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デブな俺は、痩せるために美少女を飼う  作者: 夢見る社畜
第二章 デブとダイエット
24/27

痩せたら

「おお! 玉がカーブしたぞおいっ!? 」

「ふふん。これが柔道部の力」

「柔道関係あるのか? 」

「さっき組手したけどなかなか強くなってたよー」

「なにしてんだお前ら……」


 なんだかんだ始まったボーリング勝負が意外に盛り上がった。なぜか巧みに玉を転がす山中に割と不器用な大地。そしてピン割れるんじゃねえか? ってくらい強く速い球を投げる空さん。下手でも上手くもない俺が合わさってなかなか良い勝負になっていた。


「っとわりい電話だ」

「えー、次大地だよ? 」

「スマホ折ろうか? 」

「やめてくれ」


 そういって足早に店の外に走って行く大地。……まずいぞ、この状況。


 そう、大地という架け橋を失った俺に、最近少しだけ仲良くなった山中と今日初めてあったばかりの空さんの相手は荷が重すぎる! だけど、この状況でスマホを弄るわけにもいかない……だからいやなんだよ友達の友達と遊ぶのとか! 気まずいだけじゃん!


 俺がそんな事考えて冷や汗を垂らしている中、山中が俺に声をかけてきた。


「井上」

「お、おう! なんだ山中? 」

「ちょっとゲームセンターのゲーム見てくるね」

「なぜにこのタイミングで!? 」

「あとは若い者同士で……」

「ちょっ!? 」


 そういってもの凄い勢いでどこかに行く山中。山中は空気を読んでくれる人だと思ったのに酷いっ!!


「あはは、だめだよ優斗君! 女の子が席を立ったら引き留めちゃ」

「そ、そうなんですか? 」

「アレはきっと……ムラムラしたから大地を襲いに行ったね! 」

「ねーよ」


 あれれ、空さんの頭がおかしくなってるぞ? まあ、きっと俺が知らないだけで最初からそうだったかもしれない。


 そんな失礼な事を考えてる俺に空さんはにーっと口の端を思いっきり持ち上げて笑いかけてきた。やめてほしい、惚れてまうやろ。


「冗談冗談。まあ、女の子が席を外す時はあまり追求しちゃだめだぞ? 」

「あ、はい。そうですね……気を付けます」

「さっきから気になってたけど敬語! やめない? 」

「いやいや、さすがに年上の人には敬語使わないと……」

「年上って言っても2、3くらしか変わんないし! 昔みたいにおねーって呼んで良いんだよ? 」

「昔? おねー? 」


 笑いながら俺の顔を覗いてくる空さんの言葉に俺は首をかしげる。空さんとは今日会ったばかりだし、俺にはお姉さんと呼ぶべき存在はいないが。


「あれ、あれは隣の鷹くんだったかな? 」

「多分気のせいですよ」

「あれー? 」


 まったくこの人は……。俺はつい笑みを浮かべながら未だ首をかしげている空さんを見る。


「お、良い笑顔いただき! 」

「茶化さないでくださいよ……ってこら写メはやめろっ!! 」

「えー、いいじゃん! 記念記念」


 く、さすがに実力行使に出るのはまずい。まだ親しくもない相手のスマホをとるなんて事は俺には出来んっ! しかし、なぜか空さんはスマホを俺に差し出してきた。


「そんな顔しないでよー。ほら、優斗君! 」

「え、なんです? 折れって事です? 」

「違うよ!? メッセージ交換だよー! そしたらさっきの写真も送ってあげるし! 」

「あ、ああ、すいません。あんまりメッセージ交換したことなくて」


 ちなみに俺のスマホの中に登録してある連絡先の数はギリ二桁だ。どっちのギリかは想像にお任せする。


「そなの? じゃあ、暇なとき連絡してもいいかな? 」

「え? ああ、かまいませんが」


 俺は自分のスマホを取り出して連絡先を交換する。……あれ、女の人と連絡先交換するのって初めてじゃないか……? まあ、いいか!


「やったー! じゃあ毎日メッセージおくろー! 」

「毎日は勘弁してくださいよ……」

「あはは! じゃあはいこれ! 」


 俺のスマホが振動する。ちょうど空さんの連絡先の名前を登録していたためすぐ内容が見れた。


「うっわ、不細工だな俺……」

「そう? 私は可愛いと思うけどなあー」


 いやいや、最近痩せてきてるけどそれでも十分デブだ。百歩譲って可愛いとしてもそれは豚が可愛いと言っているようなものである。


「俺はかっこよくなりたいんで今ダイエット中なんですよ」

「あー、大地が言ってた! 今日はダイエットしすぎでストレス溜まってる友達のストレス発散の為に遊ぶんだって」

「あはは、それは俺の事ですね」


 大地め、言わなくても良いことを……。俺は大地が帰ってきたら締めようと決心していると、空さんが首を傾げながら聞いてきた。


「ねえ、痩せたらかっこいいの? 」

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