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デブな俺は、痩せるために美少女を飼う  作者: 夢見る社畜
第一章 デブとシイナちゃん
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賢者タイムからのホラー

 時刻は夜の十時、俺は風呂を済ませた後珍しく机に向かって考えを纏めていた。


 その内容はずばり今後ダイエットをどうするか? である。決してダイエットが嫌になってやめたくなったというわけではない。むしろ()である。本格的にどうやってダイエットをするか悩んでいるのだ。


 俺はスマホを手に取り、いつもより良く見えるシイナちゃんの寝顔を、笑みを浮かべながら眺めた後画面を切り替える。そこには『無理をしないダイエット特集! 』 と銘打たれたまとめページが現れた。


 纏められた記事に目を通していくも、読み進めるごとに俺の眉間に皺が寄っていき最後にはため息をついてしまう。


「やっぱ食事の量とおやつの量を減らす(・・・)しかないよなぁ」


 やめるのではなく減らすというのがポイントだ。一気にやめたら必ずどこかで限界がきて衝動食いしてしまうのが目に見えている。過去(・・)の経験から言っても、おやつをなくすのは不可能だ。


 結局のところ、大事なのはバランスの良い食事と筋トレらしい。バランス良くごはんを食べて腹八分目、筋肉増やして消費カロリーも増やす。そうすればゆっくりではあるが健康的にダイエットできるらしい。


 俺はそう結論を出してベッドに横になる。


「食事制限だけはしたくなかったけど……まあ、仕方ないか」


 俺はシイナちゃんと同じくらいおいしい物を食べるのが好きだ。自分の食べたいものを食べて腹が膨れる幸福感は何事にも変えられない。


 それに、シイナちゃんの世話をするにあたって|絶対にダイエットしなければいけない《・・・・・・・・・・・・・・・・・》、なんて事はないのだ。そう、シイナちゃんを死なせないだけなら筋トレするだけでいい。


 水分や食事が全て筋トレでまかなえている。もちろん、ご褒美は減るだろうがおやつを減らさずにすむ。──そこまで考えて、その考えを鼻で笑い飛ばした。


「……まあ、あんな笑顔を見ちゃったらなぁ」


 スマホ内にあるシイナちゃんフォルダを開いて、嬉しそうにパジャマと下着を抱きしめているスクショを眺める。


「ま、シイナちゃんの為に頑張りましょうかね!! シイナちゃんが喜んで俺も痩せてラッキーな訳だし……よーし、明日も頑張るぞ!! 」


 俺はそう意気込んで布団に潜り込むと同時に、重大な事に思い出す。


「どのみち、おやつ抜きだったわ……」








「おはよう、朝ご飯は何にするの? 」

「んー……食パン一枚とサラダで……」

「え、あんたどうしたの」


 目覚ましに叩き起こされた俺は、昨夜寝る前に考えていたご飯の組み合わせを母親に告げる。案の定、どうしたこいつ? と言いたげな目である。ひどい。


「ダイエットダイエット。だから今日から俺のご飯はサラダ多めのご飯お茶碗一杯、おかずは普通でお願い」


 名付けて【ご飯の代わりにサラダを食べれば良いじゃない作戦】である。


 いつも二枚食べている食パンを半分の一枚に、どんぶりご飯をやめてお茶碗をすりきり一杯にする。当然、こんなんじゃまったくお腹が膨らまないからその分野菜をたくさん食べる。これこそお腹いっぱい食べつつも摂取カロリーを減らして体重を減らす作戦の真髄である!! もちろん、ドレッシングは少なめにするのも忘れない。


「ま、期待せず応援してるわね」

「おー。あ、あと牛乳とって」


 食パンにかじりつきながら日課になり始めたシイナちゃんの様子を確認する。ん、まだ寝ているみたいだから朝ご飯の筋トレは後からだな。


「こら、ご飯食べながらスマホ弄らないの……って何してんの? 」

「今流行りの最強無敵ポーズ」


 なんて適当な会話をしながらロックされた選択肢を確認する。


「え、バランスの良い食事を摂った……?」


 ごくりと、生唾の代わりにパンを飲み込む。まさか、体重や筋トレ以外でもロック解除の対象になっているなんて……、いや、問題はそっちじゃない。


 昨日の夜、ロックされた選択肢は確認している。その際にはアンロックされた物はなかった。つまり、この【バランスの良い食事を摂った】は今解除された事(・・・・・・・)になる。──食事を開始してまだ三分も経っていないどころか、体重のようにこちらから何か入力したわけでもないの、だ。


ぞくり、と背筋が寒くなるのを感じながら、努めて冷静かつ不審な動きをしないように食事を済ませて慌てて学校に行く準備を進める。これは大地を一刻も早く問い詰めなくては。



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