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第10話 その反撃は誰のため?


 殿下の何とも意味深な告白。

 ニヤニヤが止まりませんよ。

 

 逆に殿下からお前なんか好きじゃねぇ表明されてしまったピスカ・シーホワイトはショックに口をパクパクさせております。


 そんなに気を落とす必要はありませんよ。あなた如きが私のお嬢様と張り合おうと言うのがそもそもの間違い。アリがゾウに挑むよりも無謀じゃないんですかね?



「ま、待ってください」

「殿下がピスカを愛していないのは分かりましたが……」

「だからと言ってなぜ我々を拘束するのですか?」

「そうです」

「殿下がピスカを好きでなかったとしても我々を拘束する理由になりません」

「こんなのは不当です!」



 ぎゃーぎゃー文句を垂れる側近達を呆れた目で見る殿下はため息を一つ。まあ、こんな愚か者どもを相手にするのは疲れますよね。



「お前ら本気で言っているのか?」



 頭痛でもするのか頭を抱えながら殿下は「こんなのでも段取りを踏まなきゃ更迭できんとはな」と何やらブツブツ呟いておられます。



「なら教えてやる。貴様らを拘束したのは明らかな犯罪行為があったからだ」



 そうですとも。

 お嬢様への無礼の数々、万死に値します!



「わ、我らが何の罪を犯したと言うのです?」

「私達はただピスカを助けようと決起しただけです」

「そうです。我らはの行いは正義のはず」



 こいつらホントにシバいたろか?


 ちょっと殺気だったらお嬢様に裾を掴まれ「止めなさい」と待ったをかけられてしまいました。シーナはお嬢様の忠実で有能な犬ですので、ちゃんと「待て」はできますよ。


 それで何時まで待てばいいのでしょう?


 ゴーサインさえ出ればすぐこいつらを抹殺いたしますよ。

 何でそんな疲れたようなため息を吐かれるのですお嬢様?



「そう思っているのは貴様らだけだ」

「そ、そんな事は……」

「みな賛同しているはず」



 周りを見てみろと殿下に言われて周囲に目を向けた側近達がぎょっとしました。彼らはこの時になって初めて他の生徒達から白い目で見られているのに気がついたようです。



「無実の貴族令嬢を多数で囲んで糾弾するのが正義だと本気で思っていたのか?」

「しかし、そもそもはマリーン・アトランテががピスカに非道を働いたからで……」

「弱きを助け強きを挫く事こそ正義の行いのはず」



 そもそもピスカ・シーホワイトが弱きと考える辺りが既に間違いのような気もしますが。



「だが、マリーンがピスカ・シーホワイトを害した証拠は何も無いよな?」

「信じてください! 私は本当にイジメられていたんです」

「ほら、ピスカも証言しているではありませんか」

「ピスカはいつも泣いていたんです」



 被害者と主張する者の証言だけで有罪にできるのなら、世の中犯罪者だらけになっちゃうでしょうが。



「そちらの証言だけで一方的に糾弾をするのか?」

「ですが、ピスカが虐めを受けていたのですから問い質して何が悪いのです」

「マリーンはきちんと虐めの関与を否定しただろう」

「そんなのウソに決まっています!」



 こいつら私のお嬢様に向かって嘘つき呼ばわりとか!


 命が惜しくないと見える。今すぐこの私が――ぐえっ! お嬢様、私の後ろ襟を掴まないでください。首が締まって苦しいです。



「では、シーホワイトの証言が正しく、マリーンの証言が嘘だという確かな証拠があるのか?」

「ありますとも!」

「これ以上ない証拠が!」



 えっ!?

 あるんですか?



「ピスカはとても純真で清らかな聖女のような女性です!」

「嘘をつくはずがありません!」

「逆にマリーンは卑劣で血も涙もない悪女!」

「嘘つきにきまっています!」



 バカですか!

 それのどこが確たる証拠ですか!



「話にならんな」



 殿下の目が氷点下を通り越して絶対零度まで冷たくなっておりますよ。



「貴様ら節穴どもの主観など何の証拠にもならん」

「殿下、ピスカは絶対に嘘をつきません」

「マリーンは間違いなく極悪非道な女です」

「なるほど、お前達の言い分は良く分かった」



 おお、分かっていただけましたかと喜ぶ側近達ですが、殿下がゴミクズでも見るような目であなた達を見ているのに気づかないんですか?


 さぁて、ここからお嬢様に無体を働いた愚か者どものへの制裁がスタートですよ!


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