歴史秘話 男女の友情は存在した!
お題くれ~とTwitterでかまってちゃんをしたら、優しい相互フォロワーさんが下記の設定を考えてくれました。
「天才的な才能を持つ人がもれなく同性愛者もしくは無性愛者」
頂いたお題をいかに予想外のものにするかに命を懸けています( ー`дー´)キリッ
「なあ、なんで人って決めつけてくるんだろうな」
突然年上の友人が質問を投げかけてきた。性別も年齢も違うというのに、ずいぶん長い付き合いになった。
「どうしたの?以前作ったダビデ像が神話通りの美少年じゃなく、筋骨隆々の成人男性にして噂されまくっている件の事?個人的な嗜好を出しすぎだって」
とりあえず思いついたことを言ってみる。この友人が作る絵画や彫刻の登場人物が逞しすぎるのは今に始まったことではないけど。24歳の時に作ったっていうピエタ像を初めて見たときは驚いたわ。ふつう磔になったキリストにあんなに筋肉つけないわよね。かよわいマリア様になんてもの持ち上げさせるのよ。
「ちげえよ!いや芸術家ってやってると色眼鏡で見られるんだよ。勤勉なのはおかしいとか、浮名を流しているはずだとか」
「そういえばレオナルド・ダビンチ先生は若いころ自宅に10歳の美少年囲ってたわよね」
友人とよくライバル視されている芸術家を思い出す。
「まあ、芸術家以前に大の男が10代の時の初恋に敗れた思い出引きずっているとは普通は思わないわよね。ましてやそれが原因で恋人作れないだとか。たしかハンサムじゃないからって振られたのよね。同じ村の女の子に」
「だから、そういうのが嫌だって言ってんだろ!」
おおっ怒っている怒っている。本当に短気な友人よね。そしてこれほど怒らせると面白い人もなかなかいない。
「いっそうの事公表しちゃえばいいじゃない。『僕は屈強で逞しい男が好きなわけではありません。男娼の娼館に通い詰めているのも、モデルを探しているだけです。もし僕がこの姿だったら、初恋の彼女も僕を好きになってくれたかも、という理想を創っているだけです』って」
「そんな馬鹿なこと言えるわけねえだろ!ああ、いっそうのこと、恋愛みたいな世俗じみた事には興味ないって事にしておけば良かった。俺は芸術に人生を捧げているんですって」
とうとう友人が寝言を言い出した。
「そんな聖人みたいな台詞、ラファエロ様ぐらい浮世離れしたハンサムじゃなければ世間は納得しないわよ」
いちおう忠告はしておく。友人が自ら言ったように、赤の他人は見た目で判断するのよ。
「ちきしょー!!ラファエロの若造といい。レオナルドのジジイといい、どうして美形ばっかりなんだよ。俺みたいな不細工は肩身が狭いんだよ!!」
興奮している友人を肴にお茶を飲む。結構面白い。
「いいじゃない、勝手に言わせておけば。あなたが美形でないのは事実なんだから」
「ああってめえ喧嘩売ってんのか!!」
地を這うような声だ。本当に頭に血が上りやすい。
「世間にくだらないことを言われたっていいじゃない。あなたの顔が厳ついのも、性格が荒っぽいのも、恋している相手も500年も経てばほとんどの人は知ろうともしないわ。でも、これだけは事実。あなたが創る絵画や彫刻、あなたが生涯をかけて生み出した芸術は残るわ!」
【ヴィットリア・コロンナ】 1492~1547年没 イタリア
ルネサンスの詩人。ダビデ像で有名なミケランジェロ・ディ・ブオナローティ・シモーニとは生涯にわたり友情関係を続けていた。
ミケランジェロの作品には彼女のアドバイスにインスピレーションを受けた創作物も多い。
しかし、ミケランジェロの同性愛説を嫌う歴史家たちからは、ミケランジェロに近い唯一の女性として恋人として記されてきた。
近年、両名には恋愛感情はなく純粋に友人だったことが研究の結果、証明され始めている。
Twitterは創作アカウントではなく、ただの雑多垢ですがフォロワーさん結構かまってくれます。
優しいです。
誤字脱字報告ありがたいです。
史実に詳しい方、ツッコミお待ちしています。(こっそり直します)
感想と星もお待ちしています。
それでは次作でお会いできるのを楽しみにしています。