遅刻はしたくない、だって怒られるから
ピピピピ……
目覚まし時計が鳴る音が部屋中に響き渡る。
もう少し寝たい……時間を見るとまだ20分は余裕がある。まだ寝てても良いよね?
ピピピピ!ピピピピ!
音がうるさいがこれで目覚まし時計のボタンを押すと音が鳴らなくなり寝坊するかもしれないしこのまま寝る事にする。
それに……
これで押してしまうとなんか敗北感がすごいからね。
まぁ今のうちに俺のプロフィールを紹介しよう。
俺の名前は如月 桜
桜という名前だが一応男
好きなものは休みと近道
嫌いなものは不都合と無駄な作業
他には……いまはこのくらいにしておこう
ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…
目覚まし時計が鳴り響く。
ピピピピ!ハヨオキロ!ピピピピ!
今……目覚まし時計喋った?
ピピピピ!シャベテナイヨ!ピピピピ!
絶対喋った!
とりあえず目覚まし時計を止めて起きる。
炊飯器からご飯を出してお椀に入れる
そしてそのご飯にしそ昆布をのっけて食べた。
そしてバッグを持って家を出た。
ちなみに俺は一人暮らしだ。
カラスが群がるゴミ捨て場、ホームレスの集まる公園、夏なのにあったかいしかない自販機
いつもの登校する道だ。
自販機はそろそろ品替えをしたほうが良い気がする。
そして学校に着き、教室に入る。
誰も居ない!一番乗りだ!やったぜ!とガッツポーズをしようとしたが教壇の裏に誰かいる事に気づきガッツポーズはしなかった。
「なにやってんだ智?」
教壇の裏にいる人物……神奈月智に問いかける
「気付いたか〜桜のガッツポーズ見たかったのに〜」
「智、また心読んだな?」
「そっちこそまた察知したね?」
そう、智は人の心を読むことができる。
ある日からいろんな人が軽い能力を得た。智や俺もその一人、
周りから気味悪がられるという共通の境遇で仲良くなった。
智は普段は能力を使わないが俺になら使って良いと言ってある。
ちなみに俺の能力は「察知」コウモリが超音波を発して状況を把握するように状況を把握できる
わかりやすいように言うと真っ白なジオラマを外から見てる感じだ
教壇の後ろに謎の物体があったから当てずっぽうで言ったら当たったわけだ
「俺が下駄箱見たときにお前の靴は無かったけどな……」
「君の知らない教室の近道があるんだよ」
「教えてくれ!!」
「おぉ……食い気味……まだ時間あるし教えてあげるよ」
「なるほど、この道を通れば早く着くのか……」
「1番早く着くのは無駄な作業じゃないの?」
「俺にとってはRTAをやってるのと同じだ」
「そ……そうなんだ」
「智は宿題をちゃんとやったのか?」
「あ……そのために速く学校に来たんだった」
「俺が教えてやろう」
「やった!桜大好き!」
うわっ、気持ち悪!
「ひどいね!」
「心読んだな。」
話しながら教室に入ると一人の女子がいた。
「やぁ、今日は私より遅くなるなんて珍しいじゃん」
うわっこいつかよ……
「思ってる事暴露していい?」
「したらさっきの約束なしな?」
「絶対しません」
「どうしたんだ?皐月、遅刻まで後40分はあるぞ」
彼女の名前は水門皐月
遅刻の常習犯だ。
「遅刻の常習犯に負けててどんな気持ち?」
「ロッカー見てみろ」
「え?ロッカー……もう準備が終わってる!?」
何も考えず煽る癖がある。
「なんでよぉ、なんでもう来てるのよぉ」
少し涙を流しながら喚く皐月をスルーして智に宿題の解き方を教える。
「なんで皐月が泣き喚いて二人はそれをスルーしてるんだ?」
そう言い入ってきたのは文月 綾
こいつも名前から勘違いされやすいが男性だ。
綾と皐月も能力を持っていてこの学年で4人だけの能力者だ、周りからはチーム悪趣味と呼ばれている
誰だそんなダサいネーミングセンスを持ってる奴は
「皐月が墓穴をドリルで掘った」
「つまり皐月が何も確認せずに煽ったと」
何故か綾と智は意思疎通ができている。
そしてそのあと特筆すべき点が皆無の授業を受け放課後になった。
今日は午前授業だったからお昼はどっかで食べよう。そう思い皐月に聞かれないように綾と智に伝える作戦が始まった。
まず智にメールを送る
『皐月ハブって昼飯食べに行こうぜ』
『なんで皐月をハブる?』
『明日の皐月の顔が楽しみだから』
『良いねぇ』
そしてラインで作戦を伝える。
そして俺は皐月に話しかける。その間に智は綾に概要を伝えてもらう
「皐月〜ちょっと用があるけどいいか?」
「いいよ〜」
「昼飯前に運動がてらそこの公園で鬼ごっこしようぜ」
「わかった」
「じゃあじゃんけんで決めよう、智、綾、ちょっと来てー」
そして4人で公園に集まりじゃんけんをする。念のために言うが俺たちは高校生だ。
結果は皐月の一人勝ち、
「じゃあ皐月鬼ね、」
「なんで!私勝ったじゃん!」
「だって一人負け残るまでやったら時間かかるし鬼の方が強そうだろ?」
「確かに……」
皐月はチョロかった。