成功した。誰一人死ぬことがなかったのは本当に幸運だったかもしれない。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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