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12話 新たなる力‐魔法‐

 お父様に呼び出された後、私は一人で考えを纏めていた。

 どうやら不良王女は(悪い意味で)注目される、急に大人しくなってもどうやら怪しまれてしまうという知りたくもないも事実ではありますが知ってしまった以上はそのままにしておくは出来ない。出奔計画に気づかれてはいけないのだから…。

 私はこの状況を打破するために敢えて少しぶり返すことにした。いい子ちゃん過ぎても駄目ならこうするしか無い。イメージが変え過ぎてはいけないのならこうするしか無い。


 以前の生活をしていては出奔しても出奔自体はやれると思う、でもその後上手くいく保証はない。準備こそ重要と前世で学んでいる。出奔したあとに全うする使命の為、自由の為、私は知識を蓄えねばならない。未来のために…。


 考え込んでいたところに部屋の扉がノックされた。


「殿下、テレジアです。お時間になりましたので入ります」

「どうぞ」


ガチャッ


「失礼します。では授業を始めましょうか」


 来たのは礼儀作法の教師のテレジアだった。

 私は礼儀作法の授業は嫌いだったが己の計画を誤魔化すために甘んじて受けていた。その為かテレジアからの評価は上がっていた。


「本当に立派になられました。貴女は出来る姫なのですから以前のようにはしたない行為はしてはなりませんよ」


 礼儀作法の教師からしたら以前の生活は問題しかない生活である。貴人の振る舞いとはとても言えたものではない。だから彼女は素直に喜んでいるし今の生活が続くことを期待している。

 しかし私はそうするつもりはなかった。私には使命の完遂が求められている。それとは別に個人の感情としても刺激のない生活はつまらないし、何より王女として大人しく生きるつもりは一切ない。王族の贅沢三昧の生活は悪くはないけど自由はない、自由な冒険者として生きた経験のある私には正直生きづらい。

 でもその辛抱も後1年と少し、10歳になれば冒険者登録が出来るようになる。


 授業が終わりテレジアが退室した後、私は剣を取った。少しでも鍛えるに越したことはない。いや、感覚を取り戻しておく必要があった。


ーーーーーーーーーー


 剣の修練を始めてふと気付いた。魔法も上達させれば生活面、戦闘面ともにより良くなると…。

前世の私は魔法は苦手だった。魔法はあくまでも剣の補助という位置づけで少しだけ習得してただけだった。

 魔法を習得するには基本的には理論を学ぶのが一番だと言われてるが勉強に必要となる魔導書は他の書物に比べ高価になりがちであり安い物でもそれなりの金額が必要になる。故に習得難度は非常に高い。

 しかしここは王宮、王族の資産は莫大であり、王宮図書院は国内最大の蔵書数を誇り、魔導書も多く納められている。私にとってはチャンス以外の何物でもない。即刻図書院に向かい魔導書を借りると部屋に篭もり魔法の学習を始めた。


 魔法の習得は魔力の理論を理解し体内にある魔力を感じ取るところから始まる。その点は私は一応少しは使えたこともありそこまでは直ぐに辿り着けた。

 問題はそこからである。術式を理解し構築し魔力を放出して効果を発揮することで初めて魔法を使ったと言えるのである。この術式がまた難物であり、文式や魔法陣などで表すことができるがこれを感覚的に組めるようになるには少し難易度があがる。故に数多の魔法を操り非常に高いレベルで魔法を使いこなす魔道士は高度人材に位置づけられ一定以上の地位につける。

 新魔法の開発もそうである。基本的には新魔法は理論を検証しながら術式を構築して開発される。自身の才能を活かし閃きだけで新しい魔法を創り上げた例は少なく余程の才能があっても超高難易度と言っても過言じゃない。

 つまり学習と研究が魔法の道である。


 私はひたすらに非破壊性魔法の習得に邁進していた、戦闘用の魔法は室内でやるわけにはいかないからだ。更に魔法に慣れることで他の魔法も習得しやすくなる傾向がある。

 戦闘能力向上は最も重要な課題、その中でも魔法は伸び代が大きい上に使えば使うほど魔力量も増えやすくなるのでやるに越したことはなかった。




 魔力拡張理論については使えば使うほど伸びる傾向はあるものの正確なところは判っておらず今も重要な研究テーマとして有名である。




 尚、この世界の人々はまだ知らぬことだがこの世界の原子構成粒子は電子・陽子・中性子・魔子である。この3種類の粒子の組み合わせにより原子が作られ様々な物質が出来ている。当たり前だが魔子を持たない原子は当然存在するミスリル等の魔法金属を含む魔法素材は魔子を持つ元素を含む素材である。お気づきかと思うが魔子と魔力は密接な繋がりがある。そして魔子は千変万化であり適切な負荷を与えれば粒子変異も起こす。つまりこの世界に置いて魔法学は一種の「理科学」である。




 話を戻そう、アリシアが手にした本は文字通り生活に便利な魔法である。この時代においてはそんなもん道 具やら他のもんで代用しろと言うのが通説で魔力は戦闘やもっと特殊な用途に使えと言われてる地味なものだ。例を上げると小さ過ぎず大き過ぎず使い勝手の良い火種となる炎魔法や真水を出す魔法(原理は粒子変異)、物質を冷やす魔法などである。


 アリシアは満足がいくまでひたすらに練習しそれらを一つ一つ己の糧にすると同時に魔法に対する理解を深めていった。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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