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XVII:攫われた者

何かいろいろ間違えてる気がします。

これもまた眠気と葛藤しながら書いたので、

集中力が……


では(逃

「ノエル様? リオ?」


 所用を済ませ、悠璃は二時限目が始まる前に教室へ帰った。

 しかし、教室に主の姿と小さな執事の姿はない。

 鞄は机に置いてあるが、見当たらない。クラスの生徒に聞いても皆同様に首を横に振る。

 悠璃はシリル逹にも聞こうと教室を出た。


「きゃぁ!」


 第四保健室を通りすぎようとした時、中から保健教諭の悲鳴が轟いた。

 悠璃は同時に保健室から異様な力の跡を感じ、慌てて保健室へ駆け込む。

 保健室へ入った悠璃は愕然とした。

 飛び散った赤黒い体液の直ぐ側には女生徒が虫の息で倒れていて、それに向かい合うようにしてリオがうつ伏せで倒れていた。

 リオの回りの床には血溜まりが出来ている。背中には突き立てるように短剣が刺さっていた。

 悠璃は慌ててリオを抱き起こすが、女生徒同様、虫の息である。

 小さな十二歳の身体は悠璃にぐったりと寄りかかり、ぴくりとも動かない。

――……術を酷使し過ぎたな。

 周りを見回して悠璃は思った。まず、主人を守るために結界を使用したことは間違いない。

 次に攻撃術である紅弾か紅槍、雷紅らいこう……その中で三回くらい……使用した形跡がある。 女生徒には腹の辺りで弾けた跡がある。


「(つまりは紅弾か……)」


 結界はそこまででもないが、攻撃術は術者の精神力と体力を容赦なく削ぐ。場合によっては命すらも奪い取る。

 早くしなければ……リオが危ない。



「ん……」


 ノエルは暗く深い闇の中で目を覚ました。

 深く冷たく、何故か絶望感が沸き上がる暗い闇。


「いてっ!」


 上半身を起こしたノエルは全身を走る激しい痛みに思わず叫んだ。

 恐る恐る腕を触ってみる。すると、そこに塞がりかけた傷が確認できた。

 どれも重症ではないが、数が多い。出血は然程していないようだ。

 ノエルはふらふらとする上半身を支えるようにして床に手をついた。その手にぬるりとした液体の感触がある。

 液体のついた手を近づけてじっと見た。暗闇に段々、目が慣れてきたのか少し見える。

 ふと嗅ぎ慣れない匂いがノエルを襲った。


「なんだ……これ」


 それは大量の血の匂い。血生臭さからしてウィルの時より酷い量だろう。


「まさか、こんな力の使われ方をするなんて思っても見なかったわ」


 闇に漏れた小さな光から気の強そうな女の子の声がした。


「いや、あれはディーリアスの子の力ではない」


 次に爽やかな若い青年の声がする。

 ノエルは光に近づき、耳を傾けた。


「じゃぁ何だって言うのよ! お兄ちゃん!」


 女の子は苛ついた声で当たり散らす。それでも兄と呼ばれた青年は丁寧に答えた。


「以前、イーヴァの魂を所持していた娘の名を知っているか?」


 馬鹿にしないで、と言うかのように女の子は益々声を荒げる。


「アシュレイ!」


「ウィルから情報を得ただろう。どうやら、今のイーヴァは前世の記憶を持たない……力の使い方を知らないだろう」


 青年は少女を宥めるように優しく言った。


「あれはアシュレイが生まれ変わった自分を守るために掛けた術だろう」


 ノエルは首を傾げた。一体自分がどうしたのか……


「それでも……、何度斬りつけても……痛めつけても、再生する身体なんて、化け物だわ!」


「俺達が言えるか?」


――化け物だわ!


 その言葉を聞いたノエルはふいに胸の痛みを感じた。

 胸に実体のない塊が徐々に膨らみ始めた。

 心臓が早く大きく弾くように脈打つ。


「……うっ」


――化け物。


 たった一つの言葉がノエルの頭の中をジタバタと暴れるように駆け回る。

 そして頬を伝って水が流れ落ちた。静かにゆっくりと、透明で純粋な涙が。

 ノエルは自分でも何故泣いているのか分からない。ノエルの中の何かが……悲しんでいる。


「うっ……う」


 声を上げそうになり、ノエルは口を抑え、声を圧し殺した。

 しかし、少女はそれを見逃さずノエルのいる闇のような部屋に入ってくる。


「あら、泣いてるの? ここはそんなに心細い所だったかしら?」


 急に眩しい光が差し込み、ノエルは目を細めた。眩しすぎて涙が一気に蒸発してしまいそうだ。

 光が差し込んだお陰で少女の姿がはっきりと分かる。

 悠璃と同じ暗黒色の髪は少量の髪を余らせながら上の方の髪を旋毛の辺りで高く結っている。寂しそうな深い緑色をした瞳はしっかりとノエルの姿を捉えていた。


「今頃……あんたの執事は血眼になってお前を探しているかしらね」



「おい! 来てやったぞ!」


シリルは声を荒げて入ってきた。その隣にはトレイシーの姿もある。


「声量を下げろ。ミーンはいるか?」


悠璃は傷だらけのリオを抱えて立ち上がった。


「残念ながら今日はミーンじゃない」


トレイシーの後ろから声変わりを済ませた少年の声がした。

声の主はすぐに姿を現す。

藍色の髪を胸の辺りまで伸ばし、耳の前に垂れる長い髪を金色の小さな筒で束ねていた。樹海のような翠の瞳は鈍く輝き、時折全てを見抜いた目をする。紺のブレザーに赤チェックのスカートをヒラヒラと靡かせ、少女は立っていた。

いや、少女の姿をした少年だ。


「デイヴ、すまないが三重結界を張ってくれ」


デイヴは黙って頷き、両の掌をパンッと音を立たせて叩き合わせた。

それを合図に、紅の薄いフィルターのようなものが保健室全てを覆う。


「ジュリー、リオの傷を早く直してやれ」


結界を張ったにも関わらず、一人の女子が保健室へ入ってきた。

暗黒色の髪と瞳を持ち日本人系の顔をした少女、アリシアだ。葉が色づき始めた十月の今には少し寒すぎるだろうと思われる黒の半袖Tシャツを着ている。下は白の長ズボンで腰に派手な髑髏のベルトを巻き、そのベルトには堂々と長剣を納めた鞘が二本、ぶら下げられている。


「うん! アリスが言うなら喜んで」


アリシアを見つめながら言うジュリーだが、アリシアはずっと下に転がる女生徒の死体を見ている。

ピンクの長い髪を高く結い上げ、短いスカートから大胆に白い太ももが見えている。シャツの胸元もまた大胆に開けられて谷間が露となっていた。

 ジュリーはリオが寝かされているベットまで足を運び、傷口の深いところに手を翳した。

 突如、眩しい紅の光が小さく弾けながら灯される。炎にも似た光は揺ら揺らと僅かな風に揺れてリオの傷口を明るく照らした。炎は悠璃が前に放った光より淡く、リオの放っていた光より力がない。だが、とても優しい光だった。


「俺まで呼んだということは……主奪還作戦を考えているな?」


 アリシアが腰に携えた長剣を手にかけて言った。彼女の瞳の先に表情は冷静ながら瞳が焦りで翳っている悠璃の姿がある。


「当たり前だ。すぐに取り返さなくては……」


あー、やっと出せました。

アリシアとジュリーを出したかったのです。

ミーンはまぁついd(殴

ごめんね、ミーン!じゃないや、デイヴ!


ではでは(逃(爆睡

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