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第7話 その断罪は誰のため?

 

「マリーン・アトランテ!!!」



 そして、後夜祭当日――



「貴様のピスカへの悪行の数々、もはや我慢ならん!」

「学園の生徒が集まるこの場であなたの卑劣な行いを断罪します」



 ――突然、ヴァルト殿下達が壇上を占拠してお嬢様へ暴言をぶつけてきたのです。



 ヴァルト殿下はピスカ・シーホワイトと並び、お嬢様の前に側近達とレッド・ブラックシーが立ちはだかりました。



「か弱き女性を権力に物を言わせて(なぶ)るなど、まったく見下げ果てた人です」

「レ、レッド様?」



 汚物でも見るようなレッド・ブラックシーにお嬢様は信じられないとふるふると首を横に振っておられます。


 お顔をあんなに真っ青にされて……お可哀想に。


 だから、あんなクソ野郎はお嬢様に相応しくないと申し上げましたのに。



「わ、私にはまったく身に覚えがありません」

「何を白々しい!」

「この奸婦めが!」

「貴様がピスカへ行った非道は皆もう知っているのだぞ!」

「マリーン君、もう言い逃れはできませんよ」



 勝ち誇った顔の男達が寄ってたかってお嬢様一人を(なぶ)るように責め立てる。


 お可哀想に……お嬢様は怯えて顔を青くされておられます。


 ああ、このシーナが今すぐお傍へ参ります……って人集りが邪魔で前に進めません!


 あなた達どきなさい!



「みんな止めて!」

「「「ピスカ?」」」



 突然、ピスカ・シーホワイトがお嬢様の前に躍り出て祈るようなポーズで訴え始めました。



「わたしはただマリーン様に謝っていただければそれでいいの」

「ああ、君はなんて心が清らかなんだ」

「まさに聖女のようだ」

「貴様のような毒婦とは大違いだな」

「さあ、己の罪を恥じるならピスカに謝罪し許しを請え」



 私が人波をかき分けるのに苦戦している間に事態が進んじゃってますよ!


 ぐお!

 は、早くお嬢様の元へ馳せ参じねば!



「謝るも何も、私がいったい何をしたとおっしゃっるのです」

「この期に及んで往生際の悪い!」

「貴様は本当に面の皮が厚い最低の女だな」

「いいだろう、我らが貴様の罪状を教えてやる」



 彼らはお嬢様がピスカ・シーホワイトに行った虐めを朗々と語り出しましたが……


 潜入した時に聞いた教科書や制服の被害に始まり陰口だとか、除け者にしただとか、身分が低いとバカにしただとか、果ては階段から突き落としたなどと言い掛かりばかり。


 お嬢様がそのような振る舞いをするわけないでしょうに。


 証拠も無しにシーホワイト嬢の証言だけで糾弾するなど愚の骨頂。



「これで分かっただろう!」

「本当に私には身に覚えがありません」



 当然、そんな真似をするはずもないお嬢様は否定されました。



「まだ認めないか悪女め!」

「もはや言葉で諭すだけでは無理なようだな」

「きゃあ!」



 しかし、逆上した男達が事もあろうにお嬢様を両側から取り押さえる暴挙に出たのです。



「さあ、頭を下げてピスカに謝罪するんだ!」



 さらに、こいつらは力尽くでお嬢様を跪かせると乱暴に頭を掴んでねじ伏せようとしました。



「ちょぉっと待ったぁ!!!」



 ひぃふぅひぃふぅ……

 や、やっと肉の壁から抜け出せました。



「私のお嬢様への乱暴狼藉許すまじ!」



 私は壇上へと駆け上がるとお嬢様へ乱暴を働く不届き者どもに躍りかかりました。



「とうッ!!」

「ぐわっ!?」



 私の飛び両足蹴りフライング・ドロップキックが炸裂!


 男達を吹き飛ばし床に倒れるお嬢様を抱き起こすと、私を見たお嬢様は目を丸くされて驚かれました。



「えっ、もしかしてシーナ!?」

「はい、お嬢様のシーナでございます。遅くなって申し訳ございません」

「なんで男装をしてるの?」



 まあ似合ってるけどと呟くお嬢様……そんなに褒めないでください。えっ? 褒めてない?



「なんだ貴様は!」

「邪魔立てするとただでは済まさんぞ」



 私がお嬢様を助け起こしている最中に襲いくる2人の屈強な男。



「てやっ!」

「チェスト!」



 確か殿下の側近で騎士を目指している奴らでしたね。


 私を挟んで左右から殴りかかってきました。



「ふっ、笑止!」

「どわっ!」「ぎゃっ!」



 ですが、易々と投げ飛ばしてやりましたよ。


 これが騎士科のレベル?

 殿下の側近なんですよね?

 レベルが低すぎませんか?



「この程度の技量でお嬢様の専属侍女たる私に挑むとは片腹痛し!」

「なんだと!」



 私の挑発にいきり立ったレッド・ブラックシーと側近の男が1人前に出てくると呪文を唱え始めました。



「こ、この!」

「これでも喰らえ!」



 呪文の完成と共に宙に火球と氷柱が生じる。騎士科の生徒を瞬殺した私相手に肉弾戦は不利と見て、魔法戦に切り替えたのでしょう。



「ふんッ! ぬるいわッ!!」



 ですが、話になりません。

 飛んで来た氷を回し蹴りで砕き、拳を振るって炎を霧散させてやりました。



「バ、バカな!?」

「素手で魔法を撃ち破っただと!?」



 こんな児戯で驚かないでください。



「アトランテ家は武闘派ですので家人は一騎当千。お嬢様の専属侍女ともなれば万夫不当が必然です」

「ええい! アトランテ家の侍女は化け物か!?」

「これだけの攻撃でも! 魔王か貴様は!?」



 レディに向かって失礼ですね。

 アトランテ家には私程度の実力者ならごろごろと……はさすがにいませんね。



「個々で戦ってはダメだ」

「みんなの力と友情を合わせて悪を打倒するんだ!」

「「「おう!」」」



 この青びょうたんどもがッかかって来いや!

 私はいつ何時、誰の挑戦でも受けてたぁつ!


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[良い点] 急に始まるジャンル違いw
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