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IX:時代を超えた魂

お久しぶりじゃないです←

蒼空悠雅です。

いきなり方向性が変わりすぎた駄文小説である、

不思議な執事さんを読んで頂き有難う御座います!

今回も大分、方向が間違っております……

「君臨者紅血与交力、紅赤」


 紅の光は絶える事を知らず、どんどん輝きを増していく。ついにはあたり一面が紅の色しかない程に。


「何これ……?」


 ノエルとアランは何が起こっているのか分からず、ただ呆然と目を瞑って立ち尽くすばかりだった。まだ一瞬たりとも目を開けられない。開けてしまったら目がおかしくなりそうだったからだ。


「悠璃様……」


 前でヘタレながらもノエルを庇おうとしていたリオはポツリと呟いた。不安と期待が入り混じった声で光の源に向かって。


「どうなってんだ?」


「ゆ、悠璃?」


 ノエルは目を細くして開けてみた。相変わらず陽光を直接見るより眩しい光が放たれている。そして紅の光源に、黒い服の人影があった。それは段々ノエル達に近づいてくる。


「バ、“バトラー”……」


 相変わらず化け物のようなウィルがそう呟いた。それからニィと口端を上げて笑う。


「リオ、ノエル様達を御守りして!」


 紅の光源にいる人影はそう叫んだ。それは確かに悠璃の声。


 次の瞬間、ウィルは視線を元に戻して三人の元へ走ってくる。凄い形相で。目玉の向いている方向が明らかにおかしい。右目は右を、左目は左を向いている。


我身がしん宿攻力しゅっこうりょく、紅赤」


 悠璃は高々と声を張り上げた。同時に悠璃は自らの指を噛んで血を出した。その血が集結して長い紐状になっていく。


血紐放ちじゅうほう、紅赤」


 悠璃を取り巻いた長い紐状の血は悠璃の言葉と同時に凄い勢いで背中を向けるウィルを目指す。

 

 紐状の血は先端部分を変形して、鋭い槍のようになる。それが何本にも分裂して伸びていく。


 それがウィルに突き刺さると、今度はウィルの濁った赤い液体がノエルの前に飛び散った。


 ジュゥッ


 ウィルの肉体が蒸発していく。紅の液体だけを大量に残して。


 骨すらも蒸発した頃に眩しかった紅の光は消え、悠璃が三人の方へ歩いてくる。


「ウィルはどうなっちまってたんだ?」


 執事がいない……おかしくなって殺された。アランは悠璃を問い詰める。悠璃が殺した。証拠としてあるのは生々しい紅赤色の血。


「悠璃……」


「聞いたことありませんか?」


 突然、険しかった表情を和らげ、おどけたように悠璃は口を開く。


「地球が一度、滅びた伝説を」


 五百年前の二十一世紀。その世紀末に地球は滅びた。説はいろいろある。行き過ぎた戦争……核戦争によるもの。金星に降るという大量の硫酸雨が降ったとか、巨大な隕石が沢山落ちて来たとか……。それがノエルに教えられた説だった。


「違うのです。全てはとある争奪戦から始まった悲劇」


 悠璃はまるで昔を思い出すかのように遠くを見つめて言った。


「争奪戦?」


「そうです。奪い合っていたのは一つの魂を持った人間です。それをとある組織が悪用するために狙っていました」


 あまりファンタジーな物語を信じてこなかったノエルやアランには少々突飛すぎる話だった。しかしたった今、ここで“有り得ない体験”をしてしまっている。


「その魂は神と同等の力を持つと言われていました。それが彼等の手に渡り悪用されてしまうと再び地球が滅ぶかもしれない……いえ、宇宙全体が滅ぶと言っても過言ではないでしょう」


「ちょっ……まさか、その魂って……」


 ノエルは慌てて一歩後ろへ下がる。


「お察しがお早くてなにより。そうです、貴方はその魂の生まれ変わりなのです」





 時を遡る事、五百年前の二十一世紀末。


 アメリカの田舎町にその魂を持った娘が暮らしていた。


 その名はアシュレイ。


 娘は読心術を心得、人々の心のケアを生業としていた。


 彼女には何もかも全てが見えていたのだった。


 彼女の周りには必ず彼女を守る男女十人がいた。


 危険な生活をしながら、十一人は楽しく幸せに暮らしていたが……


 組織は魂を手に入れる為には手段を選ばなかった。


 ついには世界規模の核戦争を巻き起こし、地球は滅んでしまう。


 一部の地域では組織より硫酸雨を降らされ、大被害に。


 彼女は自分の魂の力でせめて周りにいる人達だけでもと守った。


 肉体は力に耐え切れず死に、魂は再び転生してしまった。



 そして五百年の時を超えて現在、二十六世紀にその魂は再び生まれてしまう。



「それがノエル様、貴方です」


 長い昔話を終わらせた悠璃は、ノエルに笑いかける。当のノエルは苦笑い。それもそのはず。自分の魂が存在すると地球が滅びる危険性があると言われたから。


「その十人って……」


「俺やリオがそうです」


 ということは、二人は不老不死……いや、過去から来たとか……。というのが今のノエルの思考である。


「どれも違います。正解は俺等も生まれ変わった、です」


 またしても読心術によって次代王の心は悉く読まれてしまう。


「俺達は未来に転生してしまった貴方の魂を守るために各々で自害し、貴方と共に生まれ変わったのです」


「しかし……生まれた年は皆違います、です。前世のき、記憶を取り戻すのにも……時間が掛かりました」


 最初と比べると大分、喋り方が落ち着いてきたリオがもったいぶるように言った。


「その上すぐに魂を見つけるのは至難の業なのです。まさか次期国王だとは思いませんでしたよ。前世が前世なんで……」


 悠璃の言葉にリオは悲しみのような嬉しさのような何だか良く分からない笑みを漏らす。


「あのさ、お前等の話って非現実的……なんだよな?」


「……そうですね。世間一般では有り得ないことですから」


 やはり、ファンタジー小説や漫画を読んでおくべきだ。ノエルはそう確信した。昔から教育上、漫画やアニメ、ライトノベル小説を禁止されていたノエルには今更ファンタジーと言われても想像つかない。


「そんで、ウィルはどうしたっつんだ!?」


 アランは悠璃の肩を掴んだ。そしてガクガクと揺する。アランがいつも纏っている陽気なオーラは消えている。


「ウィルは……組織によって生まれつき遺伝子を改造されていたか、もしくは組織によって作られた薬を飲まされていたか……だな」


 遺伝子を改造……遺伝子の仕組みなんかはノエルでも知識として頭に入っているが、改造なんていう恐ろしい発想ない。言われても分からない。植物のように遺伝子組み換えのようなものだろう、としか考えられない。


「そんな……」


 アランは信じられないという表情をして座り込む。


 無理もない。いつも一緒にいる存在がおかしくなっただけではなく、蒸発してしまったのだから。


「ノエル様の魂が組織に渡ればもっと地獄絵図を見ることになります。お願いです。俺達に貴方を守らせてください!」


 美少女のような美少年は不安そうな顔をしてノエルの手を取る。その手は小さく冷えていた。ノエルの手が痛いほど握り締められる。必死さがノエルに伝わってきた。それだけで今、彼等が話したことは現実なのだと思わされる。


 強く握られた手から伝わるのは「覚悟」と「誓い」と「忠誠」。ノエルを守るためならば命を捨てても構わない、一生ノエルの魂を守ると誓う、魂がいつどこへ行っても側にいる。


 だが、ノエルにとってそんな事はどうでもいい。彼等は“ノエルの”執事だ。今更、守らせてくださいと言われても遅い。もうそれが当たり前。


「んじゃ、まずはここ片付けてから国政改善しますか!」


 ノエルは悠璃に手を握られたまま背伸びをして、後ろにいるアランを見た。


 片付けと言うのはこの血だらけの道路のことである。明らかに血の量が致死量を上回っているため完璧に人がここで殺されたとバレてしまう。


「ノ、ノエル様?」


「んー? 言っとくけど、執事いないと困るの俺だからー」


 確かにノエルは執事がいないと自由がもらえない。いつも執事を強請るのは自由になるための口実でしかない。それから守ってもらわないと地球の危機でもある。

 それと……何だか良く分からない気持ちがある。今までの執事には決してなかった気持ち……。


「ほら! 悠璃! ちゃんと数、数えてきた?」


 ノエルは視線を悠璃に戻して腕を組む。


「あ、はい……八十二です」


 八十二を示すカウンターをポケットから取り出してノエルに渡す。


「おー! 何気にその程度か……」


 ノエルはそのカウンターを握り締めて歩き出した。


「あ、待てよ!」


 アランは慌てて友の背中を追い、その後を見守りながら悠璃とリオも走り出す。





「お兄ちゃん、まーた“イーヴァ”に守護者しつじが……」


 暗い暗い、夜の深海のような場所で声だけが辺りに響く。声だけではそれが女の子、ということしか分からない。


「大丈夫だよ。イザベラ。我々はもう……“イーヴァ”の魂を手に入れられればいいんだからね」


 それに答える若い青年の声。自信に満ちた声。


「程なくして組織は魂を手に入れるだろう……」


 少女と青年……その奥に二人とは全然違う年季の入った男性の声がする。


“魂を壊す……それが世界のためである”



ふふふふふ……(キモイ

方向性が……!! 悠璃どうしたっ!? って感じですよね?


ではでは(逃

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