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11話 王女の在り方

 国王との会談の翌朝、儂はジャンの囚えられてる牢獄に赴いた。


「お前はもう絶縁だ」

「何故ですか!?私は貴族としての必要な素養をグレンにつけさせようとしただけです!」


 やはり視野が狭い、この愚か者はどうにもならん。


「お前は何も分かっておらぬ、国王は非常にお怒りであったぞ!お前の死刑は確定しておる。この恥晒しめ!」

「馬鹿な…それならばグレンの方が不味いです!あのグレンをそのまま陛下のもとに連れていけばそれこそ問題に…」

「グレンはお咎め無しになった。陛下も問題視しておらずグレンをワシに養子にするように言われておる。貴様の勅命妨害の方がよっぽど問題だ」

「なっ!」


 自分が間違ってるなんて思ってもいなかったのだろう、ジャンは的はずれな反論してきた。


「しかし私が謹慎となれば宰相に迷惑がかかる。それを陛下は良しとするのでしょうか?国そのが混乱しかねません!」

「それについては既に陛下が動いてらっしゃる。気にすることはない」

「そんな…」


 絶望したジャンを見て儂は牢獄をさった。


 この期に及んでまだ愚かな事を抜かすとは思ってもいなかった。己が自由だったからと、息子たちには少し自由にさせすぎたか、そのツケが回ってきてしまったな…。


ーーーーーーーーーーーーーーー


 王宮ではアリシアが父に呼び出されていた。


 何故?

 何しろここ最近は派手に動き回らずお姫様らしくしていたからお説教は無いはず…。


 そう思いつつもお父様の執務室に入室した。

 父は執務中で手を離せない。

 お父様の意を受けた侍従に案内されソファーに座った私は疑問を素直にぶつけた


「今、この時期に私が呼び出されたのは何故でしょうか?あまり要件が見えてこないのですが…」

「それは陛下に直接お願いします。ただ陛下は最近少し頭を悩ませられてるようです」


 あれ?悩ませるようなことしたっけ…?若しくは問題が発生して巻き込まれた感じ?どちらにしても厄介なことになってる…。



 実はアリシアは大人しくしてたから特に困らせてないと考えていたが国王の悩みの1つはアリシアの突発的な行動だった。面識も接点も無いはずの子爵クラスの下級貴族に会ってみたいと王女が言い出す事自体がイレギュラーと言わざるおえない。降嫁するとしても伯爵家以上しかありえないからこそ意味不明の行動と考えられたのだ。

 魔物の発生数増加、マフィアによる大規模犯罪の増加、悪事に手を染める貴族等、国内の統治上の問題も複数起きてはいたが、あくまでも小さいものを含めればよくある類の話であり、突発的な大問題は少なかった。

 残念ながらアリシアは気付けなかったが…。



「さて、昨日のことを聞かせてもらおうか」


 執務にキリをつけたお父様の最初の言葉がこれである。「お前何考えてんだ?」と言わんばかりの態度である。

 私はお父様の様子を見て何が起きてるか戸惑っていた。

 察することのできなかった私を見てお父様は溜息をつくと聞きたいことをダイレクトにぶつけた。


「図書院でドリビア子爵の孫と会っていたそうだな」

「グレンの件ですか…。偶然鉢合わせて雑談をしていただけですが…」

「内容は?」

「ドリビア子爵家に興味があったのでそのことを話題にしました」

「面識のないドリビア子爵本人との会見を望んだと聞いているが」

「確かに大英雄たるフリード卿に会ってみたいと言う話もしました。あれは大厄災の話を聞きたかったからです」


そんなおかしいことしてたっけ?

他の貴族と会うくらいは問題ないでしょ。


「解せぬな、何を企んでいる?お前のことだ、余計なことを考えてなかろうな?」

「子爵家を遇しても特に利は無いかと思います。権力を握りたいなら大貴族と取引すべきだと思います。ただ単純に興味があっただけです」

「事情は理解した。何故興味をもったかは問わないでおこう。が、今回の件は要らぬ噂をたてかねん。以後気をつけるようにせよ」


 余計な取引をするつもりはないとお父様が判断してくれればそれで良い。フリードとは必ず関係を持っておきたい。かつての戦友であり、信頼できる貴族なのだから。


「分かりました」

「それと子爵本人との会見はこちらで判断する」

「やはり私から接触は避けた方が良いでしょうか?」

「当たり前だ。今日のところはここまでとしよう、くれぐれも問題を起こしてくれるなよ」



 私はお父様から釘を差され執務室を退室した。

 まさかグレンとの雑談がここまで大きな影響を及ぼす可能性は理解していなかった。流石に想定外と言わざるおえない。仕方ないので目立たないようにする方策を中心に出奔計画を練り直すことにした。


ーーーーーーーーーー


 一方の国王は裏がないことに安堵していた。

 アリシアは暴れ馬が如き姫と言うイメージが捨てきれないからである。少なくとも今回は余計なことを企んでるわけではなく、王侯貴族らしい興味に基づいて動いてるだけと考えられた為、余程のことがない限り余計な事件は起きにくいだろうと国王は判断した。

国王の業務は多忙なのだ。余計な仕事を発生させないに限る。

 結局情報不足によりこの件に関する対応はアリシアの監視の手を増やしドリビア子爵とフラジミア公爵と情報共有するだけに留めることにしたのだった。

★今後の投稿予定について

投稿時間の都合もあるとは思いますが休日についてはあまり多くの方に読んでいただけて無い都合もあり土日祝日は基本休載とすることにしました。ご理解の程をお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
国王様はアリシアのことを愛するあまり心配性なのかな〜。 など、深読みしておりました(笑
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