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54話 厄災の終わり(中)

 魔族が操るスタンピード、その中枢、とてもじゃないけど今の臨時パーティーで挑むのは危険でしかない。ガチガチに守備を固めてることくらいは容易に想像がつく。そんなところに突っ込む危険性は理解している。でもここまで来て退くという選択肢はもはや存在しない。


 確かに輝巫女のナミまで連れていけば余程強い魔族でもない限りは完封出来る。その自信はある。

 しかし、それをしてしまうと入口を突破されて挟撃を受ける可能性が排除しきれない。恐らく他の魔族がいない、なんて甘い想定で動くことは許されない。


 戦力不足の状態で無理をして攻略を進めれば犠牲者が出る可能性は高い、それどころか全滅も十分に考えられる。


 そこから全員生還を目指す。


 だからこそ考えなくてはならない。

 勝つ為の方策を……


「アステリア、どこまで聖気を使えるかしら?」

「剣や体に纏わせ強化する程度ならできます。ですがあまり慣れているわけではありません。長時間は保たないとお考えください」


 聖気を使っていなかったのは慣れていないからだったのか……。

 練習はしてても、実戦では不安があるってところだね。


 当に不安要素だけど全く使えないわけじゃないなら短期間でも魔物を抑えてもらうことはできる。

 魔族に強化された魔物は聖気に著しく弱くなるから場合によっては格上相手でも倒してしまえることもある。現にアステリアは聖人院に入る前の実力を取り戻し終えて、以前より強くなってるらしい。


 つまり魔族本体は短時間で倒し切る必要があるってことだ。なので出し惜しみをしたり慎重すぎる攻め方はマズイってわけね。


「アステリアは自信は無いかもしれないけど魔族と遭遇したら惜しむことなく聖気を解放して。レインは集団強化魔法で他の皆を支援、ついで魔法での支援攻撃を頼むわ」

「分かりました」

「あぁ、任せろ」

「魔族は私が監視し続けるわ。恐らく当初は配下の魔物で圧殺しようとするだろうから、先に周りの魔物を潰していくよ。ある程度数を減らしたところで魔族本体を叩くから。皆もそのつもりで居て」


 結局、魔族遭遇後はレインが全般支援、アステリアとBランク冒険者が左翼を、ラーシアと軍から派遣された壮年のベテラン兵で右翼を担当し、レテシアとウィルスの2人が後方からの挟撃対策に配置、残った私とAランク冒険者2人で魔族と直接対峙することになった。


 11階層での方針が定まったところで最後の休憩を終了して10階層に侵入した。この休憩が最後なのは予想を外して10階層に魔族がいる可能性も否定できないからだ。

 魔族の気配の濃さは魔族自身の強さと邪気制御の実力に大きく左右されるからだ。尤も邪気制御がしっかりしてる魔族なんてほぼいないけど……。


 そして10階層に侵入するなり魔族に強化された魔物の猛攻が始まった。


 覚悟はしていたんだけど……これはちょっと洒落にならないわね。


「ちょっとおかしくねぇか?」

「スタンピードの中枢にしたって数が多すぎる」


 ベテランの皆さんも違和感を感じていたらしい。

 私もここまで酷い猛攻は初めて見た。と言うか歴史的なスタンピードだったグランリア大厄災や、今回のスタンピードで街が押し込まれかけたあの時ですらここまで酷くはなかった。


 私の魔法で押し込まれても無理矢理突破してくるなんて普通じゃない。それに即死までいかなくとも瀕死のはずなのに攻撃の手を緩めてこないのは明らかにおかしい。既に大半の魔物はこちらで手を下すことでトドメを刺していた。

 これは魔物の習性を考えても狂ってるとしか言い表せない。何者かに強制されてると見るべきだわ。


 そこから導かれる答えは……


「ここまで丁寧に統率されてるなんてね。魔族はここから近くにいるよ。どうやら10階層にいたらしいわ」

「だろうな!こんなんありえねぇ!」


 幸い魔族の気配はほぼ変わっていない。恐らくほとんど移動していないはず……。


「とりあえず蹴散らすだけ蹴散らすよ!」

「魔族が来たらどうするんだ!」

「まだ来ないから大丈夫よ!」


 余程自信があるのか、自分自身ではやってこないらしい。ここに魔族が来たらそれこそこっちは終わるんだけどね。


 私が大魔法で薙ぎ払い、それでも突破してくる魔物を皆で斬って斬って斬りまくる状態が続く。でも魔物も無尽蔵まではいかない。ここまでの猛攻を維持するのは限界がある。


 その限界は思ったより早く来た。


「数が少なくなってきたわね。このまま押せば……」

「馬鹿野郎!無理に押すな!」

「こっちは敵の鈍化に合わせて早めるなよ!敵の戦術の可能性もある」


 ラーシアはこのままの勢いでやるつもりだったらしい。だけどその答えは間違いだ。


 考えられるのは2つだ。

 1つは単純に敵側の息切れ、2つ目は誘い込みだ。


 後者は本当に洒落にならない。故にこちらは慎重にならなければならない。


「ラーシア!冷静に、慎重になるのよ!敵の攻勢が緩んだからってこっちから無理に仕掛けたら駄目、誘い込みだってあるんだから」

「分かったわ」


 徐々に勢いは弱まっていく。

 そして本来の迷宮より遭遇率が高いくらいまで勢いは弱まった。それでも魔族の位置は変わっていないはず。


 これなら元の各個撃破に移れそうだわ。


「各個撃破は移るわ、あくまでも慎重にね」

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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